【三浦宏文 みうら・ひろふみ】長崎市生まれ。東洋大学文学部印度哲学科卒業。同大学院文学研究科仏教学専攻博士後期課程修了。博士(文学)。東洋大学東洋学研究所研究員を経て、現在、桜美林大学オープンカレッジ講師、実践女子短期大学講師、神奈川県立衛生看護専門学校講師。その他、複数の予備校や高校でも講師を務める。専攻分野はインド哲学だが、教育問題や映画、テレビドラマやアニメーション等も考察の範囲に置く。著書に『インド実在論思想の研究-プラシャスタパーダの体系』ノンブル社、『絶対弱者-孤立する若者たち-』長崎出版(渋井哲也との共著)がある。
私は長年予備校講師をやっている関係で、たまに「進路アドバイザー」として高校で講演をする仕事もやっている。ある時その講演の教頭や進路指導の教員との事前打ち合わせでこういう話題が出てきた。
「この間学校コンサルタントの方が言ってたのですが、最近企業は採用に関して大学名だけでなく、その入学した時の入試形態まで聞いてくるそうですね。うちももう少し一般入試に力を入れないといけませんかね。」
よく意味が判らなかったので色々と聞いてみると、どうやらその学校コンサルタントが言うには、「AO・推薦入試で大学に入った学生は、たとえ名門校の学生であっても基礎学力が低く、使えない学生が多い。だから、採用に当たっては厳しい一般入試を突破した学生をとりたい。」と企業の採用担当が行っていたというのだ。私は「それでは、大学での教育の意義を全く認めてないことになりますね」と苦笑するしかなかった。
その後、似たような話しを何度か聞いたので、そういう事実もないわけではないらしい。しかし、その学校コンサルタントの話は「だから、私の勧める予備校との提携プランをお考え下さい」と続いていくので、どこかの企業の採用担当の言葉を聞きかじって、それをうまく自分の商談につなげている感が否めない。ちなみに、私の進路選択や小論文の書き方に関する講演は一回数万円で年に数回しか行われない。それに対して予備校との提携となると、年間計画でおそらく数百万円〜数千万円単位の金が動く。どちらにビジネスとしてのうま味があるかは歴然である。
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