8月の後半、事故で家のインターネットが繋がらない状況となり、
生放送や動画投稿がままならない状態が続いていました。
山籠もり生活を余儀なくされていたわけですが、
ただ静かに山籠もりするというのもナンだと思いまして、
買っただけで読めていなかった本や最近話題のあの本など
2週間あまりで16冊ほど読んでみました。
インターネットに2週間以上触れず
ひたすら本と自分の思考とに向き合うというのは
これまたなかなかに刺激的な経験でした。
中には思わず声が出てしまうほど私の肺腑を衝く内容が書いてあった本もあり、
今、家のインターネットが復活して次の活動に取り掛かるにあたって
頭・心・精神のコンディションがとても良くなっていると感じます。
数年後にきっと、あの8月の山籠もりがあったからこそ
今があるんだろうなと感じる時が来るような気がします。
というわけで、せっかくなので忘れないうちに
8月に読んだ本の読書感想文を書いてみます。
今回は簡易一覧という形で一気にご紹介します。
8月32日に慌ただしく読書感想文を書き始めて8月33日に提出する――
夏休みの宿題をことごとく放っぽらかしていた小学生の頃と
行動パターンが全く同じなのは気のせいだと思いたいです。
<今回読んだ本の一覧>
■安藤広大『リーダーの仮面』ダイヤモンド社(2020)
最近本屋に行くとよく見かけるやつです。本当によく見ます。
組織のリーダーというものには型や定跡があって、
日本人に代々染みついてしまった常識や習慣を捨てるのは難しいけれど、
意識すれば才能やセンスなどとは関係なく
誰しもが身につけられるものだ、という趣旨の本です。
企業でいうと課長または課長補佐あたり、
中間管理職1~2年目の駆け出しリーダーの方々を
主なターゲットとして書かれています。
人を人と思って組織運営すると、かえって人のためにならない。
いったん人として扱うのをやめたほうが、人はむしろ成長する。
などなど、
著者の安藤さんもご自身でおっしゃっていますが、
一見冷徹で機械的な、しかし真に人間を豊かにする
逆説的な内容が多く書かれています。
「言った者勝ち」になった瞬間、その組織は終わる。
――そうそうそうと思うような話から、
いま自分は、何を「恐怖」として感じているのか?
――ちょっとドキッとするようなことも書かれています。
続編の『数値化の鬼』の紹介・導入的な内容もちらほら見受けられます。
このあたり、どこまで続編を意識して執筆なさっていたのでしょうか。
■安藤広大『数値化の鬼』ダイヤモンド社(2022)
『リーダーの仮面』の続編です。
前著がリーダー・マネジャーをターゲットにしているのに対して、
こちらはいわゆるプレイヤーをターゲットにして書かれた本です。
結局最初は数を打たないと始まらない。
他の人が2回試行しているうちに、自分は3回失敗しろ。
先行き不透明な時代だからこそ、スピードが速い人が勝っていく。
いきなり多くの人にとって耳が痛い内容から始まります。
数字よりも大切なものがある! と人は言う。
だけど数字に表れない「やりがい」や「達成感」は、
数字を追いかけた先でふと振り返るとついてきているもの。
その逆は決してありえない。
本書のほとんどの内容は明日にでも実践できるようなこと。
ただし、ある程度体も心も成熟している人でなければ
人格形成に支障をきたしかねないような言葉がポンポン出てきます。
それが「仕事」「勝負」「成長」ということなのでしょうけれど、
この世界というのはなかなかに厳しい世界だなと痛感するわけです。
■ウィリアム・B・アーヴァイン『ストイック・チャレンジ』NHK出版(2020)
今回読んだ中で最も感銘を受けた本がこの『ストイック・チャレンジ』です。
10日ほど前に特にストレス過多となって
人知れずウンウン唸っていた時期があったのですが、
ちょうどその時に手にした本です。
セネカやエピクテトスを中心とする
古代ギリシア・ローマのストア派哲学のエッセンスを現代に応用し、
逆境を「最高の喜び」に変える心の技法が紹介されています。
怒りは事態を悪化させるのみ。
回復力が決め手であり、それは誰もが習得できる。
――詳しい内容は是非、読んで味わっていただきたいです。
本当に不思議なもので、
第1部を読み終わった頃くらいから早くも少し気持ちが楽になっている自分がいました。
瞬間的なストレス(憤怒)、中長期的なストレス(抑鬱)にどう対処するか?
