座談会 2021年2月号 Part1 2021年2月26日発行  発行者  エージェントNo.118

【1】はじめに

2021年に入り、2回目の座談会を迎えることが出来ました。今回も座談会を迎えるにあたり、準備をかなりの期間設け、準備を行ってきました。この座談会が無事行えることは、非常に感慨深い物があります。

今回もPart1/2合わせて20000字越えの座談会収録模様を文字で記載をさせて頂いています。先月の繰り返しになりますが、読み物として、お楽しみください。


【2】座談会メンバー紹介
  • キュレーター(記載時:無名太文字表記)
  • N/Gさん
  • 猫月さん
  • ベンゾーさん
  • 御丹宮くるみさん

【3】座談会その1 自己紹介

ボカロタイムズ座談会2月号にご参加いただきありがとうございます。ボカロタイムズは掲載開始から数多くの楽曲を紹介してきました。その数多くの楽曲の中から、ボカロが好きなメンバーをお呼びし掲載楽曲の中から今月の一推し楽曲を決定する座談会を、先月に続き今月も開催します。

では、ここで座談会メンバーにお一人ずつ自己紹介をしていただきます。その際、推しのボカロ曲をご用意いただきましたので、自己紹介と合わせて推しボカロ曲について語っていただき、今回の座談会の意気込み等も語っていただけると幸いです。それではまずベンゾーさんお願いします。

ベンゾー:ボカロ初心者のベンゾーです。今日はよろしくお願いします。

僕が推し曲として選んだのが、2014年に発表されたhalyosyさんの【Blessing】という曲です。僕は元々ボカロの曲を聞くことがほとんどなくて、有名な曲も名前だけなら、いくつか知ってるっていう感じだったんですよ。人じゃないVOCALOIDが歌うってことに少し抵抗があって…。でもこの曲を聴いてからボカロに対しての向き合い方が一気に変わりました。この曲を知ったきっかけっていうのが、SINGERSバージョンに推しの歌い手さんが参加したことですけど…。先月の週刊ニコニコインフォでえんりさんがおっしゃってたみたいに、一つの曲に大勢の方々が参加されてるって事にすごく衝撃を受けまして、それまでは歌い手さんによるボカロ曲の歌ってみた動画は見たことがあったんですけど、それを見ても原曲を知ろうというところまでは中々ならなくて…。でもSINGERSバージョンを聴いた時の衝撃と感動が凄すぎて、初めて原曲の動画をじっくり見ました。そしたら「ボカロが歌うのもめっちゃええやん!」と思って、そこからはボカロが歌うことに何の抵抗もなくなったっていうか…むしろボカロにはボカロの良さがあるんだなと思うようになりました。

歌い手さんが歌うボカロ曲って、その歌い手さんの解釈っていうのが出てくると思うんですけど、歌い方だったり、抑揚の付け方だったりで…。でもVOCALOIDの原曲というのは、それがいい意味でフラットな状態なんで…。だからこそ僕なりの解釈ができるんやなっていうのがあって、そういう意味でこの曲は僕をボカロ曲に出会わせてくれた思い入れのある曲ですね。

はい、では本日はよろしくお願いいたします。では次、N/Gさんお願いします。

N/G:はじめましての方ははじめまして、いつもよく話してくれてる方はいつもお世話になっております。N/Gと申します。ボカロ曲との出会いは、中学生ぐらいの時に同級生がちょっと話をしたんですよね。初音ミクっていうのがあって、みたいな…。その時は、あんまり知らなかったんですが、MAD動画とか気になって見たりとかしていた所、その時にボカロっていうのがあるなぁ…と思い出して、よっぺーさんの【炉心融解】を最初に見たんですよね。あのフリーダムさな感じから、いろんな歌ってみたからボカロに入っていって、一時期マイリスト999登録オーバーして、マイリスフォルダが2つありました(笑)。それぐらいマイリスしすぎて訳わからない状況になってたんで、今はマイリストフォルダ整理しましたけど、そんな感じでずっとボカロ曲を聞いていて、今から5年くらい前かな…。自分でも動画を投稿してみたいな、みたいな感じでニコニコ動画に、その時、艦これが好きで、艦これは船を擬人化した作品なんですが、国を擬人化したヘタリアの方にも手を伸ばして。その2つの作品をクロスオーバーした自分だけの動画を作ってみたいな、みたいな感じになっちゃって…。MMDの動画をそれで初投稿して、この時に作った時の動画もボカロ曲を使って作ってました。その後は今でもずっとボカロ曲は聞いてます。

