__(アンダーバー)です。僕が体験した、ある不思議な出来事を話そうと思います。
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それは、ある夏の日の出来事だった。
当時、まだ学生だった僕は、学校の授業を終えた後、コンビニのバイトに出ていた。
バイトでは夜遅くまで働いていたため、帰りはいつも深夜0時近くになってしまう。
この日もそんな普段と変わりない夜のはずだった。
バイトが終わり、あまりに疲れていた僕は、早く帰るためにいつもと違う道を通ろうと考えていた。
普段歩く大通りではなく、閑静な住宅街へと歩みを進めていく。
なじみのない道だったので探り探りではあったが、家の方角を頭に浮かべながら、少しずつ歩いていった。
住宅街をしばらく進むと、突如樹木に囲まれた細い路地に出くわした。
(……こんな道、あったっけ?)
少し戸惑ったものの、早く帰りたかった僕は深く考えることをやめ、気にせずに進むことにした。
しかし、その細い路地に足を踏み入れた瞬間、
ブワッ
と、異様な"何か"を感じた。
……!?
何だ!? とあたりを見回したものの、まわりには特に何もない。ごく普通の路地だ。……そう、そのはずだ。
ともあれ、もう道はここしかない。早く進もう。
相変わらず嫌な"何か"の気配を感じながらも、僕は先へと進むことにした。だって住宅街だよ? 何もあるわけがない。あるわけがないんだ。
しかし、足を進めれば進めるほど、"嫌な感じ"は強まっていく。
真夏とはいえ深夜だ。気温はそれほど高くないはずだが、僕の汗は止まらなかった。背中がひんやりする。自分の呼吸の音がはっきり聞こえるほどの、静寂。
このまま進んでいいのか?
ふとそんなことを考える。
自問自答。
戻るべきか、戻らざるべきか。
しかし、とにかく早く帰りたい。
その気持ちが、恐怖を上回った。
僕は進むことを決意した。
一歩、また一歩と足を進めていく。
そのたびに違和感が強くなっていく。
背中を這いずるようにしてうごめく恐怖に耐えかねた僕は、とうとう目をつぶって、目の前の路地を駆け抜けようとした。
その瞬間だった。
何かが僕の足に引っかかった。
「うわあ!」
と叫びながら、僕は地面に倒れこんでしまう。
恐怖に頭を支配されながらも、必死に目を開き、足元を見る。
石だ。
大きな石がそこにはあった。
これか?
僕の足にからみついてきたのは、この石だったのか?
恐怖と共に、痛みが襲ってきた。
膝から血が出ている。カサブタになる。痛い……痛いよ。
でもそれどころではなかった。
早く、この道から出なければ。
急いで立ち上がり、再び僕は走りだした。
どれくらい走り続けただろうか。
ようやく細い路地を抜けた。
まわりを見渡すと、そこは先ほどの閑静な住宅街。
僕は大きく息を吐き、安堵した。
どうやら転んだところは誰にも見られていなかったようだ。安心した僕は、再び自宅の方角を目指した。
しかし、路地を抜け、住宅街にたどり着いてもなお、違和感は消えなかった。
むしろ、進めば進むほど、違和感は増していく。
いったいなんなんだ!?
何度も後ろを振りかえるが、何もない。
気にしてもしかたがない。早く行こう……。
自然と足も早くなる。
違和感を完全に振り切るために走る。
体は完璧に疲労している。
それでも全力で走る。
やっと、自宅が近づいてきた。
走り過ぎて息が切れそうになったとき、僕は違和感の正体に気づいてしまった。
そう。
遠回りだった。
遠回りだった。
近道のつもりでいつもと違う道を選んだのに、いつのまにか遠回りしていたのだ!
……。
それ以降、僕がその道を通ることは二度となかった。
後から聞いた話では、他にもっと近い道があったそうだ。
この体験はあまりにも衝撃的すぎて、未だに忘れることができない。
これを読んでいるあなたにも、同じような恐怖体験が訪れることがあるかもしれない。
そんなとき、あなたならどうしますか?
コメント
コメントを書く(ID:1403301)
疲れ切っている時に早く帰ろうとして初めての道を通るとか有り得ない!!
絶対にだ!!!
(ID:5935297)
面白い怪談なら兎も角
意味のある演出なら兎も角
無駄に段落を改めるのは感心出来ませんね それが目的なのかもですが
(ID:3715026)
はい。