●ニコ動連載小説『コスプレ少女ルミ』 

『コスプレ少女』新装版 東京音楽祭編 389-392頁  ★フィナーレ

2020/02/10 21:30 投稿

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  • ライトノベル
ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。中学生三人組が東京のイベントへ!
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【連載小説 コスプレ少女】 今までのあらすじ

コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
彼女達のダンスパフォーマンスが投稿動画で評判になり、これをきっかけに東京音楽祭に前座出演、その後にリンがボーカルで参加?*************************************************
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07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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【登場人物紹介】                
                     人公の本田ルミ
この春、中学生になったばっかりの女の子。
ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレを
きっかけにコミュ障からリハビリ中。
 ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
「賢者のルミ」のコスプレイヤー。   

イメージイラストは
はじめとみかん様提供。     
                  


                  
滝沢エリカ
ポニーテールにティアラを着けた
「エリカ姫」
コスプレイヤーで
中学三年生。
イジメによる背中に酷い火傷が
コンプレックス。
リストカットした過去もあるちょっと
ワケありの美少女。
ルミをダンス動画作りに誘う。

                       白銀(しろがね)リン
ルミがイベント会場で出会ったベレー帽が
トレードマークの萌え可愛い女の子。
本名は坂本サキ

「天使のリンをイメージしたオリジナル
コス
プレイヤー。
実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。
イメージイラストは かりん 様提供。

 
                        ノーコンP
                     投稿動画でカリスマ的人気を誇る楽曲制作者。
   【画像なし】            30代半ば、独身。
                     ルミたちを東京音楽祭に招待した。
              


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当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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   389-392です。

歌い手で繋いでいくメドレーの中で白銀リンに歌わせようとしている『乳酸菌摂れ!』の
パートは、間奏のスキャット部分だけだというノーコンPの説明だ。
本編にある『●△■どぴゅっ』などのオゲレツな歌詞の部分ではないと。

突然の話にリンは大きな瞳をパチクリさせて少し考えこむも、
それなら、やってもいいですゥよ と承諾した。

ヨシ! 元々、即興の部分だ。
おいベレー帽、俺のピアノに、ついてこられるよな?
ノーコンPが挑発的な言葉を投げつける。

もちろんですゥ♪
嬉しそうに返答するリン、何だかんだ言っても歌うのが好きなのだ。

リン、しっかりやんなさい

リンちゃん、頑張ってね

まかしといて、くださいですゥ~
 親指を立て、得意顔で応えたリンは、喜々として 歌い手たちが並ぶ前列へ加わっていった。

もう間もなく、メドレーが始まる。
歌い手やその他の出演者達が舞台狭しと並び、バンド演奏者も持ち場についた。
エレキギターの前奏が徐々にボリュームを上げ、その雄叫びのような高音が
会場の奥まで貫く、ついに始まった、観客席に歓声があがり、サイリウムも激しく震えた。

ドラムやベースが続き、主旋律はノーコンPのピアノだ。
人気ボーカリスト達が順番に自分のパートを歌い上げていく。

後列の隅で緊張しているルミ、ステージに居ると演奏が振動となって直に体に伝わってくる。

ノーコンPがつま弾くピアノ、もちろん、楽譜なしだ。
他のDTM作家の曲でも弾き熟す、たとえテンポの異なるアニソンであっても
アレンジを加えて絶妙に繋いでいく。

と同じくミリオンヒットを持つDTMマスター達も幾人か居たが、
皆、ノーコンPの即興アレンジと繋ぎの構成センスに舌を巻いていた。

鍵盤に吸い付くように流れるの指、その速弾きは残像を追うことしか出来ない。

ピアノに負けまいと歌い手たちもプライドを掛けて意地を見せる。

歌の競演、その中で一番長いソロパートを任されているは、アイドル的歌姫である明菜だ。
長い髪を揺らしながらオーラ全開でステージの前へ、魂を貫くような美しい高音、
心の奥をくすぐるような巧みな抑揚。

歌姫の生歌を始めて聞いたルミは、その歌声に全身が痺れそうになった。
もう、ほとんどプロ! 明菜さん、とてもアルコール中毒には見えない ……


歌詞のない間奏部分とは言え、次に長いソロパートを受け持ったのが白銀リンなのである。
彼女の順番が徐々に近づいてくる。
ルミ自分が歌うわけでもないのに心臓が高鳴った。
ガンバレ、萌っ娘!

明菜からリンへマイクがバトンタッチされた。
四十秒間の高速スキャットパートの始まりだ。
伴奏はノーコンPのピアノのみ。

マイクを握り締め、リンノーコンPのピアノの前まで進み出ると大きく息を吸い込む。
 ルミは固唾を飲んで見守った。

パッパッパッ タラリラ タラリラ タラリラ ランラ ランラ……

滑り出しは上々、萌っ娘の超人的滑舌も凄いけど、
ノーコンPのおっさんのピアノの早弾きも凄い!
ルミは胸の前で手を合わせて祈った。

 観客もどよめいた。
 舞台のバックのオーロラビジョンには、歌っているリンの顔がアップで映された。

口パクじゃない、本当に歌っている!