今回推し曲で*Lunaさんの【ディセプション】って曲を挙げさせていただきました。ボカロ曲で好きな曲が多すぎて、一推しっていうのがイマイチしっくりこなかったので、最近めちゃくちゃ聞いてる曲どれかなと思った時に、この曲だなと思ってディセプションを挙げさせていただきました。この曲は久々に一番最初のイントロからやられた曲ですね。グッと掴まれるところがあって、曲が印象的な作り方とかで、ボカロも(鏡音)レンとflowerっていうちょっと珍しい組み合わせで、なんか力強く感じるんですよね。歌っているボカロ自体が。歌詞も共感できるところがあって、もうね、全部好きです。この曲は。なので挙げさせていただきました。では今日はよろしくおねがいします。

はい、よろしくおねがいいたします。それでは次はくるみさんお願いします。

くるみ:はじめましての方ははじめまして、こんくるです。バーチャルボカロリスナーのくるみと申します。普段はバーチャルボカロリスナーと称して、ボカロ曲の紹介とかVOCALOID関連の生放送とかをメインに活動しております。一応Vtuberとして活動してます。

皆さんボカロ曲を聞いてきた経緯とか話してるんで、自分も一応その辺触れさせていただくんですけど…、もともと2007年の10月、【ハジメテノオト】をきっかけにVOCALOIDを聞き始めました。週ニコでもこの話をしたと思うので二回目になりますが、当時通ってたお絵かき掲示板で初音ミクのコスプレをした女の子を描かれるのがすごい流行ってて、その流れでビジュアルから音楽に入っていったという形になります。(ボカロ曲を)ずっと聞いてる人って全然少なくて、2007年からVOCALOIDを聞いていますっていう人で最新曲をちゃんと追ってる人って相当少ないと思うんですよ。なので、自分だけは少なくとも聞いていくぞ、みたいな感じのモチベーションで日々ボカロ曲を聞いています。よろしくおねがいします。

今回持ってきた楽曲、【ほんの少しは自分から】なんですけれども…。この曲の投稿が2017年なんですが、先程2007年からずっとボカロ曲聞いててって話しましたけれども、私リアルの方が少し忙しくて2015年2016年と全然ボカロを掘れていなくて、2017年に久々に戻ってきたみたいな感じなんですね。その戻ってきた年だからこそ2017年に思い入れがあって、その2017年の中で一番好きだなって思ってた【ほんの少しは自分から】を選出させていただきました。9分24秒ある曲で、ちょっと聞くのしんどいかなって…。もしかしたら思うかなって思うんですけど、文字通りイージーリスニングっていう感じの大きな波のある楽曲で、一番盛り上がりのあるところが、大体6分30秒ぐらいのところなんですよ。サビが6分30秒以降ぐらいだと思っていただければと思うんですが…。この楽曲をイヤホンでずっと垂れ流しながら、学校の休み時間残り10分のタイミングでこの曲再生して、「あっ(休み時間)終わっちゃうな~」って思いながら教室に行くみたいなルーティンをずっとやってて…。それもあって自分の中でメンタルのしんどいところを刺激される感じの、ちょっと大事に自分の中で聞きたい感じの楽曲になってます。よかったら皆さんも聞いてみてください。そんな感じでよろしくおねがいします。

はい、よろしくおねがいいたします。では最後、猫月さんお願いします。

猫月:猫月と申します。1月座談会に引き続いて2連続で参加させていただくことになりました。ボカロタイムズでは、月1で「厳選Ayu×Remix」っていうRemix曲・アレンジ曲・カバー曲といった二次創作楽曲だったり、そういったものをまとめて皆さんにご紹介するコラムを担当させていただくことになっています。前回の座談会の時の反省として、前回は曲だけ選んで、曲全部、一通り聞いて参加したんですけど、そしたら話がものすごい限界オタク化してしまって、話が散文的になってしまって…。文字起こし班が大変になってしまったというのを聞いたので、今回はしっかりメモをまとめて来ました。まとめてきたんですけど、事前に頂いてる曲の紹介パート以外はどうしてもまとめることができないんで…。前回同様、散文的になっちゃうと思いますが、何卒よろしくお願いします。

