灼眼のシャナIII -FINAL-

人ならぬ者たちが、この世の日に陰に跋扈 (ばっこ)している。 古き一人の詩人が与えた彼らの総称を、“紅 世(ぐぜ)の徒(ともがら)”という。 自らを称して“渦巻く伽藍(がらん)”、詩人 名付けて“紅世”──この世の歩いてゆけない隣 ──から渡り来た彼ら“徒”は、人がこの世に存 在するための根源の力、“存在の力”を奪うこ とで自身を顕現させ、在り得ない不思議を起 こす。思いの侭に、力の許す限り、滅びのと きまで。 彼らに“存在の力”を喰われた人間は、いな かったことになる。 これから伸び、繋がり、広がるはずだったも のを欠落させた世界の在り様は、歪んだ。 “徒”の自由自在な跳梁(ちょうりょう)に伴 い、その歪みは加速度的に大きくなっていった。 やがて、強大な力を持つ“徒”たる“紅世の王” らの中に、そんな状況への危惧を抱く者が現 れ始め。大きな歪みがいずれ、この世と“紅 世”双方に大災厄を齎(もたら)すのではな いか、と。 そして、一部の“紅世の王”らは同胞を狩ると いう苦渋の決断を下した。 彼らの尖兵、あるいは武器となったのは、 “徒”への復讐を願い誓った人間──己が全存在 を“王”の器として捧げ、異能の力を得た人間 ──討滅者“フレイムヘイズ”。 その日、日常を浸食した“徒”により全てを失 い、自身がトーチという仮初めの存在である と知らされた少年と、「贄殿遮那のフレイム ヘイズ」と呼ばれる少女が出会った。 これは、“ミステス”坂井悠二と『炎髪灼眼の 討ち手』シャナの物語である。
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