●ニコ動連載小説『コスプレ少女ルミ』 

『コスプレ少女』外伝ソニックボイス  317-320頁  ★最凶姉妹

2018/12/15 22:19 投稿

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ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。ミステリアスなレイヤー白銀リンは小学生の頃には族を相手にヤンチャしていた!? そんな悪童時分の秘話。
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【連載小説 コスプレ少女】 コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、
 イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの
 白銀(しろがね)リンと出会う。

 白銀リンルミ出会う前の小学生の頃、姉貴分の遠藤マリとヤンチャしていた。

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07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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【登場人物紹介】                
                     白銀(しろがね)リン

ベレー帽がトレードマークの萌え可愛い系の
コスプレイー。
本名は坂本サキ
実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者。


イメージイラストは瑠璃坂さりあ様。

                       遠藤マリ
                       リンの幼馴染。二つ年上。
                       フィリピンの古武道エスクリマの達人。
 遠藤マリのイメージ画募集中!                       

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 当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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   317-320です。

チン~♪ と電子レンジが軽やかに鳴った。
サキが皿ごとラップされた肉饅をレンジから取り出し、マリの待つソファーの前へ行き、
ガラステーブルの上に皿をコトリと置いた。

裸にガウンだけを纏って身を縮めているマリ、まるで腹を空かせた捨て猫が
餌を与えられているみたいだった。

すぐさま、マリは皿のラップを剥がし、肉饅が熱いので指を交互に換えながら掴み取った。
大きく口を開けて肉饅の皮に齧りつき、ハフハフしながら食べ始める。

 ガッつくその様にサキは苦笑しつつ、マリの隣に並んで座る。
そう言うマリちゃんは、なんで連中とつるんでいるの?
 マリに質問を投げかけ、サキも肉饅に手を伸ばす。

うちが連中と付き合うのは、『力』が欲しいからや。世の中、金と力のある奴が勝組や。 うちは貧乏やからな、まず力を手に入れたい。
 サキちゃんみたいにウサ晴らしだけの喧嘩なんて、何の得もあらへんからな

 マリは肉饅をパクつきながら、族仲間との付き合いを打算があってのことだと主張する。

じゃあさあ、マリちゃんは力を手に入れて何する気? それで幸せなん?
 サキマリの顔をつぶらな瞳で覗き込み、長いまつ毛をパチパチさせながら訊いてくる。

 肉饅に噛り付いている途中でマリサキと目が合った、肉饅から口を離す。

ありゃ~、小学生のくせに、えらく哲学的な事を訊くなあ。
ふ~む、お金持ちには成れたけど、坂本サキお嬢様の心は、今も満たされていないと?
確かに一理あるかも …… 

考えこむマリ、肉饅を触った指先を行儀悪く舌を伸ばしてペロペロと舐め始める。
見かねたサキがテーブルのウエットティッシュを摘まんで彼女に差し出す。

これで拭きなよ

あっ、すまん、すまん

 マリは渡されたティッシュで指先を拭きとると、難しい疑問をしてきたサキの肩を
抱き寄せ、背中から覆い被さるようにハグをした。
 サキの肩に顎を載せ、耳の後ろから囁く。
そやな …… たとえ、お金と力を手に入れたとしても幸せになれるとは限れへん。
それはうちにも想像がつく……
でも、力があれば、虐げられることはない

マリのその言葉の意味には、理由があった。
何しろ、彼女は聞く者も青ざめる壮絶な幼少期を過ごしてきたからだ。

母親は薬物中毒で育児放棄も同然、ボロを纏った彼女は裸足で町を徘徊、
見かねた人が食べ物をくれた、捨て猫と変わらない惨めな体験だ。

父親は彼女が物心ついた時には家を出て行ってしまって顔も覚えていない、
代わりに母親の下には、借金の取り立て屋が出入りしていた。
彼らは母親とマリに暴力を振るった、母親の体を利息代わりにむさぼり、
中には 幼女の口で欲情を満たす鬼畜な者までいた。

お金もない、親からの愛情さえも受けられなかった彼女は、保護施設をたらいまわしにされ、学校でもやっかい者扱いされて育ってきた。

遠藤マリが不幸な境遇を生きていくには、強くなるしかなかったのだ。

サキちゃんが質問した気持ちも何となく解かるよ。
お金がいくらあっても、殺されたお母さんは生き返らへんもんなあ

マリは幼馴染の生い立ちを良く知っている、坂本サキは実の父親を知らない、
母親はサキが小学一年生の時に通り魔に刺し殺されたのだ。

マリサキの肩越しに腕をまわして、白く柔らなサキの頬に自分の頬を寄せた。

母親を殺されたことが …… 今でも?

