●ニコ動連載小説『コスプレ少女ルミ』 

『コスプレ少女』新装版 東京音楽祭編 381-384頁  ★自分の存在を確かめられたこと

2020/01/04 12:02 投稿

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ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。中学生三人組が東京のイベントへ!
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【連載小説 コスプレ少女】 今までのあらすじ

コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
彼女達のダンスパフォーマンスが投稿動画で評判に。
これをきっかけに動画サイトの『東京音楽祭』に招待され、
いよいよ彼女たちの出演となる。

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07~09年に商業誌の新人賞へ応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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【登場人物紹介】                
                   人公の本田ルミ
この春、中学生になったばっかりの女の子。
ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレをきっかけにコミュ障からリハビリ中。
 ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
賢者のルミのコスプレイヤー。   

イメージイラストは ぽよん様提供。     
                  

                    滝沢エリカ
ポニーテールにティアラを着けた
エリカ姫」の
コスプレイヤーで中学三年生。
イジメによる背中に酷い火傷がコンプレックス。
リストカットした過去もあるちょっと
ワケありの美少女。
ルミをダンス動画作りに誘う。

イラストは安堂ゆな様 提供

                白銀(しろがね)リン
ルミ
がイベント会場で出会ったベレー帽がトレードマークの萌え可愛い女の子。本名は坂本サキ

天使のリンをイメージしたオリジナルコス
レイヤー。
実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも
一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

イメージイラストは、海冥様ご提供の3Dモデルから。

                        ノーコンP
                     投稿動画でカリスマ的人気を誇る楽曲制作者。
   【画像なし】            まだ、30代半ばの独身なのだがルミからは
                     父親と同世代のおっさんと認識されている。
                     ルミたちを東京音楽祭に招待した。

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 当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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   381-384です。

昼時も過ぎると、ルミたちが居る控え室に 出演者達が続々と戻ってきて混み出した。

例の前髪パッツンの女性スタッフがやって来て、出番の準備するようにと
パンフを丸めた簡易メガホンで告げてまわる。

 皆が一斉に支度を始め、控え室は熱気とお化粧の匂いでむせかえり、
気分が悪くなりそうだ
ったので、ルミたちは支度を終えると早々に廊下へと出た。

 ルミたち『エリカ組』は、投稿動画で最初に披露した『ファンタジア学園』
アニメ版オー
プニングをコスプレして踊る予定だ。

コスプレといっても、オープニング映像では 女の子キャラ達がみな体操着姿で踊っている。

ルミリンは 白いシャツにショートスパッツ、アニメと違って髪の色までは染めてはいない、リアルで再現すると音楽なしでは体操コントも始めるのかと突っ込まれそうな感じだ。
必然的に三人の各々のキャラ作りは、アイテムに頼るところが大きい。

 リンは体操着姿に自身がトレードマークとしているベレー帽、
今回は淡いピンク色を被って
いる、もちろん『天使のリン』イメージした翼の飾りと
ハートを貫く弓矢の紋章が付きだ。

ルミの方は既に大きなツインテールに赤い下縁メガネの『賢者のルミ』に、ほぼ変身済み
なのだが、学者キャラとしてのアイテムである小さな角帽を着けるのみであった。

 ルミがボール紙を使って手作りした図画工作感溢れる角帽アクセサリー
自分の頭に載せよ
うとした時、リンにその腕を掴まれた。

ルミちゃん、これを着けてほしいのですゥ
舌っ足らずなアニメボイスでリンルミに差し出した物は 布製の角帽アクセサリー
コスプレ衣装も自作する彼女が作っただけあって、売り物にしてもおかしくない
出来栄えだった。

えっ、コレって…… わたしのために……
 戸惑うルミにリンはコクリと頷き、髪に角帽を着けてやる。

さあ、これで『賢者のルミ』が完成でなのですゥ

ありがとう、リンちゃん……

 せっかく『賢者のルミ』に完装したのに、顔出しNGルミは、
大きな花粉症マスクで 顔を隠さなければならなかった。

 ポニーテールのエリカは、『エリカ姫』の必須のコスアイテムである
カチューシャタイプの
銀のティアラを朝からずっと着けてはいるが、
独りセーラー服姿のまま、体操着は下に着こんでいるのだ。
これはルミの考えた演出上、ダンスの途中で脱衣するためであった。

 三人はステージ裏の通路へと移動する。
既に観客が入りだした会場がざわめいている。

 出演者の中でも一番のビギナーであるエリカ組は、トップバッターを任されている、
と言っても前座扱い、話題性のあるパフォーマーとして選ばれたに過ぎない。

 トップであろうが二番手であろうが、東京に来ていきなりステージで踊ろうという
エリカたちには、さほど関係のないことだった。

スタッフの誘導で舞台袖の奥で待機する。
音楽と拍手が聞こえてきた、いよいよ音楽祭の開幕だ。
彼女たちの居る位置から 遠目にステージの様子がうかがえた。

タキシード姿の司会者が開会のスピーチを始めたところだった。

ドクドクと心音が高鳴るルミ、耳にその脈音が聞こえてくるほどの緊張で膝が震えていた。

 それに気づいたエリカルミの両肩に手を添え、おでことおでこをひっつけてこう言った。ルミ、今日、ここで踊ることが出来るのも、あんたが動画を手伝ってくれたおかげよ。
 あんたと出会わなかったら、あたしは今でも宅撮りしているだけだったわ。ありがとね

いつも自己中なエリカからの思いがけない真剣な感謝の言葉だった。 

ううん、御礼を言うのは、わたしの方だよ。
 わたしを新しい世界に連れ出してくれた。
 わたしに自信をくれた、友達になってくれた、
エリカさんから、いっぱいもらっちゃったよ

ルミ、一緒にがんばりましょう。 あたしが魔法をかけたげるから!

