●ニコ動連載小説『コスプレ少女ルミ』 

『コスプレ少女』新装版 東京音楽祭編 349-352頁  ★関西人の血がそうさせるのだ

2019/07/10 22:18 投稿

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ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
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【連載小説 コスプレ少女】 今までのあらすじ

コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
彼女達のダンスパフォーマンスが投稿動画で評判に。
これをきっかけに動画サイトの『東京音楽祭』に招待されることに!
中学生のルミたちが東京を目指す、パフォーマンスはいかに?


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07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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【登場人物紹介】                
                    人公の本田ルミ
この春、中学生になったばっかりの女の子。
ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレをきっかけに
コミュ障からリハビリ中。
 ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
賢者のルミのコスプレイヤー。   

イメージイラストは ぽよん様提供。     
                  
                                                               滝沢エリカ
ポニーテールにティアラを着けたエリカ姫

コスプレイヤーで中学三年生。
イジメによる背中に酷い火傷がコンプレックス。
リストカットした過去もあるちょっとワケあり
の美少女。
ルミをダンス動画作りに誘う。




                 白銀(しろがね)リン
ルミがイベント会場で出会ったベレー帽が
トレードマークの萌え可愛い女の子。
本名は坂本サキ

天使のリンをイメージしたオリジナル
コス
プレイヤー。
実は狂犬サキの異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

 
イメージイラストは イド様提供の
 くの一コスプレのリン。




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 当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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   349-352です。

 恥ずかしそうに俯きながらも、メガネの奥の瞳を黒縁メガネの男性に向ける。
コミュ障のルミは、エリカリンのような華のある美少女ではないけれど、
彼女も現役の中学生、初々しい少女からの上目遣いに、大人は誰だって優しくなってしまう。

「いいよ、いいよ、ジャンジャン頼んでね。 それと、このサイコロステーキもどう?
 お肉も美味しいけど、ステーキを焼いた続きで作るガーリックライスが
これまた絶品なんだよ。
 是非食べてみてよ。絶対美味しいから。肉系ばかりだから、豆腐サラダも頼もうか」
 黒縁メガネの男性は、上機嫌で隣席のルミをアレコレともてなす。

ルミは内心ではチャッカリと。
引込思案なわたしには、この人みたいに何でもどんどん推し進めてくれる人と一緒だと、
とっても楽チンだ


オーダーした料理がくるまで、ルミは先にテーブルに並べられた小鉢の前菜を
お箸で摘んでチマチマと食べつつ、黒縁メガネと話をした。
話と言っても、彼女は全く知らない大人と一緒に食事をしたことなどなかったから、
ひたすら黒縁メガネの質問に答えているだけ、
東京は初めて?とか、京都からどうやって来たの?とか、
そんなありきたりなQ&Aばかりだった。

しかし、そのおかげで彼女は、この場の雰囲気にも少し慣れてきた。

みんなは、どうしているのかなあ
他のふたりの様子が気になるルミは、水鳥の鵜みたいに首を伸ばして見回す。

ふたりを探すはずが、斜め後ろのテーブルにいる髪の長い女性に目が留った、
この店に入って来た時、ノーコンPに話しかけてきたあの女性だ。

 どこかで見たことあるなあとルミは思っていたのだが、今やっと思い出した。
明菜さんだ!

 女性の正体は、投稿動画サイトで人気ボーカリスト音無明菜(おとなし あきな)だった。
 ポップスからアニソンまで、ビブラートを利かせた歌唱力を持つ本格派だ。

動画では、いつも濃いサングラスをしていたので中々思いだせなかったが、今は素顔。
ルミがイメージしていたのと違い、綺麗な人だけど年齢は結構高そうに思えた。

テーブル席では彼女中心に盛り上がっている、そのよく通る声が
離れた席にいるルミの耳にも届いていた。

気付けば店全体の宴も進み、ザワザワと賑やかになってきた。

半分酔っぱらった誰かが、
『エリカちゃ~ん!何か芸をやってよ』
と叫んだ。

んな無茶な、だいたい気位の高いお姫様キャラのエリカさんが、
そんなリクエストに応えるわけが ……

ルミがそう心の中でリクエスターを嘲笑しつつ、二個目のフライドチキンを
頬張ろうとした時、銀色ティアラを冠したエリカ
小学生のように手を大きく挙げて立ち上がった。

あたし、V字バランスがでっきまーす!
って、やるんかい! 
 ルミは思わずフライドチキンを口からこぼしそうになり、半分出かけたのを手で押さえた。
 エリカはソファーとソファーの狭い間を長い脚で跨ぎながら、
ルミの居るテーブル席前までやってきた。何だか足がフラついている。

……エリカさんのテンションがおかしい、まさかお酒を飲んじゃったりしてないよね?

心配するルミをよそに、エリカはミニのプリーツスカートも構わず、自分の足首を掴んで
白く柔らかな脚を高々と挙げて見事なV字バランスを披露した。

V字バランスでーす!

