●ニコ動連載小説『コスプレ少女ルミ』 

『コスプレ少女』新装版 東京音楽祭編 377-380頁  ★ノーコンPのおっさん、志が大きいな!

2019/12/23 23:09 投稿

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ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。中学生三人組が東京のイベントへ!
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【連載小説 コスプレ少女】 今までのあらすじ

コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
彼女達のダンスパフォーマンスが投稿動画で評判に。
これをきっかけに動画サイトの『東京音楽祭』に招待されることに。 
出番を前にルミは緊張に襲われる。

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07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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【登場人物紹介】                
                     人公の本田ルミ
この春、中学生になったばっかりの女の子。
ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレを
きっかけにコミュ障からリハビリ中。
 ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
賢者のルミのコスプレイヤー。   

イメージイラストは
はじめとみかん様提供。     
                  


                  
滝沢エリカ
ポニーテールにティアラを着けた
エリカ姫」の
コスプレイヤーで
中学三年生。
イジメによる背中に酷い火傷が
コンプレックス。
リストカットした過去もあるちょっと
ワケありの美少女。
ルミをダンス動画作りに誘う。


                       白銀(しろがね)リン
ルミがイベント会場で出会ったベレー帽が
トレードマークの萌え可愛い女の子。
本名は坂本サキ

天使のリンをイメージしたオリジナル
コス
プレイヤー。
実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

イメージイラストは かりん 様提供。

 
                        ノーコンP
                     投稿動画でカリスマ的人気を誇る楽曲制作者。
   【画像なし】            30代半ば、独身。
                     ルミたちを東京音楽祭に招待した。
              


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 当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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   377-380です。

気安く集まったり練習したり出来ないからバンドを組むことなんか出来ない。
 それでネットで知り合った仲間とDTMで楽曲を作り始めたんだ。
 その発表の場の一つが投稿動画ってわけさ
 今やカリスマ的人気を誇るノーコンPが、活動のきっかけを吐露した。

 エリカは細い体をピアノに寄りかからせ、
ミリオンヒットを目標にして?と訊いてみた。

三十半ばの大人
が、
中学生の女の子相手に真剣に心情を告白してくれている。
の考えに ネットアイドルを目標に動画投稿を始めた自分
どこか重なる部分が有るように
感じた。

俺はね、ネットで世界を目指すつもりなんだ。
 ランキング競争なんかに興味はないね。ミリオンは、ただの通過点に過ぎないさ

 は 言葉の最後に小さく息を吐き、キザっぽく手で髪を掻きあげる。

 直ぐ傍で二人の会話を聞いていたルミは、心の中で叫んでいた。
クウ~、ミリオンがただの通過点だなんて、ノーコンPのおっさん、志が大きいな!

 今朝まで、女の子に 目隠しされて からかわれていた独り身の男性が、
音楽活動の真剣なポリ
シーと軽やかに奏でるピアノの技量も有って、
中学生の目には 高い志を持つ大人に映ったのだ。

 と、そんな感動も束の間、次にノーコンPこうのたまった。
この音楽祭も動画として配信されて、かなりの人が視聴するんだ。
 俺や君たちエリカ組が注目されれば関連動画のアクセス数もさらに伸びる。
 そしたら、この間の作品だって月間ランキングで上位に喰い込めるぞ

あんた、ランキングに無茶苦茶こだわっているじゃないのさっ! 
さっきの立派な志は?
 感動して損しちゃったよ ……

 ノーコンPの下衆な考えにルミは 憤慨したが、エリカ自分もアクセス数アップの
為にルミ
反則まがいの演出に乗ったくらいなので、したたかさにも納得していた。

 ノーコンPは音楽統括ディレクターとして、まだまだ忙しいようで、
エリカ達は別の運営ス
タッフから出順や立ち位置のレクチャーを受けたが、
その後はに相手は してもらえなかった。

 ルミはステージの中央まで独り歩いてみた。
 歩幅でおおよその距離を測る、その広さを改めて実感し、溜め息をつく。

大きい…… カラオケボックスとは比べ物になんないよ ……
 彼女の口から弱音が零れた。

 ステージから見渡す暗い観客席、まるで漆黒の海のようだ。
ちらほら居るスタッフのメガネ
に舞台側の強い照明がキラキラと反射して、
が瞬いているように見える。

 今はまだ静かなこの海も、本番では観客のざわめきが潮騒のように聞こえるのだろう。

 ルミは軽い目まいに襲われ、その場にペタンとへたりこんでしまう。

嗚呼、後に悔やむと書いて後悔!
 この熟語をまた思い出しちゃったよ ……
 こんな大舞台で、本当にわたしは踊れるんだ
ろうか?