というのは自分の人生における大きな課題だったものですが、
長年変わらなかった自分の悪い行動特性、思考のクセが
この本に出会えたことで幾分か変わってきたように思います。
■井沢元彦『逆説の日本史 古代黎明編』小学館(1993)
学者でない人間だからこそ見えてくるものがある。
そういったものを手掛かりに改めて日本の歴史を見直していく――
TBS記者から小説家に転身した井沢元彦さんによる壮大なプロジェクトの第1巻です。
序章で日本の歴史学の三大欠陥というものが挙げられています。
・日本史の呪術的側面の無視ないし軽視
・滑稽ともいうべき史料至上主義
・権威主義
この説明に約70ページが費やされていますが、実に説得力があり、痛快です。
「アダルトビデオの論理」「中日ドラゴンズの論理」など
キャッチーなフレーズも多々登場し、読む者を飽きさせない文章が続きます。
聖徳太子も言っていた「和」というもの。
これは言い換えれば「話し合い至上主義」であり、
これこそが日本の根底にあるもの。
――これが全編にわたって重低音のように響き渡ります。
オオクニヌシ、卑弥呼。
日本古代史に興味を持つ者であれば必然的に惹かれる人物たち。
それを取り巻く古代世界の表と裏が書き綴られます。
そして日本と朝鮮の関係についても深掘りしていきます。
朝鮮の歴史や朝鮮人(韓国人)の特性に斬り込み、
彼らは自らの手で伝統を壊してしまった、可哀そうな民族である。
ただそこから生まれる劣等感をこじらせて
日本や日本人に理不尽に当たり散らすのは勘弁してくれ。
と、ニュートラルな視点、シンプルな言葉で、滔々と語られます。
歴史を面白いと感じたことがない、という方は
この本を読んでみると世界が変わるかもしれません。
ただし状況証拠や推論を駆使して想像で語っている部分も少なくなく、
こうした著者の姿勢を、いわゆる「歴史学」志向の人たちは
ものすごく鬱陶しく、またそれこそ滑稽で、取るに足らないもの、と考えるようです。
私は今のところ、
宗教的側面を軽視することや史料至上主義に異を唱える
井沢さんの考えにはかなりの度合いで共感しています。
また愛好家が歴史を楽しむ姿勢として、想像を膨らませて何が悪いのか、とも思います。
ただ、国史に関して広く勉強することを怠って
このシリーズだけをどんどん読み進めてしまうと、
ファクト(あるいはファクトとされていること)が何なのか、
それ自体が曖昧になってしまう危険性があるように感じます。
なので、第2巻「古代怨霊編」をすでにこっそり購入していますが、
あえてまだ読まないようにしています(笑)。
そのくらい、強い「刺激物」の臭いがする本です。
ちなみにこのシリーズ、
■コミック版も4冊ほど出版されており、
ちょうど今年「古代黎明編」のコミック版が出ていました。
せっかくなのでセットで購入して読んでみました。
内容を絞って簡略化した単なるダイジェスト版にあらず、
「ここが歴史の分岐点!」の決めゼリフなどマンガならではの演出があり、
さらに30年近く前の著作のマンガ化ということで
古い内容が最新のものにアップデートされている(と思われる)箇所が見受けられます。
決して著述(小説)の劣化版などではありませんでした。
繰り返しになりますが、
歴史を面白いと感じたことがない、という方は
この本を読んでみると世界が変わるかもしれません。
ただし、くれぐれも用法用量を守って云々、という感じです。
■ドントテルミー荒井『教養として学んでおきたい太平洋戦争』マイナビ出版(2022)
私もよく動画を視聴しているドントテルミー荒井さんによる初の書籍です。
大人の教養TV(ドントテルミー荒井) トップページ
https://www.youtube.com/channel/UCwZ5GUBnp82m6mpUwk-3ZGw
読了した時、
これはまた1つ入門者用の名著が生まれたな! と思いました。
荒井さんは私が勝手にライバル視している方で、
ついに世に出た荒井さんのデビュー作、
その完成度の高さを目の当たりにして勝手に嬉しくなっています。
この本は趣旨・構成・文章ともに素晴らしいので、
後日別記事で詳しく書きたいと思います。
→『教養として学んでおきたい太平洋戦争』について
**********(未投稿)
タイトルに「教養として」とありますが、
小学5~6年生くらいの子にもお薦めしたい本です。
理解している大人の手引きが少しあれば、いけます。
■世界ミステリーch『サイコな世界史』サンマーク出版(2022)
私もよく動画を視聴している世界ミステリーchさんによる初の書籍です。
世界ミステリーch トップページ
https://www.youtube.com/c/sekaimystery
はしがきにて、
世界はサイコパスによって作られてきたのではないか?
