湿原工房あるいは失言工房

盆踊り口説き「小栗判官」(高知)

2016/04/18 00:55 投稿

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     まえがき

 以下は高知県幡多郡、土佐清水市の一地区の盆踊りの唄の文句と思われる。一地区とはブログ筆者であるしづきの出身地であり、ゆえに盆踊りにも親しんでいるが、その文句となると、耳が悪いか声がまずいか、あるいはマイクのせいかしらん、実際を聞き取りはできていないため、この文句が実際に盆踊りで歌われているものかは確かでない。
 資料としたのは、当地区の区長場でもらった「盆踊りくどき」のコピーである。内容からは口承されたものを文字に起こしたものかと思われる。いつ書かれたものかは不明だが、一枚目には「YOUR INDEX」「KYOKUTO NOTE CO.,LTD.」の用紙の情報がある。
 ここに一言一句注意深く書き写していこうと思うが、一部解読できない文字があり、そこに関しては"✕"によって埋め合わせることとする。恐らくそうと思われながら、自信のない文字には(?)を付す。また俺が文字を取り間違えている可能性も否定できない。ルビと思われるものは( )内に記入し、この意味だろうと思われる語句は〔 〕内に記入した。
 あとの便利のため行に番号を振っておく。

     本文「盆踊りくどき」

  1. つづくおんどじや無けれども
  2.  よいのえ音度のいきつぎましよか
  3. 芸代は何よとたずねたら

  4.  うぐりはんがん笛のだん
  5. さあいいやえ…さあとおざいとおざい
  6.  しずまりたまえおだやかに/\
  7. 唄えやおどれやはやせよやあよ
  8.  せんぞぼだいのくよのため
  9. げだいわ なによと たずねたらあ
  10.  げだいわうぐりの笛のだん
  11. うぐりはんがん 第よだんめは
  12.  一じよさんや二じよおさん
  13. 三じよ高倉うだいじん
  14.  うだいじんのそをりように
  15. うぐりはんがん かねうじと云うて
  16.  御年 はたちの其の時に
  17. 時は三月 中の頃
  18.  あまたのでし子をよせあつめ
  19. 三里おく山 山遊び
  20.  三里やおく山 其のもどりみち
  21. むそをかんちく 音(ネ)をほりて
  22.  じんぞをらくの笛き✕✕れる
  23. 笛に取つてはおんたいしよう
  24.  あまり之(に)其の笛音の良さに
  25. うぐりはんがん ふいたなら
  26. 道の小草も皆なびく
  27.  誰れとてなびかぬ者はない
  28. みどろが池のだいじやでも
  29.  笛の音色におどろいて
  30. 十七八にさまお変え
  31.  べにおしろいで化粧して
  32. 花かんざしをつかみざし
  33.  十二ひとよをき(?)かざりて
  34. 左(?)のこずまお取り上げて
  35.  うぐりの前にとあらわれる
  36. そこでうぐりの目について
  37.  やいこれいかに女やい
  38. 国はいずこじや 名は誰れじや
  39.  はい/\私でござんすか
  40. 国は京都でござんする
  41.  京都清水 水神さんの
  42. わしや申し子でござんする
  43.  お名はなによとたずねたら
  44. 水玉ひめと申します
  45.  やいこれいかに女やい
  46. おれのつまこにならぬかと
  47.  親のゆるさぬえんぐみの
  48. 云うてわが家に付れ帰えり
  49.  うぐりはんがんかねうじも
  50. みどろが池のだいじやおば
  51.  しらずに三年妻にもち
  52. それがごてんに知れわたり
  53.  ごてんさわがすとがいめに
  54. 父にかんどを(勘当)こをむりて
  55.  ひたちの国にと送られる
  56. ひたちの国の山おくで
  57.  ごてんやしきをふみひらき
  58. もとかろ(?)う事なれば
  59.  にわかにごてんお作られる
  60. したん こくたん からきをよせて
  61.  だいく さかんを寄せ集め
  62. うぐりがごてんも じよずして
  63.  さてもみごとやうぐりがごてん
  64. しほを〔四方〕白かべ やつむね作り
  65.  昼はおさびしござんしょと
  66. しよをぎ〔将棋〕 すごろく ゆうげいの
  67.  ゆうげい場所や昼の日よ
  68. かかる所にさえもんが
  69.  ごとをさえもんしげうじは
  70. せんだんびつを せなにおい
  71.  うねたねこえてはるばると
  72. ひたちの国にといそがれるう
  73.  ひたちの国に着(?)た時にや
  74. うぐりがごてんにいそがれる
  75.  うぐりがごてんに着(?)た時にや
  76. さてもみごとや うぐりがごてん
  77.  もんぜんかどに着(?)たおりにや
  78. そこでごとをの事なれば
  79.  はやうり物をかざりたて
  80. さあうりまする 見ますると
  81.  だれとてとをたる人も無い
  82. さあうりまする 見まするや
  83.  こぞを〔小僧〕が一人はし出る
  84. やれうれまするや見まするや
  85.  まず一番にうる品は
  86. 京おしろいや 京べにや
  87.  つけてほど良い夏の化粧
  88. かよをな品はいらぬかな
