●ニコ動連載小説『コスプレ少女ルミ』 

『コスプレ少女』新装版 東京音楽祭編 385-388頁  ★ダミーおっぱい! イエーッですゥ!

2020/01/19 22:18 投稿

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ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。中学生三人組が東京のイベントへ!
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【連載小説 コスプレ少女】 今までのあらすじ

コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
彼女達のダンスパフォーマンスが投稿動画で評判に。
これをきっかけに動画サイトの『東京音楽祭』に招待された。 

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07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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【登場人物紹介】                
                     人公の本田ルミ
この春、中学生になったばっかりの女の子。
ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレを
きっかけにコミュ障からリハビリ中。
 ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
「賢者のルミのコスプレイヤー。   

イメージイラストは
はじめとみかん様提供。     
                  


                           滝沢エリカ                
ポニーテールにティアラを着けた
「エリカ姫」
コスプレイヤーで
中学三年生。
イジメによる背中に酷い火傷が
コンプレックス。
リストカットした過去もあるちょっと
ワケありの美少女。
ルミをダンス動画作りに誘う。


                       白銀(しろがね)リン
ルミがイベント会場で出会ったベレー帽が
トレードマークの萌え可愛い女の子。
本名は坂本サキ

「天使のリン」をイメージしたオリジナル
コス
プレイヤー。
実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

イメージイラストは ゆりぺっこ 様提供。

 
  


                                          ノーコンP
                     投稿動画でカリスマ的人気を誇る楽曲制作者。
   【画像なし】            30代半ば、独身。
                     ルミたちを東京音楽祭に招待した。
              


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 当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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   385-388です。

ルミリンは、ふたり揃ってステージの前へ進み出ると 自分たちの体操着の下に
手を突っ込んで、スポーツブラから水風船をひっぱり出した。
ステージライトが再び点灯し、ふたりを照らす。

白く丸い水風船の表面には、マジックの
手書きでダミーおっぱいと書いてあり、
ふたりは それを手のひらに載せ、観客に見えるように高々とかかげた。

ダミーおっぱい! 
   ダミーおっぱい!





投稿動画で既に この水風船の事を知っている観客たちからおっぱいコールが乱れ飛ぶ、
ゲラゲラと笑い声も客席に起きた。
ここまでは動画デビュー作品と同様のタネ明かしで、お約束の演出だ

 リンが会場の奥まで通るソプラノボイスで観客に向けて呼びかける。
「ダミーおっぱい! イエーッですゥ!」

 元気よく片腕を突き上げてコールしてから、耳に手を添え聞き耳の仕草を見せる。

 これはコールを返してくれという意味のジェスチャーだ。

 それに応えて観客も『ダミーおっぱい!』と返してきた。

「ワン モア!」
 もう一度、リンおっぱいコールする。

「ダミーおっぱい! イエーーッ!」

 観客もダミーおっぱい! イエーーッ!と同じように返す。

 リンはそれを確かめてから、次に。
「ダミーおっぱい、欲しいですゥかあ?」

『???』

欲しいか? リンのイミフな問いかけに 観客は直ぐに理解が出来ず、静まりかえる。

 ルミリン水風船の一つを持って、ゆっくりと野球の投球フォームのような動作で
大きく振りかぶると サイリウムが波立つ観客席に向けて、力いっぱい放り投げた。

 白い水風船が観客の頭上に軌跡を描く。

 風船の色を白にしたのは、暗くなった会場でも 飛んでいく様子が
よく分かるようにと考えてのことだ。

水風船の落下地点に、これをキャッチしようと人がエサやりした池の鯉のごとく群がった。

笑ってしまうくらいルミの計算通りだった。

悲しいかな、みんな女の子の人肌で温められた水風船に触れてみたいのだ。
我先にと腕を伸ばす、乱暴な奪い合いで、掴まれた水風船は破れて割れてしまう。
群がった者達は罰ゲームのようにビシャビシャに濡れてしまい、
それを見た廻りの観客からどっと笑いが起こった。

「もう一発いくですゥよ~」

 ルミリンは、二発目をさらに遠くへ投げた。

 今度は水に濡れると分かってか、観客席にキャーキャーと逃げる悲鳴も混じる。
だが、女の子の温もりに飢えたフェチな野郎達は、またもゾンビ映画のごとく
水風船の落下点で腕を伸ばし、争奪戦を繰り広げる。

そんな戦況の中でルミの投げた水風船を奇跡的に割らずにゲットした強者がいた。
長身なその強者は、両手のひらで水風船を包むようにして持ったまま、
勝利のガッツポーズをして喜んでいる。
周りから祝福の拍手まで浴び、何か偉業を成し遂げたかのように誇らしげだ。

それを見たルミは、少し呆れた。
…… 一体、なんでそんなに祝福されてるの?
 ビンゴゲームじゃないんだから、何だかなあ。
 それにゲットした水風船をどうする気なんだ? 持って帰るつもり? 
中身はここの手洗いの水道水なんだけど

 水風船を観客に投げつける、ルミがこの会場に来て急遽考え出した演出だ。
 運営のスタッフには内緒にしていた。怒られるギリギリの線だと思ったからだ。

 予定外であったルミの反則気味な演出で、音楽祭の進行が少々脱線した。
司会者が思い出したように口を開いた。

「エ、エリカ組のみなさんでしたー」

 客席から口笛も交えた拍手が沸き起こった。

舞台袖に下がる帰り際、リン突然立ち止まり、ニヤリと不敵な笑みを浮かべたかと思うと、急にバク転をやりだし、勢いを付けてからの伸身宙返りを披露、観客をさらに沸かせた。

三人は舞台袖から階下の待機所まで降りてくるなり、キャーキャーと叫びなら、
手を取り合い子供のようにピョンピョンと輪になって跳びまわった。

あたしたち、やり遂げたわよ!