という大胆な仮説が語られます。
古今東西の人間の文化と残虐行為、
それに伴っていろいろな地域の歴史概略に
広く触れられるようになっている点はよかったと思います。
しかし、全体を通じて
「サイコパス」にあまり焦点が当たっていないように感じました。
パッと読んでサイコパスに関連ありと感じたのは1~2割ほどでした。
「残虐行為=サイコパス」ではないので、
サイコパスにもっと焦点が当たっているとよかったです。
また、日本語の表現が「?」となるものが少なからず見受けられます。
P43
日本は元々河川が運んだ土砂が谷や湖などを埋めた堆積平野であるため
※日本は…堆積平野である、という主述関係は違和感がある
P55
まだイギリスの地位が強くなることはありませんでした
※地位は「高い」「低い」で表されるもの
P175
アルプスより以北のヨーロッパでは
※「以」が「より」という意味なので重複表現
P178
国民の4割が消失……ドイツの人口は4割ほどに減ってしまいました
※減ったのは4割? それとも6割?
P61
ローマ帝国の各地に都市が繁栄し、異民族の侵入もなく、治安も安定し、ローマ帝国各地で都市が繁栄した。
※進次郎構文!?
こうしたものは著者というよりむしろ編集者・校正担当者の範疇なのでしょうか…?
歴史動画投稿者として勝手にライバル視している方なので、
2冊目があればもう少し高い完成度の作品を期待したいです。
■上原卓『北海道を守った占守島の戦い』祥伝社(2013)
今回の読書期間が日本で終戦の日とされている8月15日から始まったので、
それ以降に起こった戦いの話を知りたい、ということで読んでみました。
8月18日にソ連軍が日本領の千島列島の北端に上陸してきて、
日本軍が現場の判断で抗戦しました。
もしも彼らの奮闘がなかったら、北海道は2つに分断されていたか、
完全にロシア領になっていたかもしれないと言われています。
私が兵器や部隊の呼び名に不慣れなので、文章の読解に時間がかかりました。
しかし彼らの想いは痛いほどに伝わってきました。
池田連隊長の
「われらは大和民族の防波堤となり、歴史にその名を留める」
という言葉には、魂を揺さぶられました。
その通り、あなた方のおかげでいま北海道から南は日本として生きていますし、
あなた方の名前もこうしてしっかりと残っています。
■平井美帆『ソ連兵へ差し出された娘たち』集英社(2022)
今回の読書期間が日本で終戦の日とされている8月15日から始まったので、
それ以降に起こった戦いの話を知りたい、ということで読んでみました。
こちらは満洲の開拓団の女性に降りかかった悲劇を描いたものです。
8月8日~9日にソ連軍が中立条約を一方的に破棄し、
日本の勢力圏だった満洲国に大軍を以て攻め込んできました。
終戦後も現地の日本人開拓団の苦難は続きます。
その中で、ソ連軍に一団丸ごと滅ぼされることを防ぐ目的で、
開拓団の中で未婚の若い女性がソ連兵に性奉仕をすることを強いられたのです。
また日本へ帰還する過程では、中国人による性被害もあったといいます。
現地での度重なる性被害に加えて、
日本帰還後も「偏見」による差別が生まれ、
二重の苦しみを負うことになってしまった若い未婚女性たち。
その後、開拓団の責任者側の男たちはみな
沈黙するか、全くもって鈍感な態度をとるばかりであり、
被害に遭った女性たちをさらに苦しめました。
戦争で犠牲になるのは常に最も弱い者たちです。
男性によって書かれた歴史。
その裏には、男性が感じることができない女性の被害の歴史があります。
私が特に人間の醜さを感じたのは本書の後半です。
開拓団の責任者側の男たちは帰国後、
筆舌に尽くしがたいほどに酷い態度を見せます。
怒りを通り越して呆れた、とはこのことです。
しかし、もしも仮に自分がその責任者側の人間だったとしたら……
「同じことは絶対にしなかったはずだ!」とは決して言いきれません。
男の感覚と女の感覚、
そのすれ違いから生まれる苦しみ、という
現代にも通じる問題提起がなされているように感じました。
■石平『中国共産党 暗黒の百年史』飛鳥新社(2021)
中国四川省生まれで日本に帰化し、
日本人への啓蒙活動を続ける石平(せきへい)さんが
中国共産党結党100周年の年に上梓した渾身の力作です。
著者の最終章の言葉を借りれば、
中国共産党が結党、内戦、中華人民共和国建国から現代に至るまで
いかに横暴と蛮行を繰り返してきたかということが
これでもかというほどに書き綴られています。
震えます。
序中盤で中国共産党の暗黒部分を多々紹介し、
終盤で
「これだけ残虐な中国共産党が今まさに日本に刃を向けているぞ!
