3歳からピアノを習い始めた。隣町に引っ越してからも、変わらず母と妹とバスに乗って高校生になるまで通った。剣道、習字、新体操、コーラス、学習塾……そのどれも今はもう続けていない。私は結局ピアニストにも、剣道の達人にも、学者にも歌手にもならなかった。けれど、今でも実家に帰ればピアノを弾くし、酔っぱらえば妹とハモるし、お正月には書初めをする。あの頃大好きだったもののこと、今でも変わらず大好きだ。『MA・MA・Match』を読むと、習い事をしていた人はもちろんのこと、子を習い事に連れて行っていた人も、あの頃を鮮やかに思い出すに違いない。 
週刊文春デジタル