「大関の名に恥じぬよう、感謝の気持ちを持って相撲道に精進して参ります」
 昇進伝達式。佐渡ヶ嶽部屋の琴ノ若(26)は、両拳を床につき、緊張の面持ちで口上を述べた。その大きな背中を、後ろに飾られた祖父の遺影が、穏やかな表情で見守っていた。 
週刊文春デジタル