●ニコ動連載小説『コスプレ少女ルミ』 

『コスプレ少女』外伝ソニックボイス  325-328頁  ★白銀(しろがね)リンの誕生

2019/02/03 16:52 投稿

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ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。ミステリアスなレイヤー白銀リン
小学生の頃には族を相手にヤンチャしていた!? そんな悪童時分の秘話。
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【連載小説 コスプレ少女】 コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、
 イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの
 白銀(しろがね)リンと出会う。

 白銀リンルミ出会う前の小学生の頃のお話。

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07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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【登場人物紹介】                
                         白銀(しろがね)リン

ベレー帽がトレードマークの萌え可愛い系のコスプレイー。

本名は坂本サキ
実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者。


イメージイラストは かりん様提供


                                                                  遠藤マリ
                       リンの幼馴染。二つ年上。
                       フィリピンの古武道エスクリマの達人。
 遠藤マリのイメージ画募集中!                       

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 当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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   325-328です。

地下道の奥からタンタンタンとハイピッチで駆ける靴音がこちらに近づいてくる、
聞き覚えのある音だ。
遠藤マリの遠のいていた意識が少し戻る。

まさか …… 自分は死んで夢を見ているのか? あの子がどうして此処に?

 うつ伏せに倒れていた彼女は、つぶっていた瞼を開けて周りを見ようとしたのだが、
頭を上げる力すら残っていなかった。

何より、照明の消えた地下道は 真っ暗で、ほとんど何も見えない。
取り立て屋達の慌てふためく騒めきだけが 彼女の耳に入ってきた。

 キャン! 犬の鳴き声のような 鋭く甲高い声が 闇に埋まった地下道の空間に響き渡る。

マリの鼓膜も ビリビリと痛いほど震えた。

 続けて、ドスッと鈍い殴打の振動が、冷たいコンクリートの床に突っ伏している
マリの頬にも伝わってきた。

ソニックボイス ……
 マリには 甲高い声の正体が解かっていた。

鼓膜を打ち破るほどの高音域の声を相手の耳元へ発して失神させる坂本サキの必殺技、
マリ自身も最初は信じられなかった特殊能力だ。

取り立て屋達のヒステリックな怒号が飛び交う。
彼らには何が起こっているのかさえ解らず、パニックになっているのだ。

キャン!とソニックボイスが響く度に、ひとり、またひとりと人が倒れていく音がした。

マリには見えなくとも取り立て屋達がやられていく様子が目に浮かぶ、痛快だった。

サキちゃんのバカ …… こんなことしたら、また警察に捕まるやん ……

 後先考えずに行動するサキをそう叱りながらも、マリの胸には熱いものが込み上げていた。

独りぼっちの自分を ……ずっと想っててくれてるのは、サキちゃんだけや。
思い返せば、あの子と初めて出会った託児所、うちの誕生日を知ったあの子は
シロツメクサの冠を 一所懸命に編んでプレゼントしてくれた。

 無垢な心でおめでとうって言うてくれた。

 それから、転校した小学校で偶然再会した時も …… 誕生日に大きなクマのヌイグルミを
プレゼントしてくれた。プレゼントをくれたことも嬉しかったけど、それ以上に、
うちの誕生日を忘れずにずっと覚えててくれた! 
そのことに驚いたし、メチャクチャ嬉しかった ……

 マリの片方だけとなった目から涙が溢れ出た。


いつの間にか怒号が聞こえなくなっていた。
どうやら、取り立て屋達は、みんなサキに や
られてしまったようだ。

ほどなくして、真っ暗な地下道の向こう側から、小さな光が揺れながら近づいてきた。
懐中電灯の灯りだ。

「おい、そこで何してる!」
そう問いかけた声の主は若い警官だった。

乱闘騒ぎの通報を受け、この現場に駆けつけてきたのだ。
警官は職務を遂行すべく毅然と声をかけたが、懐中電灯に照らされた先に、
鉄パイプを握り締めた人影を見て絶句してしまう。

灯りに反応して振り向いたのが 小学生の女の子だったからだ、
幼さの残るその顔にポツポツと赤い斑点が付いている。
よく見るとそれは返り血で、握り締めている鉄パイプの先も赤く染まっていた。

警官が懐中電灯で辺りを探ると、足下にはうめき声をあげ苦悶する大人が数人転がっていた。地下道は地獄絵図さながらの惨状だった。

女の子は無言のまま、足下の男に対してさらに鉄パイプを打ち振るう。
この暗闇の中、無表情に人を殴り続ける。

その光景を目の当たりにした若い警官は、全身の毛穴から汗が噴き出すくらいゾッとした。 

女の子は綺麗な顔立ちをしてはいるが、平然と冷酷な暴力を続けている、
まるで悪魔にでも取り憑かれているように見えたからだ。

我に返った若い警官は、止めろと叫ぼうとしたが 口が渇いて声が上手く出せてない。

女の子に駆け寄ろうとしたが、足がもつれてもどかしい。膝が震えていたからだ。

子供相手にこんなにも恐怖を感じている自分を情けないと、彼はそう気付きながらも
無我夢中で振り上げられた鉄パイプを掴みとり、女の子の動きを制止した。


鉄パイプを取り上げられた悪魔の子供は、抵抗する様子はなく、警官の顔を見上げている。

大きな瞳でジッと見つめられる警官、まるで西洋人形のように端整な顔立ちをしている女の子に凝視され、奇妙な気分に陥った。

返り血を頬に付けた子供、昔見たホラー映画のように呪いでもかけているかと思ってしまう。

警官は胸の無線機で状況を報告する、地下道で女児を保護しましたと ……

はたして、保護したのはこの子なのだろうか? 
それとも打ちのめされた大人達の方なのではないだろうか?
そんな疑問を頭の隅に残しつつも、若い警官は職務を遂行するだけであった。