思想的にも軍事的にもターゲットにされているんだぞ!
奴らに本気で攻められたら絶対にタダじゃ済まないぞ!」
と警鐘を鳴らしていく構成は見事で、
なるほど確かにここに書かれていることがすべて事実であるならば、
現在の国際情勢に危機感を抱かずにはいられません。
本書の帯には
ファクト(事実)だけを完全書き下ろし
と書かれています。
しかし、オピニオン(主張)が1つだけ最後の最後に書かれています。
内容は想像がつくかと思いますが、
文字で改めて見ると凄まじく強烈な主張です。
そして何より、
それを元中国人が日本語で書いているというのが大きなポイントです。
■百田尚樹『禁断の中国史』飛鳥新社(2022)
これも最近本屋に行くと本当によく見かけます。
『永遠の0』『日本国紀』などで知られる百田尚樹さんの最新書籍です。
石平さんの『中国共産党 暗黒の百年史』と比べてより広い時代を対象に、
中国人が数千年にわたって持ち続けているエートス(行動特性・思考特性)について
刑罰、食人、宦官、纏足、謀略など様々な視点から語られます。
震えます。
またおそらく『中国共産党…』と比べてこちらのほうが
いわゆる読みやすく、入りやすい本ということになるのだと思います。
大阪弁のくだけた会話調の文章がところどころ入るのも
肩肘張らずに読み進められる良いスパイスになっています。
百田さんが本書の中で『中国共産党…』をベタ褒めしており、
こちらの本でさっくりと雑学を知り、あちらの本で詳しく歴史を知る、
という2冊1セットで考えてもよいかもしれません。
■榎本秋『執権義時に消された13人』ウェッジ(2021)
鎌倉時代前期の政治史、闘争の模様が人物ベースの紀伝体で書かれた
コンパクトな歴史読み物です。
本屋の歴史棚に行くと「歴史読み物」というカテゴリーがありますが、
この本はまさに典型的な「歴史読み物」だと思いました。
あまり人を選ばず、日本の中世史に興味がある人に広く薦められる本です。
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が後半に突入した今この本を読むと、
様々な人物が俳優の顔で浮かぶのが面白いです。
北条時政、義時、源頼家というメジャーどころはもちろん、
阿野全成や三浦義村といった一般的には多少マイナーな人物まで
当然のように新納慎也さんや山本耕史さんの顔が浮かんできます。
ある意味、今が一番読み得な時期の本かもしれません。
ただし、少し知っているという方がおさらいするには最適な本ですが、
入口にするには要求される前提知識が多すぎるし、
詳しい方には物足りないと感じられると思います。
またビジネス・教訓の色合いも強めに押し出していますが、
それほど強烈なメッセージが込められているわけではありません。
そこの部分は期待しすぎないほうがよいかもしれません。
■石井貴士『1分間世界史1200』水王舎(2010)
4色で色分けされた画期的な用語集です。
大学受験生時代に用語集というものに全く縁がなかったので
ちょっとした興味で買ってみました。
著者の言う本書の一番のウリは、
左脳と右脳を駆使することにより
1問1秒、1200問を20分で復習できる
という点です。
歴史「流れ」ではなく「点」で覚えよ
というなかなかにアジテーショナルなことを訴えています。
端的に申し上げれば、
受験、しかも限られた形式の受験対策のみと割り切って
ササッと使うのがよいと思います。
■西川清史『にゃんこ四字熟語辞典』飛鳥新社(2022)
表紙のねこがかわいいです。
ページをめくるとけっこう凄い顔してるねこもいます。
でもやっぱりかわいいです。
私のお気に入りは77ページの堅忍不抜です。
「なんな~んこの変な冠は~」ってちょっと不満そうな、
でも暴れるとせっかく上手く収まっている冠が落ちちゃってそれも嫌だな、
と思っていそうな絶妙な表情をしています。
100ページの同工異曲もかなり好きです。
人間の赤ちゃんと、同じくらいのサイズのねこが
ほとんど全く同じ姿勢で並んでねむねむしてます。
かわいい。
■綾辻行人『水車館の殺人』講談社(1988)
綾辻さんのデビュー作『十角館の殺人』に続いてこの第2作を読みました。
たぶんこの本に関しても後日別記事で詳しく書きます。