 エリカはおでこをルミにつけたまま、目を瞑って念を送るかのように呪文を唱える。

目覚めよ賢者のルミ! エリカ姫の名において我に付き従え!
 己の力を今、解き放て!

 もの凄く中二病くさい台詞、ルミエリカと最初に出会った時のことを思い出した。
 あの時、自分の方が即興でエリカの臣下を演じて中二病な台詞を吐いていたなと。
 直ぐにエリカも乗ってくれて、思い起こせばあの時もエリカ自分の緊張を解く
ためにしてくれたのだろうか? 胸が熱くなった。

 エリカは呪文を唱え終えると、そのままルミを優しく抱擁した。

ああ~、いいなあ、うちも緊張してきたから魔法をかけて欲しいですゥ
 傍で見ていたリンが焼き餅を焼いている。

ダメよ、あんたには必要ないでしょうよ、緊張しないって言ったじゃない

ウグゥ、ですゥ~
 エリカの返しにリンは二の句を詰まらせた。

 ルミから抱擁を解いたエリカは、
さあ、気合を入れるわよ! 円陣組んで!
 と声かけした。三人は手を重ねて叫ぶ。

「エリカ組! ファイト!」

 彼女たちの気合の声を聞いた 周りで準備していた人からクスクスと笑われる。
 だが、出番が迫る彼女たちには、そんなことに気付く余裕もないほど緊迫した状況だった。

 エリカがハイソックスを直すと膝小僧をピシャリと叩いて自分に喝を入れていた。
ルミは心臓がバクバクで息苦しい、顔を隠す為のマスクをしているから、よけいに苦しい。

司会者が彼女たちを紹介するスピーチを始めた。
「えーっ、まず最初は、奇抜な演出で人気急上昇中のダンスパフォーマー!
 京都からやってきた美少女三人組!」

 曲のイントロが始まった。
彼女たちはステージの中央へと両手を振りながら元気良く飛び出していく。

「エリカ組です! どうぞ!」

登場と同時に観客席から歓声が沸いた、ルミは歓声と拍手が
ビリビリとした空気の震えとなって体に伝わってくるのを感じた。

ステージの背景には、大きなオーロラビジョンが 彼女たちを大写しにしていて、
その画面上を緑や赤と色とりどりの文字が流れている。
今の様子も動画サイトで配信されていて、視聴コメントが書き込まれているのだ。

ステージから望む観客席には、たくさんのサイリウムが波のように揺れている。
ルミは何か現実の世界ではないような、ふわふわと宙に浮いたような不思議な感覚だった。

ステージに三人が並ぶ、センターがエリカルミリンがサイド。
アップテンポの曲に合わせて腕降りの大きなアクション、
セーラー服のエリカだけが少し前へ進み出る。
歌詞が始まると 肩を振り踊りながらセーラー服のスカーフを指でほどき始める。

カラオケ店での撮影と違ってぶっつけ本番、スカーフを引き抜いて
右手で高々と掲げてから後方へと放った。
次に上着の裾を掴んで持ち上げる。制服といっしょに下のシャツがめくり上がり、
そのシャツの下が覗く。少女の白い肌が、舞台の照明を照り返す。

『オオー 』っと美少女中学生の『生着替え』に観客席から歓声が沸き立つ。

めくれ上がったシャツは元に戻って、おへその『チラ見せ』は無事成功した。
実はセーラーの上着と体操着は、両面テープや糸で細工がしてあったのだ。

エリカは続けてスカートに手をかけてホックを外した、細い腰から細い脚を伝って
スカートが足下へ落ちる。
すぐさま、彼女はつま先にひっかけて、舞台袖へと蹴りとばす。

脱衣を完了させたエリカ、白い生足が目を引くが、最初から体操着でいるよりも
アピールがあるとルミの考えた演出だ。

三人揃っての体操着姿、エリカがメインで本格的なダンスパフォーマンスが始まった。
揺れるポニーテール、柔らかな肢体、切れのある振り、エリカの動き一つ一つに
観客の声援がシンクロ始める。

ライブならではの観客との一体感、これこそがエリカが探し求めていたものだ。

自傷行為を繰り返した少女が、自分の存在を確かめられたことを全身で味わっている。

ダンスの地道な練習、フィギアモデル並みのプロポーションを維持するために
甘いものもずっと我慢してきた、全てネットの向こう側の人達に対して
『エリカ姫』で在り続けるために。

『エリカひめー』
観客席から絶叫に近い声援が飛び交う。

会場全体が盛り上がったが、惜しくも曲はワンコーラス分なので、
あっと言う間に音楽が最後のフレーズにかかる。

三人はステージ中央に集まって決めポーズでフィニッシュ、
音楽の余韻だけになり、照明が一旦落ちた。

このライブではルミが投稿動画でしたような各人を抜き撮りするカメラワークがないので、
アニメ映像の『揺れるおっぱい』の再現、ルミリンが体操着の下に水風船を仕込んで
豊満な胸を偽装し大ウケした演出は、ほとんど目立たなかった。

だが、ルミはそれを補う演出を考えていた。




(つづく)
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http://ch.nicovideo.jp/sonicvoice/blomaga/ar858417

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