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春日太一の木曜邦画劇場 第436回「田中邦衛の裏と表の演技が人間のしょうもなさを見せる!」『仁義なき戦い 代理戦争』

2021/05/20 05:00 投稿

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  • コラム
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 筆者もそうなのだが、『北の国から』で田中邦衛を知った世代にとって、後になって観た『仁義なき戦い』での姿はかなり衝撃的であった。
 広島の呉を舞台に、敵味方・親分子分が入り乱れて壮絶な抗争を繰り広げる中で、田中邦衛の演じる槙原はいつも小ズルく立ち回って生き残っていく。時にはウソ泣きまでして重責から逃れようとしたかと思えば、終盤ではちゃっかりと親分の山守(金子信雄)の最側近に収まり、主人公の広能(菅原文太)を罠にかけようとする。
 その芝居の振れ幅も凄いし、特に終盤になってからの開き直ったかのような冷たく太々しい表情は「田中邦衛=『北の国から』の五郎=素朴で人情味あふれるお父さん」というイメージを植え付けられていた身からすると、「え、田中邦衛ってこんな怖い演技もできるんだ」と驚かされた。それは、この作品の根底にある「誰一人として信用できない」というテーマ性を体現しているかのようであった。
 今回取り上げるシリーズ第三作『仁義なき戦い 代理戦争』でも、その振れ幅の大きい演技を堪能できる。
 

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