 生で配信されているので、ビジョン画面にカラー文字でコメントが流れる。

タラリラ タラリラ タラリラ ランラ ランラ……

 リンのスキャットとピアノが、まるで追いかけっこをしているように絡み合う。

息継ぎしないのか?

きっと、口の中にスピーカーが入っているに違いない

 高速スキャットをこなすリン驚愕歌唱に野次混じりのコメントが次々と流れる。

 そんな観客のどよめきをよそに、ノーコンPリンにさらに厳しい指示を出す。
おい、ベレー帽! ラスト十五秒はテンポアップだ、ついてこい!

 歌唱中のリンは、それをウインクで答えた。

えーっ、まだ速くなるのっ! 萌っ娘ついていけるのか?
 ルミはただただ驚いた。

タラリラ タラリラ タラリラ タラリラ タラリラ……

萌っ娘の息が続くのか、見ているこっちの方が息苦しくなってくるよ
ルミ自分の襟元を緩めながら、心の中で後十秒とカウントダウンを始めた。

タラリラ タラリラ タラリラ タラリラ タラリラ……

5、4、3、2、1、ゼロ!

ふーっ、歌い切った! 信じられない……レコーダーの早回しのようだった

 リンが歌い終えた瞬間、観客席が静まりかえる、誰もが信じられないといった顔つきだ。 直ぐに我に返った観衆から、会場を渦巻くように拍手と歓声が沸き起こった。

高速スキャットの無呼吸歌唱から開放されたばかりのリンは、顔を真っ赤にして
息も荒かったが、実に満足そうな表情をしていた。

そして、両腕をいっぱいに拡げて客席からの歓声に応えていた。
まるで、両腕をアンテナにして歓声の振動を感じ取っているかのように。


メドレーが終了、音楽祭の昼の部もフィナーレを迎える。
ステージ上では出演者全員が 手を繋いで横一列になり、観客に向けて頭を下げる。  

出演者の中には感動で泣いている者もいた、それくらい今日のパフォーマンスに
全力で臨んでいたのだ。

そんなフィナーレの余韻に浸りつつも、ルミたち三人は大急ぎで舞台から捌けた。

新幹線の時間が気になっていたからだ。


 例の控え室で慌ただしく帰り仕度をする。
 キャリーバッグに荷物を押し込むルミ
嗚呼、名残惜しいけど東京のみなさんともお別れ、
何だかあっという間だったなあ。
けど、本当に楽しかった ……
こみあげる感情が彼女のメガネを曇らせる

 ステージでは司会者が午前の部が盛会に終わったことの挨拶なんかをまだやっていた。
ルミたちが控室からバッグを引き摺り廊下に出たところで、
ちょうどノーコンPが舞台から降りてきた。

もう帰るのか ……
 は残念そうに彼女たちに話しかけようとしたが、ドヤドヤと廊下に降りてきた
他の出演者達に遮られてしまう。

ルミたちは皆に取り囲まれ、ありがとう、よくやったねと労いの言葉をもらい、
別れの握手まで求められた。

明菜からはひとりひとり愛し気にハグされた。
まだ、お酒の臭いがした……

そう広くない通路で、出演者たちと別れの挨拶をしている彼女たちを、
ノーコンPは少し離れた所で遠慮がちに見守っていた。

彼女たちは皆に見送られながら、徐々に出口へと進む。
コスプレを解かない主義のエリカは、帰る時も銀色ティアラを冠したまま、
キャリーバッグを引き摺り廊下の出口まできていたのだが、
急に立ち止まって後ろを振り返った。

どうかしたのエリカさん?
 ルミが訊いても無言のまま。

視線の先にはノーコンPが居た。突然、エリカはバッグを放り出し、
見送る人混みを掻き分け、の方ヘと駆け寄っていった。

息を切らせて彼の真正面で立つも、言葉は発しない。

唐突なエリカの行動にノーコンPは困惑した様子で声もかけられずにいた。

エリカが突っ立っているノーコンPの肩に両手をかけ、
ちょっと背伸びしたかと思うとの頬に秒速キスをした。
」 
思いもかけない彼女の行動にルミはメガネが吹っ飛びそうなくらい驚いた。

キスを済ませたエリカは、ダッシュでルミたちのところに戻ってきた。

え、え、エリカさん! ノーコンPさんのこと、好きになっちゃったの?

ち、違うわよ! 御礼よ、お礼! 
お世話になったから、あんた達の分も含めて、
この、あ・た・し・が、御礼をしてあげたのよ!

 早口で弁解をまくしたてるエリカ、実に解りやすいツンデレさんだとルミは思った。

義理キス? ほんとかなあ、顔が耳まで赤いですよ、エリカさん!

う、うるさいわね!
 冷やかすルミの脳天にエリカの手刀が突き刺さる。

 一方のノーコンPは頬を擦りながら呆然としている。
周りからはロリコンと冷やかされ、不幸にもの社会的立場は
エリカの悪意のないハニートラップに公開処刑されたも同然だ。

そんなことも露知らず、エリカたちは、はしゃぎながら東京を後にした。

(東京音楽祭 完) 次回は まったりとルミの恋ばな お楽しみに!
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