常々、世界はよくなり続けていると感じている。人類は学び続け、価値観はより多様に、倫理観はより高まり、私たちは昨日よりも美しい世界を生きていると。「昔はよかった」なんてのたまう愚か者は歴史の教科書を、いやそれが難しいなら『セシルの女王』を読むべきだ。今よりずっとずっと過酷な環境の中、それでも己の信念に従って戦う人々の生き様は皆そろいもそろって眩いほどに美しい。そしてたまらずこう思うのだ、「この時代に生まれなくてよかった~」と。 
週刊文春デジタル