  89.  それも入りよの品なれど
  90. 三日後にととのえた
  91.  もを品変りは有るまいか
  92. あるとも/\ござんする
  93.  さむらい方(ガタ)でめそをなら
  94. 金つば銀つばさやぬき刃
  95.  かたなのさげをおこしにさげ
  96. この様な品はめさぬかえ
  97.  それも入りよの品なれど
  98. 三日後にととのえた
  99.  やいこれいかにあきうどの
  100. もを品がわりは有るまいか
  101.  あるとも/\ござんする
  102. すもとりがたでめそをなら
  103.  あやにしきにきんだんどんす
  104. この様な品はめさないか
  105.  それもいりよの品なれど
  106. 三日後にととのえた
  107.  やいこれいかにあきうどの
  108. もを品がわりは有るまいか
  109.  あるとも/\ござんする
  110. 今長崎ではやりでの
  111.  ごとを〔後藤〕のさくのつげのくし
  112. くしこをがい〔櫛笄〕は めさぬかえ
  113.  それもいりよの品なれど
  114. 三日後にととのえた
  115.  やいこれあきうどの
  116. お前のおおたる其のはこは
  117. たきが四尺 はば二尺
  118.  わずかなはこでござんすに
  119. なんと申そを 品が無い
  120.  それは何のはこじやいな
  121. そこでごとをが申すには
  122.  私のおおたるこのはこは
  123. カラのこまものせんよしな
  124.  日本の小マ物 千四品〔千余品〕
  125. 天からおゆるし下された
  126.  まんだんびつと申します
  127. あまりのうり声いい良さに
  128.  やいこれいかにあきうどの
  129. うちのだんなと申しては
  130.  おん年 四十におつかれる
  131. 今だにさだめの妻が無い
  132.  色の黒いをとをたれば
  133. カラスのそん〔それ〕じやと気に入らぬ
  134.  おせの高いをとをたれば
  135. 富士のそんじやと気に入らん
  136.  おせの低いを云うたれば
  137. じとりのそんじやと気に入らん
  138.  やいこれいかにあきうどよ
  139. おまえは広きをまわる人
  140.  せたかからず ひくからず
  141. 髪の長いを申したら
  142.  前の妻じやと気に入ら
  143. やいこれいかにあきうどよ
  144.  お前は広きをまわる人
  145. せたかからずひくからず
  146.  髪長からずみぞからず
  147. 良きひめなどは有るまいか
  148.  そこで右ェ門しあんには
  149. あると申してとをろを〔通ろう〕か
  150.  無いと申して通ろをか
  151. 広きをまわりし かいが無い
  152.  あるとも/\ござんする
  153. これからさがみの横山さんえ
  154.  おとこ四人の其の中に
  155. あまり女がほしいさに
  156.  につ天様にがんをかけ
  157. ひめご ひとり さずかりて
  158.  あまり其の子が良いゆえに
  159. おなの付けよがござんせん
  160. 出る日てる日をかたどりて
  161.  てるてのひめと名を付けて
  162. 当年とつて十八才
  163.  それにたまふみつかうなら
  164. 右ェ門仲うど致します
  165.  池のしよやのしよじろさんが
  166. やいこらいかにあきうどの
  167.  たしかに仲うどだのむぞと
  168. うぐりはんがんかねうじこを〔候〕は
  169.  おくのひとまできかれしと
  170. そこでごとをの申すには
  171.  やいこれいかにあきうどの
  172. たしかに仲うどたのむぞと
  173.  その仲うどと申しては
  174. 良き仲うどをした時は
  175.  三百こくに取たてる
  176. 馬七とをに 金千両
  177.  一の家ろをに取立てる
  178. わるい仲うどした時は
  179.  かたびんそるががつてんか
  180. そこでさえもん申すには
  181.  わるい仲うどした時は
  182. 横山がたの門前で
  183. 右ェ門うち死に致します
  184.  盆やひがんがきたならば
  185. おれたしきびの一枝や
  186.  馬のけあげたどろ水なりと
  187. ごとをにたむけてやらんせと
  188.  うぐりはんがんかねうじこをも
  189. おくの一間に入られる
  190.  にをいのすみをすりながら
  191. きよまき紙 取り出して
  192.  しかのまきふではでくいしごき
  193. すみたつぷりとふくませて
  194.  おもうぞんぶんさら/\かいて
  195. きりのふばこに入れられる
  196.  ふばこのえびじをかちんとおろし
  197. せんすの上にのせられる
  198.  やいこれいかにあきうどの
  199. 文のかどいで いたすぞと
  200.  ながえのしやくにさけをくみ
  201. ごろはちじやわんに出されしぞ
  202.  やいこれいかにあきうどの
  203. しび〔首尾〕よく仲うどいたせよと
  204.  ごろはちじやわんに二、三ばい
  205. ほろよいきげんで右ェ門は
  206. これからさがみの横山さんに
