●ニコ動連載小説『コスプレ少女ルミ』 

『コスプレ少女』新装版 東京音楽祭編 345-348頁  ★「バ、バカを言うな! こんな大きな子供がいるわけねえだろ!」

2019/06/24 22:08 投稿

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ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
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【連載小説 コスプレ少女】 今までのあらすじ

コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
彼女達のダンスパフォーマンスが投稿動画で評判に。
これをきっかけに動画サイトの『東京音楽祭』に招待されることに!
中学生のルミたちが東京を目指す、パフォーマンスはいかに?


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07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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【登場人物紹介】                
                     人公の本田ルミ
この春、中学生になったばっかりの女の子。
ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレをきっかけにコミュ障からリハビリ中。
 ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
「賢者のルミ」のコスプレイヤー。   

イメージイラストは
   はじめとみかん様提供     
                  
 

   
                                                             滝沢エリカ
ポニーテールにティアラを着けた「エリカ姫」

コスプレイヤーで中学三年生。
イジメによる背中に酷い火傷がコンプレックス。
リストカットした過去もあるちょっとワケあり
の美少女。
ルミをダンス動画作りに誘う。




                   白銀(しろがね)リン
ルミ
がイベント会場で出会ったベレー帽が
トレードマークの萌え可愛い女の子。
本名は坂本サキ

「天使のリン」をイメージしたオリジナル
コス
プレイヤー。
実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

 
イメージイラストは 彩葉 様提供。

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 当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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   345-348です。

ルミはキャリーバッグを左手で引き摺りつつ、
右手はビリビリと殺気際立つリンの手を握りしめ、
前を行くふたりを見失わぬようエリカの揺れる
プリーツスカートに着いて歩く。

雑踏を抜け裏通りへと入った。

暫く行くと雑居ビルに挟まれた一軒のレストラン、木目調の扉の上にビストロ・オニョンと 
ある、その入口に置かれたメニューボードの前で、
エリカノーコンPが立ち止まった。

どうやら目的地に着いたらしい。

ルミリンもようやくキャリーバッグ曳きから解放されて、一息つくことが出来た。

ノーコンPが店の扉を開けてエリカをエスコートする。
エリカは店に入りかけてから、ルミたちにチョイチョイと手招きをした。

うちらも早く来いと?

ルミはバタバタと駆け寄り、扉を開け続けているノーコンPに首だけ動かす簡単な会釈を
して、リンと一緒にそそくさと店の中へ入った。

「いらっしゃいませ」と白いシャツに黒い腰エプロンを着けた
店員のお姉さんに出迎えられる。

ルミたちは案内されるがまま、狭い通路をゴロゴロとキャリーバッグを引き摺り、
ダンジョンのように入り組んだ店の奥へと進んで行く。

表の店構えは扉しか見えなかったが、意外に奥行きがある店だった。

「ご予約様、こちらで~す」
と案内されて辿り着いた一画には、既に十人ほど集まっていた。

みんな大人の人!

 遅れて入ってきたノーコンPから、ルミはこの集まりが
明日開かれる東京音楽祭の実行委員会のメンバーだと教えられる。

 そんな大人ばかりの集まりに、場違いな中学生が入ってきたものだから、
皆の注目を一斉に浴びてしまう。

 知らない大人たちからの生視線、ただでさえ緊張してしまうような状況なのに、
コミュ障のルミはメデューサに睨まれたかのようにツインテールの先まで
石のように固まった。

 エリカと行動するようになってから、ルミ自分のコミュ障もだいぶリハビリ出来たと
思っていたのだが、まだまだ無理だった、心の中で
悲壮な叫びをあげる。

誰かわたしに『鏡の盾』を貸して~

 実行委員会の面々の中から、髪の長い艶麗な女性がノーコンPに声をかけて来た。

「あら? あなたお子さんがいたの?」(お子さんって、うちらのことか?)

 ルミは傍らのリンと顔を見合わせた。
 エリカは口に手を当てて俯き体を震わせている、笑いを必死に堪えているのだ。

バ、バカを言うな! こんな大きな子供がいるわけねえだろ!

「二十歳ぐらいで作れば、中学生の子供がいたって、おかしくない歳でしょう」

 髪の長い女性は、皮肉たっぷりと言葉を返す。

 ふたりの会話からルミは思った。
ノーコンPさんの年齢は三十代半ばらしい、『おっさん』だな

この子達は俺の曲の高速スキャットを歌った『エリカ組』のメンバーだよ

 ノーコンPがルミたちの素性を明かすと、
「おおーっ」と実行委員たちがどよめいた。

 ビギナーながら、投稿動画で三十万アクセスの高ヒットを飛ばしたエリカ組、
実行委員たちは、新進の中学生をテンション高く派手な歓声と拍手で出迎えた。


ノーコンPがエリカ組の面々をみんなに紹介する。
まず、エリカがポニーテールを手で跳ね上げ颯爽と挨拶をした。

滝沢エリカです。京都から来ました。
明日はよろしくお願いします!