ちなみに皆喋ってるのでちょっと話すと、VOCALOIDとの出会いが小学5年生とかだったと思います。当時よく聞いてたSEKAI NO OWARIっていうバンドのボーカルfukaseさんが「VOCALOID Fukase」としてボカロ化するっていうのを知って、そこがハマるきっかけでした。今回の自己紹介曲とはまた別なんですが、その時にハマったきっかけになった曲っていうのが、れるりりさんの【僕がモンスターになった日】っていう曲でした。是非、まだ聞いたことのない人は聞いてみてください。

推し曲の紹介に移らさせていただきます。今回持ってきたのが【Creating Swing!】っていうわかばマークさんの投稿の楽曲になります。歌うボイスロイド楽曲ですね。琴葉姉妹(琴葉茜・葵)のオリジナル曲です。あまねくクリエイターをハイパーAIの琴葉姉妹が応援してくれる曲になってます。聞いてみて分かると思うんですけど、ひたすらに可愛い。曲もそうなんですが、映像もすごく凝っていて、曲と映像と全部ひっくるめて「すごく可愛い!あぁ^~」っていう。普段VOICEROID劇場とか解説とかの動画投稿をやってるんですが、ものすごい幸せになった一曲です。このわかばマークさん、他にも琴葉姉妹のオリジナル楽曲を中心に動画を投稿されてるので、琴葉姉妹の曲が聞きたい!ってなったら是非この方の楽曲をチェックしてください。ってことで、以上自己紹介です。改めてよろしくおねがいします。

はい、ありがとうございます。以上4名とキュレーター。合わせて5名で、今月の推し曲を決定する座談会を行っていきますので、皆さんどうか、本日はよろしくおねがいします。

一同:よろしくおねがいします。

<登場楽曲>

  1. 【ニコニコラボ】Blessing
  2. 【鏡音リン】炉心融解
  3. ディセプション
  4. ハジメテノオト
  5. ほんの少しは自分から
  6. 僕がモンスターになった日
  7. 【Electro swing】Creating Swing!

【4】座談会その2 新着枠より推し曲決定

1月中、多岐にわたってご紹介してきたボカロタイムズ。掲載曲は約110曲となりました。この中から今月の推し曲として、新着枠から1曲、発掘枠から1曲、計2曲を決めていきます。

まずは、新着曲から座談会を行っていきます。皆さんにはそれぞれ1曲ずつ、新着の中から選んでいただきました。まず選んだ楽曲のご紹介をして頂き、なぜその楽曲を選んだのか、という理由をお願いします。皆さんにお聞きした後にフリートークをして頂き、最終的にどの楽曲を一推し曲にするか決定していきたいと思います。

では、順番に聞いていきたいと思います。まず、ベンゾーさん、お願いします。

ベンゾー:はい。僕が選んだのは、海風太陽Pさんの【ゴリラアタック(仮)】です。これは、ネタ系の曲になるかなと思うんですけど、まずはタイトルとサムネの画像に心奪われた感じですね。もうその2つだけでも、ものすごいパワーがあって、ボカロタイムズに載ってるのを見た瞬間に動画ページに飛んでました。この曲のポイントは、何といってもゴリラですね。もう圧倒的にゴリラです。ゴリラがゲシュタルト崩壊しそうなぐらいゴリラなんですよ。

一同:(笑)

ベンゾー:歌詞にもゴリラを連呼するとこがあるんですけど、一緒に口ずさんでると、自然とテンションが上がってくる、そんな曲ですね。曲を聴き終えた後でも、頭の中がずっとゴリラに埋め尽くされそうな感じで。洗脳されてしまいそうな、そんな歌詞ですね。それと、この曲はネタとして面白いだけじゃなくて、オケ、トラックですかね。その部分がもうめちゃくちゃかっこいいんですよ。何かこう、力強さとか、緊張感とか、それがガンガン伝わってくるんですよね。ゲームのボス戦とかで流れてても違和感がないぐらいかっこよくて。個人的には「誰かこの曲使ってゲーム作って欲しいなあ」と思うくらいです。絶対ボス戦が盛り上がるんで。ネタとしての面白さと、曲としての格好良さと、その2つが違和感なくうまく混ざり合ってるし、その2つのギャップも楽しんで欲しいなーっていう曲です。