中盤以降はずっとドキドキしながら、
寝るのを忘れてしまうくらいにとても熱中して読みました。
終盤で様々な要素が収束して一気に畳みかけてくるような展開が素晴らしいです。
私は『十角館』よりも『水車館』のほうが好きです。
『十角館』は同時刻別場所という空間の視点移動を軸に、
『水車館』は別時刻同場所という時間の視点移動を軸にしているという
2冊1組の対称性が素敵です。
■あおきてつお『邪馬台国は隠された』三冬社(2022)
講義チャンネルの動画『邪馬台国論争』の参考図書とさせていただいた本です。
【邪馬台国】はどこにあるのか? 死のリズムを奏でる不思議な神宮、その驚愕の舞台裏とは?
https://youtu.be/wpFXXpMNyMY
前半の第1章では
これまでの歴史学会の成果、最新の発見、独自調査などを織り交ぜ、
画期的な邪馬台国論争「九州説」が唱えられています。
後半の第2章では
邪馬台国が北九州にあったことを前提に、
古代天皇家やヤマト政権との関係を読み解く文章が綴られています。
古代日本史はとても奥が深いのに、
多くの日本人にとってそもそも知らないことが多いという
実に不思議な空洞領域です。
実はほんの3~4か月くらい前まで、
「世界の歴史を知ってしまうと、日本の歴史はスケールが小っちゃくてちょっとなあ…」
と思っていました。だから
「日本史よりも世界史のほうが絶対面白い」
「日本史にしか興味ないなんて、そんな態度はおかしいぞ」
と心の中で呟きまくっていました。
しかしあれからだいぶ、気持ちが変わってきました。
確かに、現代の<学校のお勉強>ということであれば
世界史のほうが面白いのは間違いありません。
ただ、<学校のお勉強>で教わらないことを含めて
「日本史」ではなくて日本国の「国史」として覗いてみると
途端に興味深いものとして映ってくるから不思議です。
私にそのきっかけをくださった何冊かのうち1冊が
この『邪馬台国は隠された』です。
大感謝です。
おまけです。ほんのおまけです。
↓↓ここからはシェイクセピア会員限定↓↓
生放送や動画投稿がままならない状態が続いていました。
山籠もり生活を余儀なくされていたわけですが、
ただ静かに山籠もりするというのもナンだと思いまして、
買っただけで読めていなかった本や最近話題のあの本など
2週間あまりで16冊ほど読んでみました。
インターネットに2週間以上触れず
ひたすら本と自分の思考とに向き合うというのは
これまたなかなかに刺激的な経験でした。
中には思わず声が出てしまうほど私の肺腑を衝く内容が書いてあった本もあり、
今、家のインターネットが復活して次の活動に取り掛かるにあたって
頭・心・精神のコンディションがとても良くなっていると感じます。
数年後にきっと、あの8月の山籠もりがあったからこそ
今があるんだろうなと感じる時が来るような気がします。
というわけで、せっかくなので忘れないうちに
8月に読んだ本の読書感想文を書いてみます。
今回は簡易一覧という形で一気にご紹介します。
8月32日に慌ただしく読書感想文を書き始めて8月33日に提出する――
夏休みの宿題をことごとく放っぽらかしていた小学生の頃と
行動パターンが全く同じなのは気のせいだと思いたいです。
<今回読んだ本の一覧>
■安藤広大『リーダーの仮面』ダイヤモンド社(2020)
最近本屋に行くとよく見かけるやつです。本当によく見ます。
組織のリーダーというものには型や定跡があって、
日本人に代々染みついてしまった常識や習慣を捨てるのは難しいけれど、
意識すれば才能やセンスなどとは関係なく
誰しもが身につけられるものだ、という趣旨の本です。
企業でいうと課長または課長補佐あたり、
中間管理職1~2年目の駆け出しリーダーの方々を
主なターゲットとして書かれています。
人を人と思って組織運営すると、かえって人のためにならない。
いったん人として扱うのをやめたほうが、人はむしろ成長する。
などなど、
著者の安藤さんもご自身でおっしゃっていますが、
一見冷徹で機械的な、しかし真に人間を豊かにする
逆説的な内容が多く書かれています。
「言った者勝ち」になった瞬間、その組織は終わる。
――そうそうそうと思うような話から、
いま自分は、何を「恐怖」として感じているのか?