 エリカが瞳を潤ませ、ルミリンを同時にハグをした。

「やったですゥ~」

前座としての使命は、果たせたよ
 緊張から一気に解き放たれたルミは、膝から崩れるようにエリカへ寄りかかった。
 踊っている最中は無我夢中だったが、今になって膝がガクガクと震えてきたのだ。

エリカがしがみつくルミの顔を胸に埋めさせ、頭を優しく撫でてやる。
リンも背中越しにルミをギュッと抱きしめた。

待機所に居た他の出番待ちの人達が、三人一塊になって達成感に浸っている
彼女たちを微笑ましく見守った。

「初々しくて可愛いらしいなあ」

「きっと今までがんばってきたのね」

「やべえ、俺、もうじき出番なのに涙出できちゃったよ」

 待機所の室温が少し上がった。

*** *** ***

 出番を終えたエリカ達は、着替えるために控え室まで戻ってきた。
扉を開けると、例の前髪パッツンの女性スタッフがまだ居た。
入ってきたエリカ達を見て、
「お疲れ様です、ステージ良かったわよ」と、労いの言葉をかけた。

あ、ありがとうございます
 三人は慌てて頭を下げて礼を言う。

この人は今日、一日中、ここの留守番役なのか?)とルミは思った。

前髪パッツン嬢は午前中と違って、スマホは弄らず、部屋にあるモニターで
ステージを見ていた。
だから、エリカ組のダンスも見て、出番を終えたことも分かっていたようだ。

ふう、終わった、終わった~
 ルミは顔を隠すために着けていた花粉症用の大きなマスクを外しながら、
パイプ椅子に腰を降ろすと、四肢を脱力させた。
 大きく開けた口から、白いエクトプラズムでも立ち昇ってそうな感じで、燃え尽きた。

 エリカはステージで脱いだセーラー服を小脇に抱え、更衣場所であるカーテンの裏に入る。
 エリカも緊張の汗は半端なかった、湿った体操着が体に張り付いて脱ぎにくい。

 勢いよくシャツを上半身から剥がす、彼女の背中が露わになる、
そこには顔を背けたくなる醜いケロイド痕、小学生の時にイジメ火炙りされた、
それが彼女の白い肌に大きな大の字に刻まれているのだ。
彼女は哀しい過去を持つ女の子、本当は皆が思うほど強くない。

滝沢エリカは心の傷とともに、セーラー服で背中の傷を覆う、
ポニーテールを跳ね上げ、再び強くて凛々しいエリカ姫を演じるのだ。

 カーテンから出て来たエリカは、呆けて座っているルミのパイプ椅子を
つま先で小突いて起こそうとした。

いつまで、そうやって死んでるの? あんたも着替えなさいよ

もう出番は済んだんだから、いいじゃん。帰りの新幹線まで、まだまだ時間あるしぃ

せっかく来たんだから、午前の部くらいは、見ていきましょうよ

 東京音楽祭は昼の部と夜の部の二部構成で、エリカ達は四時過ぎの新幹線で乗るつもりだ。

じゃあ、着替えるとするかあ。
 体操着のままでいるのも恥ずかしいし。
あ、そうだ! ここへ来た記念に、コス着て写真を撮っとかなくっちゃ

ルミが着替えにカーテンを潜ろうとすると、丁度、入れ違いでリンが出てきた。

淡いピンクのセーラー襟に赤いスカーフ、ふわりとした柔らかな髪にトレードマークの
ベレー帽、来る時に着てきたのと違う、妖精のような顔立ちの萌え系美少女が着れば、
ちょっとファンシーなこのコーデも、ちっとも くどさを感じず、キュートで愛らしい。

リンちゃん、後で一緒に写真撮ろうよ

OKですゥ

ステージでは昼の部の演目が後半に差しかかっていた、面白パフォーマンスや
アコースティックギターの協奏、アカペラコーラス、投稿動画で話題になった演目が続く。

そして、音楽祭の昼の部のメインイベント、人気歌い手によるメドレーライブが
始まろうとしていた。
なんと、エリカたちも、その他大勢でコーラスに参加しないかと声がかかった。

あたしたち、別に歌い手じゃないけど、まあ思い出作りに出てみよっか?
 エリカがあがり症のルミに気を使ってか、珍しく伺いをたてている。

うん、いいよ。出演者みんな出るみたいだから、目立つこともないし大丈夫だよ

 三人は遠慮がちにステージ後列の隅に並んだ。

突然、統括ディレクターのノーコンPがエリカたちの所に来てこう告げた。

『乳酸菌摂れ!』のスキャット部分をベレー帽の娘に歌わせる

それを聞いてボーカリストの明菜が、「えっ、リハもなしで!」と声を上げた。

他の出演者達も目を丸くして驚いている。
そりゃ驚くわな、うちらも驚いたよ

(つづく)
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