はい、ありがとうございます。では、皆さんの話を聞いた後に、改めてどの曲がいいか話していきたいと思います。続いて、N/Gさんお願いします。

N/G:はい。今回は、にっけいさんの【ブルーライトユニバース】という曲を挙げさせていただいたんですけど、新着枠はいい曲が他にもいっぱいあって、【アンビバレンスアンハート】とか、【落ちない話】、【かるみあどーるず】、【雨のうた】、【ハッピーサワー】、【Little Cigar】、【Really Mighty Lady】とかね、正直選んでいくのがすごく難しいな、って思いました。それで、選曲の仕方を考えて、とりあえず全部聴いて、いいなと思ったものを視聴履歴に残していって、一週間経って、自分がふと聴き返している曲を選んだんですよ。それで、【ブルーライトユニバース】を一番聴いてたので、この曲を選びました。

N/G:後で「何でこの曲何回も聴いてたのかな」って自分の中で考えてみたんです。個人的には、ボカロ曲の中には、ボカロの電子音声に合う曲ってものがあると思っていて、逆に言うと、ボカロなんだけど「これ人が歌った方がいいだろうな」とかって思うような曲もある、という風に思っていて。今回は「ボカロ曲」ってことなんで、原曲であるボカロの声がよく合っている曲の中で、好きな曲を選ばせていただきました。【ブルーライトユニバース】は、曲の雰囲気に初音ミクの声がすごく合ってて、何しろ調声がすごく綺麗なんですよ。織り交ぜてあるみたいな感じ。冒頭とかで、シンセサイザーとかも使用されてるんですけど、「ミクの声と混ざっちゃってよくわかんねえな」みたいな曲とかもある中で、この【ブルーライトユニバース】は、初音ミクの声が死んでないんですよね。シンセサイザーの中に埋もれてない。ミクの声がちゃんと聞こえるな、って思って。生きてる感じがして、とっても良かったですね。ミュージックビデオも、単純にいっぱい動かしてるっていう感じじゃなくて、ちゃんと歌詞や作品の内容を伝えたいっていうのが凄くわかるし、情景を想像しやすいというのもあって、この曲も本当に個人的にこの1週間2週間ぐらいずっと聴いてたんで、この曲を選ばせていただきました。

はい、ありがとうございます。また後ほど、皆さんの話を聞いた後で、どれが良いか話していきたいと思います。続きまして、くるみさん、お願いします。

くるみ:はい。私はですね、ツカダタカシゲさんの【ラストファンタジー】を持ってきました。

くるみ:理由としては、私がもともとツカダタカシゲさんがめちゃくちゃ好きで、ツカダタカシゲさんはもともと2010年くらいからR&Bをメインに活動しているボカロPなんですけれども、2015年に1回活動が途絶えていて、その後2020年5月に、5年ぶりに【空ノ月、海ノ月】っていう楽曲で戻ってきた、「王の帰還枠」という感じのボカロPさんで。もともと「ツカダタカシゲさんが戻ってきたぞ」みたいな感じで、自分の中ですごく印象的だったんです。戻ってきた時に、曲調が変わる方・変わらない方、いらっしゃると思うんですけど、ツカダタカシゲさんは、どちらかというとちょっと変わってた感じで。R&Bの方っていう風に先ほど言いましたけれども、元々作ってらっしゃったR&Bが、どちらかというと「女性の柔らかい感情」みたいなのを表現するのにすごく長けてる感じの「確かに音はソリッドなんだけど、どちらかというと雰囲気が硬めのクラブミュージックっていう感じよりも、柔らかいバラードに寄った感じ」のR&Bを書かれる方だったんですけども。そもそも【空ノ月、海ノ月】で戻ってきた時点で、すごく音がソリッドでクラブミュージックテイストになったなって思っていて、その後2020年、何作か精力的に活動されてた明けの、今年入っての【ラストファンタジー】が、2ステップなんですよ、R&Bじゃなくって。聴いていただくと分かると思うんですが、どちらかというと柔らかい感じというよりは、結構音の硬さが前面に出てるんですよね。例えば、サビに入る前、Bメロの最後とかに、ちょっとブリブリっとした感じの音が入ってくるところとか、あとは決め球としての、高音のシンセ音とか。

