「出版社は黒人の本を求めてるんだ」
「私じゃダメなのか? 黒人だぞ」
今年のアカデミー賞脚色賞を受賞した映画『アメリカン・フィクション』の主人公、セロニアス・エリソンこと通称モンク氏はアフリカ系の作家。父は医者、自分は名門ハーヴァード卒。大学で文学を教えている。書いているのはギリシア悲劇を現代に移した小説で、高尚すぎて売れない。モンクのエージェント(アメリカの作家は芸能人のようにエージェントと契約する)は「もっと黒人っぽい小説を書いてくれ」と言う。
「黒人っぽくってどういう意味だ?」モンクはキレる。「父親はろくでなしで、ラッパーで、クラック売ってて、最後は警官に射殺されれば黒人っぽいのか?」
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