 コスプレの自己暗示も切れたのか、ルミは 急に自信喪失に陥る。

 そこへエリカが近づいてきた。なぜか、彼女はステージを体操のように側転しながら。
ポニーテールを振りあげ勢いよく、昨夜の余興でⅤ字バランスを披露するだけあって、
しなやかな身体に長い腕と脚の見事な側転を魅せる。

 ルミの傍まで来ると両腕を水平に伸ばした姿勢でピタリと停止した。
そして、座り込んでいるルミの顔を大きく腰を曲げて覗きこんだ。

ルミ、こんな所で何してるの?
 まさか、今になってビビってんじゃないでしょうね

そのまさかですよ。他に何があるって言うんですか

 ルミは両足を抱えた体育座りになり、少しスネ気味に答えた。

 エリカも腰を落として横に座る。

 しょげたルミ自分の膝に突っ伏したまま、ポツポツと話しだす。

本当に不思議な感じだよ …… 

だってさあ、他人とお喋りするのにもビクついていた自分がだよ、
大勢の観客の前で踊ろうってんだから。

お母さんが見たらビックリするだろうなあ。…… 見せる気なんかないけど
すっかり弱気になっているルミ

エリカ彼女の肩に腕をまわして乱暴に引き寄せ、

あたしだって、本当は緊張してるわよ。
 こんな大舞台、生まれて初めてですもの。
 でも、いつも以上に『エリカ姫』に成りきることで緊張を吹き飛ばしているの

 それを聞いてルミは頭を持ち上げる。

それでエリカさん、いつもと違ったテンションだったんですか?

あら、気づいてたの? あんたには、いつも見透かされるわね
そう言って、エリカは微笑んだ。

ルミも少し勇気づけられ、ふたりは顔を見合わせ笑い合った。

みなさ~ん

 今度はリンが舞台の端から走ってきた。

 途中で勢いよく倒立前転したかと思うと、高く跳び上がって膝を抱え込んだ
屈伸後方宙返り、座っているふたりの傍に着地した。

相変わらず、無駄に凄いな ……

 ルミは思った、リンの半端ない運動神経に、体操選手でも目指せよっと密かに突っ込んだ。

ルミちゃんたち、な~にイチャついてるですウか

別にイチャついてなんかないよ。
 本番前の緊張で弱音を吐いていた自分をエリカさんが慰めてくれてたんだよ。
 リンちゃんは調子よさそうだね。
 でも、本番の演出に宙返りなんて入れてないからね
 そう返して苦笑するルミ

リン、あんたは緊張なんか無縁みたいね

緊張ですか? うちは逆にワクワクして楽しくなるですウよ。
 体が熱くなるって言うか、燃えてきますですゥよ
 リンは拳を握り締め、そう心境を話す。

コスプレコンテストで場慣れしているだけじゃない、リンは暴走族相手に
単身で殴り込みに行くくらいだから、アドレナリンの仕組みが
普通と違うのかも知れない。

羨ましい ……心臓に毛どころか髭ぐらい生えてるじゃない?

そんな気持ち悪い例えは、嬉しくないですゥ
 そう言ってド心臓少女は白い頬っぺを膨らませた。

 ルミたちがリハーサルをやる時間は結局無かった、
曲の出だしとステージでの立ち位置を確認しただけだ。

そりゃあ、あたしたちはダンスパフォーマンスだけで歌や演奏をするわけじゃないけど 不満を漏らすエリカ

時間がないからって、全くケチな統括ディレクターだよ

 ルミも同調する。ダンスの演出家として、舞台でのリハがないのは心細い。

 練習といえば、新幹線に乗る前に京都駅の八条口でガラスドアを姿見にして、
ちょっと踊っただけだった。
 おまけに、そこを集合場所にしている修学旅行生から変な目で見られる始末で、
恥ずかしい思いをした。

 まだ十一時過ぎだったが、ルミたちは早めに昼飯をとっておくように言われ、
控え室に戻ることにした。
部屋のテーブルには、ノーコンPからの差し入れが用意してあった。

ドーナツだった …… 今朝、彼女たちが食べたのと同じお店の。

全く気が利かないんだから

ノーコンPは 彼女たちがドーナツ屋に寄ったことなど知る由もないので無茶な話である。

 エリカはコンビニでおにぎりを買ってくると言う。
甘いものは食べない主義のエリカでなくとも、今朝と同じドーナツを連チャンで食べるのは
キツイ、本番前のデリケートな胃袋によろしくないとルミは思った。

 三人は近くのコンビニへ出かけ、鮭や梅のおにぎりと
自販機より安いコンビニブランドのお茶を買う。

 控え室に戻って、おにぎりを皆でパクつく、控え室なのでひっきりなしに人が出入りする。

 その度に彼女たちは 首だけをすくめる簡単な会釈をしなければならず、
落ち着かない食事となった。

 それを見越してエリカは 簡単に済ませられるおにぎりをチョイスしたんだとルミは思った。

 なんとも抜け目のない利発な年長者である。

一息ついていると、リンがテーブルのドーナツに手を伸ばした。

ええっ、リンちゃん、まだ食べる気? 今朝も八個ぐらい食べたよね?

だって、緊張するとお腹が空くですゥよ

あんた、さっき緊張しないって言ってたじゃない!
 エリカもさすがに大食い娘に激しく突っ込みを入れた。

せっかく差し入れいただいたものなんですから、食べないと失礼ですゥよ

 そう言って、あれよあれよという間にひとりで一箱全部ペロリと平らげてしまった。


(つづく)
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