ルミが慌てて、エリカのめくれそうなスカートを抑えなければならなかった。
「おおーっ」と観客のどよめく反応、V字に反応したのか、
それともスカートを押さえる様がウケたのか、とにかく一発芸に盛り上がった。

V字をやり終えたエリカは、またまた手を高く挙げて観客に愛想をふり撒いている。
やはり酔っているのか、普段の彼女らしからぬ振る舞いだった。


ルミもなんかやんなさいよ!
えっ? わたしに振ってくるんですかいエリカさん! やっぱりお酒飲んだんじゃあ……

ルミは両手を前に突き出しブルブルと震わせて拒否を示す。

いきなり、芸をと言われても …… それに人前で何かするなんて、わたしには ……
 エリカルミの首に腕を絡めて締め上げ、

ルミ、あたしたち明日ステージに立つのよ
 大勢の人前でパフォーマンスするのよ!

た、確かにそうだった

 ルミは首を絞めつけられ、声を出せなかったが、ダンスパフォーマンスをしに、
ここ秋葉原までやって来たことを思い出した。

 エリカルミの首に絡めた腕を解くと、自分の頭からカチューシャタイプの
ティアラを外して、ルミのツインテールにそっと着けた。

えっ、大事なティアラをなんで?
あんたの角帽の代わりになるかと思って
 角帽はルミがコスプレする『賢者のルミ』のアイテムなのだ、
知性派学者キャラをイメージさせる小さな角帽。

 しかし、ルミは外を出歩く時は着けていない。
ルミ、今のあんたは『賢者のルミ』よ。大丈夫、リラックスして

 エリカはそう励ますと、ルミの両肩に手を置き、額がくっ付くくらい顔を近付けて、
メガネの奥で不安に怯える瞳に暗示をかける。

 ルミはこくりとうなずいた、頭に載せてもらったティアラから、
エリカのパワーをもえたような気がした。

ふたりがまごまごしている内に、周りが手拍子で『ルミちゃん』コールを始めている。
追い込まれた、何かやらなくっちゃ ……

独りじゃ恥ずかしいので、ルミリンを捕まえ漫才をやることにした。

ふたりで後ろを向いて、ゴニョゴニョとネタ合わせをしにかかる。

関西育ちにとっては、日頃から会話にボケと突っ込みを織り交ぜている、
関西人の血がそうさせるのだ。
コミュ障のルミと言えども気心の知れたリンとお喋りでは、普通にポンポンと
ボケたり、突っ込んだりしているのだ。

酔客らを前に並び立ったふたりは、

「「どうも、どうも、どうもでーす」」

こんにちわー、ルミでーす

リンちゃんでーすゥ

「「京都から来ました、ふたりそろって『ペッタラコズ』でーす」」

 そう言って自分らのムネをおさえてペコリとお辞儀をして即興漫才が始まった。

いやーっ、東京はスッゴい街ですゥ

へーっ、例えば、どんなとこが?

高い建物がたくさんあるですゥ

あんた何言うてますの、高い建物ぐらい京都にもありますよ

あったですゥか? どんなん?

木造で何百年も前から建ってるやつ

ルミちゃん、それって『東寺の五重の塔』でショッ

リンルミのボケに対してバシッっと薄い胸元に手刀でツッこみを入れる。

リンちゃん痛いよ、もうちとソフトに頼む

アキバは可愛いメイドさんが街を歩いて、観光客にも人気ですゥ

何言うてますの、京都かて観光客に人気の可愛い服着た女の子がいますよ

そんな人、いましたですゥか?

着物着て、ポックリを履いたはる

ルミちゃん、それって『舞妓さん』でショッ

再びバシッっとリンのツッこみ手刀が入る。

痛! 加減というものを知らん萌っ娘め!

 爆笑とまでは、いかなかったが、酔客の大人にはそれなりにウケ、
なんとかこなして退場に漕ぎつけた。

さすがはルミね、即興でここまでやるとは

 そう言って、エリカは芸を終えたルミの肩をポンと叩いて迎え、
ルミの頭から貸していたテ
ィアラを抜き取り、自分の頭へシャキン
自ら声に出して装着した。

やっぱりコレがないとしっくりこないわ。裸で立たされたみたいで恥かしかったのよ
そう言って、ニカっと笑って見せた。

まさか? 人前に出る自信をつけさせるために、わたしにワザと振ってきたの?
暗示をかけてもらい『賢者のルミ』になれた。

やればできる……エリカさんによく言われる『行動しなけりゃ結果は出ないのよ!』と。
いつも、その行動に振り回されている自分だけど、エリカさんの強い自信が羨ましい

元居たテーブル席へ、フラつきながら戻るエリカの背中を見送るルミ

 本当はルミも気づいていた。エリカもまた、強い『エリカ姫』を演じているのだと。

 エリカが小学生の時、イジメで背中に着火剤を塗られ、それを止めようとしてくれた子がいたのだが、偶発的にその子が火を点ける結果となってしまう。その時の大火傷で、エリカの背中には惨いケロイド痕がある。その後、その子はエリカに恨まれていると思い込み自殺する。

 それもエリカの目の前での飛び降り自殺。

助けてくれようとした子を自分が自殺に追いやってしまった、そう思い詰めて心が壊れた
エリカは、何度もリストカットを繰り返した。

そんな彼女を救ったのが、強いヒロイン『エリカ姫』になることだったのだ。



(つづく)
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