週刊文春デジタル

春日太一の木曜邦画劇場 第439回「『ミナミの帝王』はベテランが輝く金融ピカレスク作品だ!」『難波金融伝 ミナミの帝王 海に浮く札束』

2021/06/10 05:00 投稿

  • タグ:
  • コラム
  • 春日太一
 竹内力が大阪はミナミの高利貸・萬田銀次郎を演じる「ミナミの帝王」シリーズはVシネマと劇場版を合わせて全六十作が作られてきた。
 その魅力は、前回も述べたように、まずは勧善懲悪と人情味をベースにしている安心感にある。といって生ヌルい話かというとそうではなく、銀次郎自身も闇の高利貸という「悪」でありながら、債務者を陥れる悪党たちを法的な知識をもって懲らしめる――というピカレスク的な刺激性もある。悪を手玉に取る銀次郎を凄味たっぷりに演じる竹内もカッコいい。それから銭金にまつわる話なだけに、債務者も悪党も大阪らしいえげつなさを前面に出しているので、下世話な人間模様も楽しい。
 そして何より。本連載に取り上げる作品によく出てくるようなベテラン俳優たちが毎回のようにゲスト出演しているのが、たまらないのである。債務者役で老いた哀愁や人生の年輪を見せたり、悪党役で貫禄やセコさを見せたり――。好きな俳優たちの、キャリアを積み重ねてきた上での「今の演技」を観られるのは、至極の喜びだ。こと日本の映画やドラマはベテランが輝く機会が少ないため、このシリーズは貴重な機会といえる。
 今回取り上げる第四十六作『海に浮く札束』には本郷功次郎が出演している。
 

ここから先は有料になります

チャンネルに入会して購読する

月額:¥880 (税込)

  • チャンネルに入会すると、チャンネル内の全ての記事が購読できます。
  • 入会者特典:月額会員のみが当月に発行された記事を先行して読めます

ニコニコポイントで購入する

  • この記事は月額会員限定の記事です。都度購入はできません。

コメント

コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事

週刊文春デジタル

週刊文春デジタル

月額
¥880  (税込)
このチャンネルの詳細