●ニコ動連載小説『コスプレ少女ルミ』 

『コスプレ少女』新装版 東京音楽祭編 333-336頁  ★『真夜中のお菓子うなぎパイVSOP』

2019/03/30 20:59 投稿

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  • コスプレ
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ハーイ! あたしはルミ、京都に住んでる元気いっぱいの中学生! コスプレ友達の美人なエリカさんと萌え可愛いリンちゃんと今から秋葉原へ遊びに行きま~す! っていう朝の女児向けアニメのような明るい性格はウソだ。
本当はコミュ障でプチ引篭もりからリハビリ中なの。
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【連載小説 コスプレ少女】 今までのあらすじ

コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
彼女達のダンスパフォーマンスが投稿動画で評判に。
これをきっかけに動画サイトの『東京音楽祭』に招待されることに!
中学生のルミたちが東京を目指す、パフォーマンスはいかに?


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07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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【登場人物紹介】                
                   人公の本田ルミ

この春、中学生になったばっかりの女の子。
ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレをきっかけに
コミュ障からリハビリ中。
 ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
「賢者のルミ」のコスプレイヤー。   

イメージイラストは ぽよん様提供。     
                  
                                     滝沢エリカ
ポニーテールにティアラを着けた「エリカ姫」

コスプレイヤーで中学三年生。
イジメによる背中に酷い火傷がコンプレックス。
リストカットした過去もあるちょっとワケあり
の美少女。
ルミをダンス動画作りに誘う。




                                          白銀(しろがね)リン
ルミ
がイベント会場で出会ったベレー帽が
トレードマークの萌え可愛い女の子。
本名は坂本サキ

「天使のリン」をイメージしたオリジナル
コス
プレイヤー。
実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

 
イメージイラストはi彩葉 様提供。


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 当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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   333-336です。

 ルミたちが乗った車両は新幹線の二号車、自由席の号車だ。
朝の早い時間帯なので、まだ乗客は少ない。
彼女らは二列シートをクルっと回して向かい合わせにして、三人で一画を占領していた。

 窓側にルミリンが座り、リンの隣の通路側にエリカが脚を高く組んで座っている。

 中学生ながらスラリと伸びた細い脚、左の膝頭に右足の柔らかな脹脛が圧迫されて被さっている。スカート丈も短いので、石膏のように白いラインが太腿の奥まで露わになっている。

 通路を通る男性客が、みな彼女の美脚に目を止め、つま先から上へと視線を登らせていく。そして、その脚線美に似つかう美少女の顔を確認していくのだが、頭に燦然と輝く
銀色のティアラを見て一瞬動きが止まる。

何しろ、披露宴で花嫁が飾る以外、滅多に見ることがない代物だ、ティアラを冠した風変わりな美少女、ゲームキャラのコスプレだと知らなければ、一般の人からは、どこかの遊園地で浮かれ過ぎたパープリンな娘としか思われない。
エリカと目が合うと、とたんに俯いて平静を装おうとする。

 その様子に見かねたルミが、エリカの耳元へ手を添え囁く。
エリカさん、脚、降ろしたら? 通る人からチラ見されてるよ
 奔放な年長者に恐々と注意した。

ちょっと見られるくらいなら、別に構わないわよ。
そりゃあ、覘いてきたら承知しないけど
 あっけらかんと言い放つエリカ

 ルミは呆れつつ思った。
頭にコスプレのティアラを着けたまま、平気で外を出歩くこの人は、
周りの視線なんぞ、とうに麻痺しちゃってるのか?
 それとも、対面の空席を取られまいと牽制しているつもりなんやろか?

 ルミがそんな風に訝っていると、通路の自動ドアが開いて、車掌が入ってきた。

 肩や襟に金色の徽章の着いた制服が凛々しい女性の車掌だ、
制帽に軽く手を添えてから丁寧に一礼すると、爽やかな声で乗車券を
拝見させていただきますと告げてまわる。

 さすがのエリカも慌てて脚を引っ込め、座を正して乗車券を差し出す。

「ありがとうございます」
 女性車掌の営業スマイルに、エリカもお愛想の笑みを返していた。

 その様子があまりにおかしくてルミのツボにハマった。
口を手で押さえて笑いを堪えていた
のだが、プププッと唾とともに漏らしてしまう。

 車掌が向こうに行ってから、エリカが顔を真っ赤にして、
何、笑ってんのよ!と対面に座っているルミを靴の先で蹴った。

ふたりのやりとりにリンもクスクスと笑う。
車窓際でその白い頬が眩しいくらい輝いて見える。ルミ天使の笑顔を久々に見た気がした。そして、元気を取り戻した様子に安心した。
それと言うのも、先日、リンは姉のように慕っていた幼馴染を火事で失くしてから、
病んだように酷い落ち込みようで、近づくことも憚れるくらいだったのだ。

 今回の東京行きも、リンが本当に来るのかどうか心配されたのだが、
エリカの超がつくほどの強引さには彼女も勝てなかったようだ。

 新幹線が名古屋駅に停車した。乗り込んで来る乗客は多かったが、
同時に降りる人も多かったので満席にはならず、
ルミたちが向かい合わせにした占領シートも、何とかこのまま東京まで守れそうだった。

 ルミは東京・秋葉原に思いを馳せる。
秋葉原に行ったことがない。って言うか東京事体に行ったことがないのよね。
 ネトゲ―のパーティーに東京在住の人は沢山居るけど、
それは東京の経験値とは関係ないし。

