自分は桐島聡です。連続企業爆破事件をおこし、半世紀近く逃亡していた男が、病床でそう告白し、その四日後に亡くなった。マスコミは大きく報じたが、人びとはどう感じたか。

 あれから一年、TBSの『報道特集』、NHK『事件の涙』が相ついで桐島の逃亡生活の実態と彼の心理に迫る特集を組んだ。

 一九七四年、三菱重工業東京本社ビルを、「東アジア反日武装戦線・狼」を名乗るグループが爆破し、八名が死亡し三百人超が負傷した。「狼」は四人。共鳴した「大地の牙」は二名。桐島の「さそり」は三名。

 既成の過激派と異なり、デモや集会に姿を現さず、市民生活に順応し、夜中にひそかに爆弾を製造する。 
週刊文春デジタル