サキが頬を押し返しながら答える。
…… 自分でもわかんない。
もやもやとした気持ちが、いつまでも晴れない ……カッとなったら、自分を止められない
頬を動かしマリの頬を切なげに擦り合わせる。

大丈夫や。心配ない、うちがおる。うちはいつだってサキちゃんの味方や

心の奥底を互いに慰め合う少女ふたり。
広いリビングの時間が、暫し止まったように静かになる。

 ピーピーと浴室から、洗濯完了の合図が聞こえてきた。
おおっ、そう言えば、服を洗濯中やった

 マリは勢いよく座っていたソファーの上に立ち上がると、纏っているガウンを開け拡げ、サキよ、我がパンツをこれへ持て!
と、好きなアニメの影響でも受けたのか、ひどく中二病的な言いまわしで宣った。

突然の半身露出、その奇行にサキは唖然とする。
…… 時々、うちもマリちゃんをヤバい奴だと思う時があるよ
そう言いつつも、そそくさと浴室にマリの服を取りに行ってやるサキ

普段、遠藤マリは対外的に虚勢を張っていて、姉御風を吹かしているのだが、
稀にサキの前で、子供っぽい振る舞いをすることがある。
サキに甘えているのだ、唯一、心許せる幼馴染だからだ。


―― 最凶姉妹 ――

坂本サキが族の集会で紹介されてから二ヶ月余り、遠藤マリの妹分として、
その名はその手の連中の間に増々知れ渡っていった。

ある日のこと、マリサキは人気の無い地下駐車場で、半グレ集団に取り囲まれていた。

マリは暴走族のレディース『狂蘭(きょうらん)』に所属し、中学生ながら
そこの幹部なのだが、成り上がり者の彼女に反発する古参メンバーも少なくない。
そんな奴らに制裁目的で罠に嵌められたのだ。

 この地下駐車場へは、ビルの中の狭い階段を使う。

階段を降りていく途中、突然、上の階から激しいエンジン音が鳴り響いたかと思うと、
一台のオフロードバイクが襲ってきた。
人しか昇り降りしないはずの階段、不意打ちに気付いた時には遅く、
狭い階段では避けようもない。

ふたりはバイクに半分轢かれながら、駐車場への出口へ転がり出た。

薄暗い駐車場内には、揃いの黒いチームジャンパーを着た半グレ集団の男達がいた。
待ち伏せされていたのだ。
半グレ集団は、暴走族と違い、成人しているものも多く、極道ではないが街のギャングだ。

バイクに当てられ、サキが脇腹を手で押さえている、動きも鈍い。
サ、サキちゃん、うちを庇ってくれたんか?

サキはやや照れくさそうに返事をする。
う、うん。ガードしてたの分かった?

まあな …… 走ってる原付から飛び降りたってケガひとつせえへん反射神経やのに、
おかしいと思ったんや。ありがとうな
 そう礼を言うと、マリサキの頭をやさしくポンポンと叩いて二コリと笑った。
直ぐに顔を引き締め、サキの手を引き駐車場内を逃げ廻った。

しかし、逃げ場のない袋小路へと追い込まれ、小学生と中学生のふたりより 十歳は
年長の男六人に取り囲まれてしまう。

金髪を逆立てたリーダー格の男が、ふたりの前へ踏み出てこう言った。
「あ~、おチビちゃん達に、個人的恨みは、ちい~とも無いんだけどねえ。
お仕置きしてくれって頼まれちゃってさあ」
 男のねちねちとした喋り方が癪に障る。

グルルル ……
 手負いのサキが、その大きな瞳を充血させ、猛獣のように低い唸り声をあげている。
あかん、サキちゃんがキレそうになっとる
 マリサキが暴発しそうなのを見て取ると、サキの胸ぐらを掴み、
おでことおでこを強くぶつけて怒鳴った。

落ち着け、サキちゃん! たかが相手は六人や!

 マリの剣幕に、サキは我に返る。
 叱られた子供ように、しょげた表情になり、お腹の辺りをさすり始める、
興奮で忘れていた痛みが戻ったようだ。

「たかが六人だと? 『狂蘭(きょうらん)』の幹部だけあって、えらく威勢がいいなあ。
でも、泣いて土下座しても許してやんないぜ、俺たちゃ、頼まれてやってるんでね。
そう、ビジネスなんだよ、ビジネス」

ほう、赤城がお金払いよったんか?

「ああ ……」
 男の返事を聞いて、マリがニタりと笑う。

カマかけてみたんやけど、やっぱりあいつの仕業か。教えてくれて、おおきに

 この窮状においても敵に探りを入れる、遠藤マリはそんなしたたかさを持った少女なのだ。

「クッ! カマをかけただと …… まあいいか。
 おまえは自分の置かれた今の状況が、よく解かっていないようだな。ああん?」

 男は両腕を拡げ、仲間が取り囲んでいる様子を改めて誇示して見せる。
 マリは少しも動じない。背中に仕込んでいる二本のオリシ棒を抜き出した。

 男の手元で何かがキラキラと光った、カシャカシャと音を立てながら、
ハンドスピナーのように回転する物を男は操っている。
 カシャンと手元で止まったその物体は、バタフライナイフだった。
目に見えないくらいの高速の手さばき、男は相当な使い手だ。

「これから、その生意気な面に、一生消えない傷を
誰だか判んねえぐらい切り刻んでやるぜ!」

 地下駐車場に冷たい声が響く。男は手元のナイフを回転させながら、マリに迫る。

(つづく)
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