 そういうところで、今までの、私の知ってた5年前のツカダタカシゲさんとは、またちょっと違ったテイストを入れてきてるなー、っていうのをすごく強く感じて。それでありながら全体の、それこそ歌詞の表現とかは、元の「女性の柔らかさ」みたいな感じのアンニュイな雰囲気をそのまま残していて、メロディーラインもそうなんですけど。そのギャップがとてもいい感じに働いてて、そこが好きだなって思ってます。あと、単純に伸びたの久しぶりなので、「ツカダタカシゲさんが伸びてる!」って思ってすごい嬉しかったです。

はい、ありがとうございます。後ほど、同様に皆さんの話を聞いた上で、どうしようかって話をしていきたいと思います。では、お待たせしました。最後、猫月さん、お願いします。

猫月:はい、自分ですね。新着枠は、このぎさん投稿の【禁忌】っていう楽曲を持ってきました。

猫月:全曲バッて聴いてたんですけど、一曲「えっ、やべぇ!」っていうのがあったんですよね。自然音から始まる曲っていうのはたくさんあって、雨がしとしと降っていたり、春風のような風が吹いていたり、っていう自然音から始まる曲って結構あるんですけど、いきなり「雷ズドーン」から、ってヤバくないですか。ここで「えっ、なっ、えっ、やべぇ!」ってなってそのまま聴いてたんですけど、テンポが変わるんですよ、この曲。テンポというか、曲の速さというか。1番が終わって、速くなって、最後また遅くなるんですけど、恐らくこの歌詞を歌っているであろうPVの女の子の、この人の感情に合わせて多分変わっていて。ほんと、よく思いつくなぁっていう。もう1つ、やべぇと思ったのは、2番終わってラスサビまでの間奏の部分ですよね。音にとらわれるというか、タイミングよく何かを入れるっていう方は多いんですけど、突如、唐突に、全く曲に合ってないタイミングというか、本当に自然さながらみたいな感じで、急に雷が鳴って、「あ、これヤバいな」っていう。本当に語彙力がなくなる1曲でした。

はい、ありがとうございました。ということで、皆さんそれぞれの推しの楽曲に対しての思いを聞いていきました。ここで、フリートークという形で、改めて皆さんの話を聞いた上で「この曲やっぱりいいな」といったインプレッションがあれば、それぞれまた聞いていきたいんですけど、ベンゾーさん、どうでした?

ベンゾー:そうですね。もうほんまに全部めちゃめちゃいい曲で。N/Gさんが推した【ブルーライトユニバース】とかも、すごい透き通ってる曲っていうんですかね、綺麗な曲というか。僕の中では、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』と『やまなし』を足して2で割ったようなイメージが出てくる曲で。そういう世界観がすごい綺麗やなーっていう風に思ってますね。くるみさんの【ラストファンタジー】も、歌詞が大人と子供が入り混じった思春期みたいな雰囲気というか、大人として現実を分かっているけど、でも子供の部分がそれを直視できひんみたいな、そういう複雑な感じというか。自分が思春期の時に「あー、そういう感じあったなー」みたいなのが分かったり。猫月さんの【禁忌】も、ほんまに感情の変化がすごい伝わってくる曲ですよね。最初絶望みたいな感じで、恐怖感じたり、諦めたり、でも最後開き直って受け入れるみたいな感情の変化をすごい感じて。全体的に明るい雰囲気の曲ではないんですけど、最後は受け入れて前に進もうっていう、前向きな気持ちも感じつつ聴き終わるっていう感じですね。

なるほど、いいですね。では、N/Gさん、聞いた上での全体のインプレッションはどうですか?

N/G:ベンゾーさんの【ゴリラアタック(仮)】は僕も聴いてて一人で笑ったりとかしてましたけど、これもかなり印象に残りますよね。だから、すごくいいなって思うし。くるみさんの【ラストファンタジー】なんかは、僕はメガテラ・ゼロさんの歌ってみたをよく聴いてて、これも個人的にはかなり好きですね。で、猫月さんの【禁忌】は、週ニコで出てなかったかな。

そうですね、出ました。

N/G:週ニコで出ていて。さっきの「自然音で最初に雷がズドーンってくる」、確かにそうだなと思って。そういう意味でかなり印象に残ってるといえば印象に残ってるから、そういうところがかなり特徴的だったのかな、って思いましたね。

