人生エロエロ 第565回 みうらじゅん「巡礼の地」

　人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。

　30代初めの頃だった。

「次号、篠山さんのページに登場が決ったよ」

　と、『ドリブ』って雑誌の編集長から電話があった。

　突然の話に、

「僕なんかでいいんですかぁ～」

　と、驚き、返した。

「これで、みうら君も一流だね」

　と、編集長は言うのだが、一体、何に於いての一流なのかはよく分らない。

　ま、そんなことより、篠山紀信さんにポートレイトを撮って頂けるチャンスが遂に回ってきたのだ。

「長年、うちで連載してくれてるから、その御褒美みたいなもんだよ」

　と、今度は笑いながら言った。

　きっと編集長の権限で僕を抜擢してくれたのだろう。どうにせよ、とても嬉しかった。