 リンちゃんはお義父さんのお仕事関係で東京までパーティ―に連れてって
もらったことがあるそうだけど、もちろんRPGのパーティ―とは意味が違うよね
 ゲーマーオタク丸出しの思考をするルミ

 リンの義父は、坂本龍吉という海外で賞をとったこともある有名なミュージシャンだ。

いいなあ。都内の一流ホテルで開かれる豪華なパーティー、芸能人とかも
来てたって言ってたなあ……

 一般庶民の中学生にして見れば、坂本家のセレブな社交場は別世界。
ルミはミーハーに羨ましがってはいるが、実際にそんな場に連れて行かれたとしても、
コミュ障の彼女は何も喋ることも出来ず逃げ出してしまうだろう。

車窓をビュンビュンと流れる景色を眺めているとモーターボートが
白い水しぶき上げて走っているのが見えた。

あっ、浜名湖!
 そう気付いた時には、あっという間に浜名湖の青い景色は、
車窓から後方へと消えていった。

ルミが向かいに座るリンに話しかける。
ねえ、リンちゃん、浜松で有名なお菓子って知ってる?

知ってるですゥよ。うなぎパイでショ?
 長いまつ毛の目を半眼にして、さも当然という感じで答えるリン、さらに。
うなぎパイは『夜のお菓子うなぎパイ』っていう夜行性っぽいのが
正しい名前なんですゥよ

それくらい知ってるよ

じゃあ、ルミちゃん。『真夜のお菓子うなぎパイVSOP』って知ってるですゥか?
薄い鳶色の瞳を輝かせ、したり顔で訊くリン

真夜中のお菓子? ううっ、それは知らない。
夜中でなくて、真夜中ってところが、
さらにエロい雰囲気がアップした感じが!
媚薬でも入ってそう

もちろんお菓子に媚薬など入ってはいない、
初めて聞いた中学生の勝手なイメージである。

姉妹品にあるのですゥよ。食べたことないけど

ないんかい ……萌っ娘お得意のネット情報なのね

 ふたりの会話にエリカも入ってくる。
あんたたち、お菓子のことしか頭にないの? お菓子の前に浜松は、うなぎが名物なのよ

だって、浜松のうなぎ、食べたことないもん。エリカさんはあるの?

うっ、あ、あたしだってないわよっ!
 食べたかどうか? そんな話をしてるんじゃなくって、浜松の特産が ……

食べたかどうかは、重要だと思うのですゥ

 うなぎパイVSOPを食べてないリンまでエリカへの突っ込みに参戦する。

そうだよ、経験値の有無は重要だよ

んもう! あんたたちったら!

 女の子三人の賑やかなお喋りが華やいでいる。

 ルミは来て良かったと思った、エリカに強引に誘われていなければ無かったことだ。
 エリカのまるでつむじ風のように人を巻き込み、自分勝手過ぎて迷惑な所もあるが、
彼女の行動力に憧れている。

 ルミは頭の中でアレコレ考えているだけで、いつもそこから先へ踏み出せないでいる。
 だけど、自分の背中を押してくれる、いや腕を強引に引っ張って、
閉じこもっている殻から
連れ出してくれるのがエリカだ。

 ルミがそんなことを思いつつ、向かい側席のエリカの顔をゆるりと眺めていたら。

ルミ、あたしの顔に何か着いてる?

い、いや、何でもないです

あたしの方を見て、ニヤついていたわよ。 何か企んでたんでたんじゃないでしょうねえ
 ポニーテールに細い指を絡めなながら、エリカルミを怪しむような目で見る。

い、いや~、ほんとに何もないです。
 エリカさんの今日の服装が、いつもと違って大人っぽい感じがするなあ~って、
見とれてたんです

 エリカはいつも制服にティアラとゲームファンタジア学園の『エリカ姫』の恰好を
しているので、ルミの目に彼女のお洒落な私服がとても新鮮に映った。

あたしに見とれてたって?
 自分の着ている桜色のキャミを指で摘まんでみるエリカ

ハイ、もう惚れ直しちゃうくらいです

ちょっとウソ臭いわねえ
 そう言いつつも、エリカはちょっと嬉しそうに微笑む。本当はツンデレさんなのだ。


富士山ですゥ!
 外の景色を眺めていたリンが、窓に顔をくっ付けて声を上げた。

他のふたりも富士山を見ようと小さい子みたいに窓に張り付いた。

朝の富士山は、その山肌に太陽の光を浴びて神々しく輝いていた。

富士山ってこんなに綺麗だったんだあ感動を漏らすルミ

三人ともスマホを取り出し、周囲からの恥ずかしさも後回しにして
ガシャガシャと写真を撮り出す。
騒がしいルミたちに触発されたのか、窓際席のほぼ全員、
年配のビジネスマンまでもがスマホで写真を撮り出した。富士山大人気。

何だ、みんな富士山撮りたかったんじゃん

飛行機で上から見た時と違って、大きくて綺麗ですゥ

飛行機から……ですか
何気にセレブな発言をなさる白銀リンお嬢様。
わたしはまだ飛行機に乗ったことすらないよ

 萌っ娘の無垢な発言だけにルミは少し僻んだ。

もう直ぐ東京ね
エリカが輝く富士山を眩しそうに眺めながら呟いた。


(つづく)
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