先日、今シーズンで初めて『うどんや』を演(や)りました。『うどんや』というのは冬の噺ですね。ついこの間まで夏日だったのに、急に冷えこんできたでしょう。まだ冬と言うには早いでしょうけど、噺家ってのは少し季節を先取りして、一席申し上げますんでね、そろそろいいかな、と思って『うどんや』を演りました。冬の夜、荷を振り分けに売り歩くうどん屋さんが、酔っ払いの相手をさせられたり、売れるかと思うと売れなかったり、路地に吹きこんでくる北風に身を震わせたり、爆笑するネタではありませんが、ちょいと切なく、しみじみと可笑しい噺です。僕の大師匠、先代小さんの十八番でありました。
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