  207.  行きに三日 帰りに三日
  208. 仲一日とをりゆうして
  209.  あけの八日に帰らん時は
  210. 横山がたの門前で
  211.  うちじにしたと思わんせ
  212. 此れよりうぐりの文のだん 終
  213.  うぐりはんがん二段目は
  214. 桐のふばこを受取りてせんだんびつに入れられる
  215.  せんだんびつにえびじよをおろし
  216. やいこれいかにおすうさま
  217.  せんだんびつを背なにおい
  218. うぐりがごてんを立ちい出て
  219.  横山さんにいそがれる
  220. うね谷こえてはるばると
  221.  せたのから橋かかりた時は
  222. せたのから橋しや からかねぎぼし
  223. 俵(タワラ)とをだ ひでさとが
  224.  むかでたいじたむかで山
  225. 後ふり帰りて左ェ門は
  226.  さてもみごとやうぐりが御てん
  227. むこをに見ゆるは横山さんか
  228.  横山さんにいそがれる
  229. 横山さんに行った時は
  230.  大事なもんものがわりて
  231. そこで後藤の事なれば
  232.  はや売り物をかざり立て
  233. やれ売りまする 見せまする
  234.  だれとてとをたる人が無い
  235. こじよろが一人はしり出て
  236.  やいこれいかにこじよろさん
  237. さるくげ方の門前で
  238.  いかなるかき物ひろをたか
  239. それが良い/\我しが身は
  240.  いろはのいの字も知りません
  241. これ見たまえのおじよさん
  242.  こじよろが手に取り見たなれば
  243. 文かとよめば文でなし
  244.  唄かとよめば唄で無し
  245. 見るなりこじよろが高笑い
  246. 七間が奥の照るての姫が
  247.  やいこれいかにいじよろさん
  248. おかしい事ならたがいに笑う
  249.  見たい物ならみせてくれ
  250. わずかにこの世は五十年
  251.  六十年はかりの世じや
  252. 照(テル)ての姫と申しては
  253.  七間が奥を出る時は
  254. 十二ひとよに身をかざり
  255.  さつとひらけば十五夜の
  256. 月が山はにかかりたごとく
  257.  下女のそばにと行かれしぞ
  258. 照ての姫が手に取りて
  259.  やいこれいかに女中やい
  260. 其の文ひらいて見たなれば
  261.  胸にたてしかうすもみじ
  262. それもよまれしぐんしよなり
  263.  まず一番の筆立は
  264. 戸板にあられと書いて有る
  265. 戸板にあられのよみ返しや
  266.  音高かりければ人がきく
  267. ひそかに落ちよとこれをよむ
  268.  其の又次の筆立は
  269. ねざさにつゆと書いて有る
  270.  ねざさにつゆのよみ返しや
  271. 十七八の姉さんがよし
  272.  さわれば落ちよとこれをよむ
  273. 又其の次の筆立は
  274.  さなだが帯よとかいて有る
  275. さなだが帯のよみ返しや
  276.  どをせ二人はむすび合い(?)
  277. 其の又次の筆立は
  278.  かしのきだんごとかいて有る
  279. かしの木だんごのよみ返しや
  280.  どをせ一度はころび逢う
  281. 其の又次の筆立は
  282.  はをりのひもとかいて有る
  283. はをりのひものよみ返しや
  284. 胸とむねとでむすび逢う
  285.  其の又次の筆立は
  286. 天に星よとかいて有る
  287.  天に星よのよみ返しや
  288. 照てがほしいとこれをよむ
  289.  人の文かと声高だかに
  290. よみ上げ見れば我が文か
  291.  我が身にかかりし文かいと
  292. 顔赤くしてはらを立て
  293.  やいこれいかにあきうどの
  294. この文などと申しては
  295.  高野山ではこをぼをだいし(弘法大師)
  296. ひたちの国ではうぐりさん
  297.  其の二人の書いた字じや
  298. 其の文などをくいさいて
  299.  ほをぐばこにと捨てられる
  300. そこで左ェ門腹を立て
  301.  ねじはちまきで もろはだぬいで
  302. 上り口にと足をかけ
  303.  やいこれいかに照ての姫よ
  304. 今の文など申しては
  305.  ひたちの国のうぐりさん
  306. お前にあてた文じゃいな
  307.  色良き返事の無い時にや
  308. この家をけがすががてんかと
  309.  九寸五分をばたたみにとをし
  310. 照ての姫もしあんにくれる
  311.  奥の一間に入られる

     注
  • 行73.行末の「う」は聞き書きによるためか。
  • 行81.「見ますると」は「貝ますると」とも読め漢字にルビが二文字「カイ」と書いてあるようにも見えるが、後に「見せまする」とあり「見」とした。
  • 行84.「はし出る」は「はしり出る」か。
  • 行147.「みぞからず」は「短かくなく」の意。幡多弁では「短い」を「みぞい」という。
  • 行213.「終」の意味がよくわからない。

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