なるほどなるほど。いいですね。くるみさん、どうですか。全体の話聞いた上で、何かインプレッションや感想はありますか。

くるみ:そうですね。まずベンゾーさんの挙げてらっしゃった【ゴリラアタック(仮)】、くるみも聴いてた時に、それこそさっきの話にも出ましたけど、ゲームソングっぽい、戦闘曲っぽい、ボス戦っぽい、みたいなのを自分もすごく感じて。そういう「ゲーム曲っぽさ」みたいなのと、ネタ曲っぽさの掛け合いかたがすごくボーカロイド的、それもニコニコ動画のボーカロイド的、という意味でとても魅力的だなぁと思います。 N/Gさんの挙げてらっしゃった【ブルーライトユニバース】は私もすごく好きで、マイリスしてよく聴いてる楽曲なんですけど、爽やかロック好きなんですよ。にっけいさんって元々弾いてみた楽曲をやってらっしゃった方だと思うんですけど、弾いてみたから来たボカロPってみんなすごいキメキメなんですよね。それに違わず、にっけいさんもとってもキメキメな、それこそサビの最後の音をばっちり切って、一音ずつキメてくるところとか、すごく演奏してみたの人だな、と思うんですけど、ただそれがあんまり暑苦しい感じじゃなくって、それこそ透明感とか、青さみたいなのに繋がってるのが、この曲以外であんまり見ない良さを感じてます。

 猫月さんの【禁忌】、これすごい“ボカロ”ですよね。bpm上がったり下がったりというのもそうですし、それこそ環境音を入れてくるみたいなフックの使い方とか、あとボーカルが初音ミクで、それもあんまり目立った調整をされてない初音ミクなので、これだけ楽曲で感情の揺さぶりを表現してるのにも関わらず、ボーカルが全然揺れないんですよ。そこがすごく個人的に好きで、猫月さんがこの曲好きっていうのもわかるなっていうのもあります(笑)。

なるほどなるほど、ありがとうございます。では、猫月さん、全体の話聞いた上でインプレッションいかがですか?

猫月:自分も順番にいくと、ベンゾーさんの【ゴリラアタック(仮)】、ごめんなさい、これ最初頭に「?」が浮かんじゃって。ものすごいかっこいい歌詞だし、かっこいい曲だし、サビは「ゴ、ゴリラ? え、どういう事?」ってなっちゃうんだけど、ものすごいハマるというか、自分の頭の中にどこか張り付いたんでしょうね、何度も何度もループしてしまって。サビのゴリラを連発した後のコアラも、ね。っていう感じでした(笑) N/Gさんの【ブルーライトユニバース】は、宇宙空間を漂ってるような、でも水族館にいるような、なんか電車に乗ってるような、ものすごい爽快感・透明感のある、ものすごい気持ちいい曲だなぁと思って。ずっと聞いていたくなる1曲でした。くるみさんの【ラストファンタジー】、これ音色がめっちゃ綺麗ですよね、本当に。曲の要所要所に入ってるシンセだったり、後ろのストリングスだったり、ギターだったり、ものすごい響きが綺麗だなって思って。響きと、それこそ2ステップの特徴のある感じと。これも透明感あって、この曲、夏に聴きたいなって思いました。

なるほど、ありがとうございます。本当に皆さんのおっしゃってることを聞いていると、それぞれの挙げていただいた楽曲に特徴があったりとか、何かフックがあるところが目立ったり、でもそれを帳消ししてくれるような調声とか、すごく印象的な部分が、1つの曲に対してでも、様々な分析ができるっていうのは、本当に、この座談会のメンバーの皆さんが、幅広くボカロの曲聴いてるんだな、っていうのを、個人的に私は感じました。

これから先なんですけども、少しだけお時間があるので、ぜひこの座談会に来ていただいてるメンバー4名で、「この曲もうちょっと深くどうして選んだのか聞きたい」とかあれば、自由に聞いていただいて大丈夫なんですけども、何かありますか?

N/G:聞きたいことねぇ。もうみんな言ってくれた感がすごくて。何かあります? ベンゾーさん。

ベンゾー:N/Gさんの【ブルーライトユニバース】の歌詞で「ありがとう 元気でね」ってとこあるんですけど、そこ初めて聴いた時は鳥肌が立つというか、「おぉ!」という感じやったんですよ。N/Gさん、初めて聴いた時どんな感じでした?