彼女は右手を高く上げてから胸に手を当てて、バレエリーナのような深いお辞儀をした。
頭に輝く銀色ティアラがまるでウイーン社交界のデビュタントを思わせる。
初めてとは思えない堂にいった仕草だ。

『エリカちゃん可愛いー!』

 委員会のメンバーから歓声が飛ぶ。

 続いてリンがベレー帽を脱いで挨拶する。

白銀(しろがね)リン、中学一年ですゥ。
 え~と、趣味はコスプレでえ~……
 とにかく、よ、よろしくなのですゥ~

 たどたどしくも、舌っ足らずなアニメボイス。

 頭を真横にかしげて、柔らかな頬っぺたにⅤサインした指先を押しつけるあざといポーズ。

 ルミは呆れるくらい感嘆した。
さすがだ!さすがだよ萌っ娘! いつもコスプレ撮影会で
カメラのお兄さんたちを相手にしているだけのことはあるな

『リンちゃん萌え~!』

絶叫している人がここにも居るよ。萌っ娘のファンなのか?

みんなの視線が残るツインテールに赤いメガネの少女に注がれる、ルミの番だ。

あっ…… ううっ……

 顔を真っ赤にして棒立ちになるルミ、かと思えば、その顔色がみるみる青ざめていく。

 彼女の唇はアワアワと声にならず震えている。 もうほとんど卒倒寸前の状態だ。

 その様子を見かねたエリカが、ルミの肩を強引に引き寄せ、
ルミに軽くウインクをしてから、

このツインテールのメガネっ娘が、エリカ組の演出を考えてくれている
監督の本田ルミちゃんで~す!

 そう言って代わりに挨拶をした。

『おおっ、あの斬新な演出はあの子なのか!』

 ひと際大きな拍手が沸き起こった。

 エリカが呆然としているルミの頭を押さえつけ、一緒になってお辞儀をした。

 出来の悪い幼稚園児が先生に面倒を見てもらっているような感じだが、
周りの大人達はその初々しい光景を微笑ましくも思った。

 エリカのフォローで何とか挨拶を済ませることが出来たルミ
ふうと一息つくと緊張から解放され、固まっていた体も
少しづつ動かせるようになってきた。

 ルミたちより遅れてきた実行委員のメンバーもいて、店内はみるみる人が増え、
総勢三十人くらいになっていた。

 店内は幾つかのテーブルをソファーが囲むファミレスのような配置になっている。

 ルミは周りの人から勧められるがまま、エリカたちと離れた席に座らされてしまった。

 周りは知らない大人ばかり、見回して他のふたりを気にするルミ

エリカさんは狙ったようにノーコンPさんと同じテーブルに座りにいってる ……
 おまけにもう他の人ともお喋りしちゃってるよ! 

萌っ娘も別のテーブルで賑やかに喋ってる。
オタク受けを狙うあの娘のあざとさときたらプロだからな、人怖じしない人って羨ましいよ

知らない男の人に独り囲まれて、心細くじっと膝に手を置いて俯いているルミ
まるで初めて接客に出る素人ホステスみたいだった。

 やがて、テーブルに料理が運ばれてきた。
 店員が料理名を告げながら、涼し気なガラスの小鉢に入った前菜をテーブルに並べていく。

 サーモンのマリネ、海老の素揚げゼリー寄せ、ローストビーフの山葵添え、
どれも夏のオードブルといった感じで、美味しそうなラインナップに
ルミは思わずヨダレが零れそうになる。

彼女はお腹が減っていた。ここへ来る途中に行ったお昼の回転寿司屋が
百均じゃなかったので、我慢してあんまり食べていなかったから。

 目の前に小鉢が順々と置かれていく様子を、ルミは知らずに頭まで動かして追っていた。 空腹であることが周りからバレバレだった。

 右隣に座っている黒縁メガネの男性が、ジュースの入ったグラスを彼女に手渡しながら
「早く乾杯を始めたら、いいのにねえ」
 さりげなく同情的な言葉をかけてきた。

 ノーコンPが立ち上がってコホンと咳払いをしてから、グラス片手に挨拶を始めた。
こそが音楽祭の実行委員長なのである。
 この集まりは、音楽祭成功の前祝?的な飲み会らしいのだ。

カンパ―イ!

 実行委員長の口上を聞いてか聞かずか、とにかくみんなが一斉にグラスを突き出し、
チンして宴が始まった。


 ルミの隣に座る黒縁メガネの男性が、

「お酒に合わせた料理が多いからねえ、別に何でも好きなものを注文してもいいからね」

 そう言ってメニュー表をルミに手渡した。

 ルミはこの男性が自分に凄く気を使ってくれていることに気が付いた。

わたしが腹ペコなのが丸分りなのに、『お腹空いた?』などと直接的な言葉では訊いてこない、とてもデリカシーのある心配り、この人は信用してもよさそう

 ルミは改めて隣りの男性の風貌を観察する。
ずんぐりとした体形、ちょっとぽっちゃり系だけど、メガネの奥は象さんみたいな
優しい眼をしてる。どうサービスして見てもイケメンじゃないけど、
四角い顔にマジックで書いたような太い眉、これだけで何か頼りがいがありそうな
人に見えてしまうから不思議だ。

 声のトーンが高くて喋り方も明るい調子だから、歳はノーコンPのおっさんより
若く見える三十歳を越えちゃいないと思う

あのう …… これ頼んでもいいですか?

 ルミは遠慮がちにメニューにあるフライドチキンの盛り合わせを指差し、
黒縁メガネの男性にお願いしてみた。



(つづく)
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