後日、警官は保護した女児が、暴走族に「狂犬」と恐れられている坂本サキだと知る。

そして、地下道の出来事は『チンピラ殴打事件』として、
狂犬サキの伝説の一つとなるのであった。


―― 白銀(しろがね)リンの誕生 ――

坂本サキは 自分の部屋の大きな姿見の前で、横を向いたり、
クルっと廻ってみたりと熱心に、ポージングを繰り返している。
ヤンチャな素行の彼女も小学六年生になる。

いつもは 髪を後ろで雑多に束ねただけで、トレーナーにハーフパンツと動きやすさを
重視したボーイッシュなスタイルが多いのだが、今は
ピンクを基調にしたレースのブラウスに、ふんわりと膨らませたフリル付きスカートと、ドレッシーというよりもアニメから
飛び出たような可愛らしいメルヘンチックな装いをしている。

実はこれ、コスプレなのである。

ふむ、こんな感じかな
 スカートの裾を少し持ち上げてみて頷き、独り納得した様子。

 なぜ、彼女はコスプレを始めたのか?

チンピラ相手の乱闘事件で警察に補導された彼女は、その後、鑑別所に送られ、
そこで更生指導という名の下に 自分の粗暴な性格を勝手にアレコレと精神分析されて
お説教を受けた。

カッとなると、ついやり過ぎてしまう …… まあこれはしょうがないと考えていた。

鬱憤晴らしに気に入らない族を相手に喧嘩をする ……まあ、これも許して欲しいところ。

自分でもイケない性格だと自覚はしていたのだが、これまであまり真剣に考えてこなかった。しかし、義父の再婚をきっかけに、彼女は改心することにしたのである。

人気作曲家である義父の坂本龍吉は、綾華(あやか)という元歌手で、
まだ二十代の女性と再婚した。
サキは 始めこそ若い継母に人見知りをしたものの、優しい綾華のことを受け入れた。

綾華が産婦人科の診察カードを持っているのを見たサキは、継母が妊娠したと思い込む。

継母に子供が出来れば、家族で血の繋がっていない自分
邪魔者扱いされるのではないか?  家族の中で孤立してしまうことに怯えた。

そんな不安に襲われたサキは、流産させてしまおうと衝動的に考えてしまう。

実行こそしなかったのだが、そんな鬼畜なことを考えてしまう自分自身を恐ろしく思った。

おまけに綾香が産婦人科に行っていたのは、避妊手術を受けようとしていたからで、
それは
血の繋がりを気にしているサキのことを気遣って、自分の子は産まないとの
決意からだった。

 綾香が連れ子の自分をこんなにも想ってくれているのに、サキは自分を激しく嫌悪した。

 そんな鬱屈としていた時に、カウンセラーの先生がこう言った。

「粗暴な性格を治すことは出来ません。
 でも、抑えることは出来ます、自分が理想とする人格を演じなさい 」

理想とする人格を演じる。サキは考えた、でも、誰を演じればよいのか?

札付きの問題児として同級生から恐れられているサキに親しい友達はいない。
唯一親しい幼馴染の近藤マリがいるが、粗暴さが同類の彼女を演じても意味がなさそうだ。

一番理想とする人は亡くなった母親だが、大人を演じるのは、とても難しい。

考える中、リアル社会から候補は見いだせず、とうとう非実在なゲームの世界を夢想する。

人気ゲーム『ファンタジア学園』、ヒロインのエリカ姫は凛々しいお姉さんキャラ、
ちょっと自分には似合わなさそうだ。

あれこれ悩んだ末に、ついに見つけたのが、迷える天使のリン
公式設定では真っ裸のまんまの天使なのだが、人気声優の萌えボイスで人気があり、
ファンアートでは 絵師達が自分好みのロリコスを着せて描くのが流行っていた。

可愛い服装は好きなので、ロリコスに何も抵抗はなかった。
元々色白でキッズモデルをしていてもおかしくないほどの美少女のサキ
くどい感じのロリな衣装も見事に似合っていた。

ただ、イラストと違って、天使の輪っかをリアルで頭に飾るとちょっとダサくなる。

そこで、代わりに天使の羽根のデザインを入れたベレー帽を被ることにした。

可愛いのですゥ~

 ゲームの台詞を真似た下っ足らずな甘い萌えボイスも直ぐにマスターした。

 こうして、坂本サキは 母親の旧姓である白銀(しろがね)を使い、
白銀(しろがね)リンとして生まれ変わることにしたのだった。


(つづく)リン(坂本サキ)の外伝は、この回で終わりです。
     次回からは、ルミたち『エリカ組』東京のイベントに招待? お楽しみに! 
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http://ch.nicovideo.jp/sonicvoice/blomaga/ar858417

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