N/G:僕は、そこも良かったけど、一番最初にこの曲聴いて印象に残ってるのは、サビで盛り上がってきて最後に曲名の【ブルーライトユニバース】を持ってくるところがあるじゃないですか。僕は結構キャッチーな曲が好きで、例えば今回の曲名の【ブルーライトユニバース】って言葉は普段使わないじゃないですか。でも聞いただけで覚えられる、歌詞の中に出てきただけで覚えられるみたいな、他の曲であれば、例えば【KING】とかも、最後「You are king」ですごく印象に残るみたいな、そういう曲好きで。この【ブルーライトユニバース】に関しても、歌詞の最後らへんで、グッとこう…頭の中に染み込んじゃってて、そこが結構強くて。何回も聴いていくうちに、さっき言った歌詞の「ありがとう」ってところで、後からこういう物語の展開なんだろうなというのが見えてきて、鳥肌が立つみたいな感じだったかな。

ベンゾー:あー、なるほどなるほど。

N/G:そう、後から分かってくる。ベンゾーさんは、一番最初からそこに鳥肌が立つような印象を持ったかもしれないけど、僕はその後だったんですよね。聴きまくってたらそうなったって感じかな。

くるみ:【ブルーライトユニバース】って、【ブルーライトユニバース】部分の譜割りが、すごいかっこいいですよね。キャッチー。

N/G:そうそう、キャッチーですね、本当に。

くるみ:あの譜割りで歌わせるのが、人間界隈で音楽やってる人っぽいなって、自分は思いました。

N/G:あー、なるほどね。僕はあんまり深掘って聴くような人間じゃないんで、まず自分が好きな曲かどうかから入るんですよね。後から歌詞を聴き直していって、物語を頭の中で組み立てていく、みたいのが個人的に好きで。その両方できるような作品だったから、この曲を選んだんですけど。そっか、そういう風なことも知ってると分かるのか。

くるみ:私は逆に歌詞を全く聴かないので、皆さん歌詞の話されてて「そういう曲だったのか!」って思って聞いてます。

N/G:なるほど、数聴いてるから曲の方がすごく気になっちゃうんでしょうね。

くるみ:歌詞読んでる時って、音楽聴いてないじゃないですか。それが嫌で、歌詞を読むって行為を全然しないので、結果的に全然歌詞知らないんですよ(笑)

N/G:じゃあ【ラストファンタジー】もそんな感じ?

くるみ:そうですね。

N/G:そっかそっか、じゃあ本当に曲が好きだったわけだ。

くるみ:【ラストファンタジー】はですね、さっき猫月さんも仰ってましたけど、音めちゃめちゃいいんですよね。

N/G:特にどこらへんが好きですか? サビの他にも、AメロとかBメロとか色々あるじゃないですか。

くるみ:これ、2ステップなんですけど、2ステップが私めちゃくちゃ好きで…。2ステップの特徴的な、上メロのキラキラしたシンセと、あと溜めて「シャーン」みたいな感じのドラム(笑)。あの音がすごい丁寧で、音作りが超良いところが好きです。あと、さっきも言いましたけど、「ギャップ萌え」みたいな。全体的に綺麗で柔らかい音作りのところに、定期的に、それこそサビ前の、リズム変わって2ステップじゃなくなるところからの、ビルドアップして、2ステップにまたしっかり戻って行くとか、そういう作り方が。結構、ギターソロとかもそうなんですけど、2番入る前とか、あとラスサビのところとかにギターソロが入ってくる、そのギターソロの音作りが、あんまり2ステップ的、というかクラブミュージック的じゃない、こういうこのツメツメの感じ、あと1番と2番でAメロのキメ方が違うところとかが、「手数盛り込んできてるな」っていう感じで好きですね。

N/G:あーなるほど、すごいなあ、そういう観点からも見れるのか、いや面白いな。

いいですね、いいですね。もうずっと聞いていたいところなんですけど、そろそろお時間なので、名残惜しいですけど、推し曲を決めていこうと思います。

それぞれ、皆さんの意見を聞いていただいて、フリーで話を聞いていただいたのも踏まえて、改めてこの4曲の中で「今月の一推し曲にするならどれがいいか」というのを聞いていこうと思います。もし「これがいい」という皆さんの意見が多ければ、その曲にしませんかって形でまとめていきたいと思います。じゃあ、ベンゾーさん、どうですか?

ベンゾー:自分のを推したいといえば推したいんですけど、色々皆の話を聞いてる中では僕はあゆむちゃんの【禁忌】を選びたいなと思ってますね。

なるほど。N/Gさんはどうですか?

N/G:僕は【ブルーライトユニバース】で。

なるほど。くるみさん、どうですか?

くるみ:自分で選んできてるので【ラストファンタジー】を推したいところなんですけど、自分の方が持ってきてる方の中で選ぶと、【ブルーライトユニバース】かなって感じです。

なるほどなるほど、ありがとうございます。猫月さん、どうですか?

猫月:……何か割れてません?(笑)

いいんですよ、猫月さんが聴いてみて一番「これだ!」と思ったものを言っていただければ。

猫月:前回の座談会だったり、インタビューの時にも言ったんですけど、1曲に絞るのってキツいんですよ、本当に。

それは私が悪いのです、申し訳ございません。

猫月:いえいえ(笑)。ボカロを聴く人の中には、もちろん色んな人がいて、色んな曲を聴くと思うんですけど、音が気持ちいいのは【ラストファンタジー】だけど、曲的に面白いのは【ゴリラアタック(仮)】だな、って感じです。

なるほど、分かりました。そうですね、皆さんのお気持ちは重々承知でございます。私も、全部の曲を推したい。

今、色んな話を聞いていく上で考えた感じでは、フリートークで【ブルーライトユニバース】と【ラストファンタジー】の2つは結構深掘りできたと思うので、もちろん選んでいただいた曲は全て推したい気持ちがあるんですが、ここの場としては「1曲決める」ということをご理解いただいた上で、【ブルーライトユニバース】と【ラストファンタジー】の2曲のうち、「今月これを推していこうぜ」というのを、改めて聴きたいと思います。ベンゾーさん、いかがですか?

ベンゾー:この2曲のどっちかなら、僕は【ブルーライトユニバース】ですね。

はい。N/Gさんは変わらないですか?

N/G:変わらないです。

はい、わかりました。くるみさんはどうですか?

くるみ:やっぱり、他の方が選んだやつを選んだ方がっていうのもあると思うので、気持ちとしては【ラストファンタジー】ですけど、この場では【ブルーライトユニバース】かなって思っております。

大変申し訳ございません。強制したつもりはないんですが、すみません。じゃあ最後に、猫月さん、どうですか?

猫月:【ラストファンタジー】は、そういえばこの前「ニコニコビジョン」に上がってたような……。

くるみ:上がってたんですよね、そうなんですよ。そこもあって。

猫月:ですよね。だから、聴いてる人が多いかなって。ここで選んだ曲って、タイムズの一番最後のあとがきのさらに下のところに、「今月の推し曲」みたいな感じで載ってるんですけど。

はい、1ヶ月間掲載します。

猫月:そこに載せて、いろんな人に聴いてもらう、っていうのを考えると、【ブルーライトユニバース】がいいかなー、って感じですね。

くるみ:そうですね、そう思います。

大変心苦しい展開になってしまい、本当申し訳ないですが、この中では新着枠は【ブルーライトユニバース】ということで皆さんよろしいですか。

一同:はい。

はい、ありがとうございます。では2月の新着の推し枠は【ブルーライトユニバース】ということで決めさせていただきます。ありがとうございます。

一同:ありがとうございます。


<登場楽曲>

  1. ゴリラアタック(仮)
  2. ブルーライトユニバース / 初音ミク
  3. アンビバレンスアンハート
  4. 落ちない話 / 音街ウナ
  5. かるみあどーるず/鳴花ミコト
  6. MEIKO | 雨のうた
  7. ハッピーサワー
  8. Little Cigar / 初音ミク
  9. Really Mighty Lady
  10. ラストファンタジー feat.初音ミク
  11. 空ノ月、海ノ月 feat.初音ミクDark
  12. 禁忌 / このぎ feat. 初音ミク
  13. 【GUMI】KING【Kanaria】
Part1はここまでとなります。
引き続きPart2(発掘、これからのボカロ未来編)をお楽しみください。





提供:2021年2月26日 キュレーター&執筆者 エージェントNO.118