――ちょっとドキッとするようなことも書かれています。
続編の『数値化の鬼』の紹介・導入的な内容もちらほら見受けられます。
このあたり、どこまで続編を意識して執筆なさっていたのでしょうか。
■安藤広大『数値化の鬼』ダイヤモンド社(2022)
『リーダーの仮面』の続編です。
前著がリーダー・マネジャーをターゲットにしているのに対して、
こちらはいわゆるプレイヤーをターゲットにして書かれた本です。
結局最初は数を打たないと始まらない。
他の人が2回試行しているうちに、自分は3回失敗しろ。
先行き不透明な時代だからこそ、スピードが速い人が勝っていく。
いきなり多くの人にとって耳が痛い内容から始まります。
数字よりも大切なものがある! と人は言う。
だけど数字に表れない「やりがい」や「達成感」は、
数字を追いかけた先でふと振り返るとついてきているもの。
その逆は決してありえない。
本書のほとんどの内容は明日にでも実践できるようなこと。
ただし、ある程度体も心も成熟している人でなければ
人格形成に支障をきたしかねないような言葉がポンポン出てきます。
それが「仕事」「勝負」「成長」ということなのでしょうけれど、
この世界というのはなかなかに厳しい世界だなと痛感するわけです。
■ウィリアム・B・アーヴァイン『ストイック・チャレンジ』NHK出版(2020)
今回読んだ中で最も感銘を受けた本がこの『ストイック・チャレンジ』です。
10日ほど前に特にストレス過多となって
人知れずウンウン唸っていた時期があったのですが、
ちょうどその時に手にした本です。
セネカやエピクテトスを中心とする
古代ギリシア・ローマのストア派哲学のエッセンスを現代に応用し、
逆境を「最高の喜び」に変える心の技法が紹介されています。
怒りは事態を悪化させるのみ。
回復力が決め手であり、それは誰もが習得できる。
――詳しい内容は是非、読んで味わっていただきたいです。
本当に不思議なもので、
第1部を読み終わった頃くらいから早くも少し気持ちが楽になっている自分がいました。
瞬間的なストレス(憤怒)、中長期的なストレス(抑鬱)にどう対処するか?
というのは自分の人生における大きな課題だったものですが、
長年変わらなかった自分の悪い行動特性、思考のクセが
この本に出会えたことで幾分か変わってきたように思います。
■井沢元彦『逆説の日本史 古代黎明編』小学館(1993)
学者でない人間だからこそ見えてくるものがある。
そういったものを手掛かりに改めて日本の歴史を見直していく――
TBS記者から小説家に転身した井沢元彦さんによる壮大なプロジェクトの第1巻です。
序章で日本の歴史学の三大欠陥というものが挙げられています。
・日本史の呪術的側面の無視ないし軽視
・滑稽ともいうべき史料至上主義
・権威主義
この説明に約70ページが費やされていますが、実に説得力があり、痛快です。
「アダルトビデオの論理」「中日ドラゴンズの論理」など
キャッチーなフレーズも多々登場し、読む者を飽きさせない文章が続きます。
聖徳太子も言っていた「和」というもの。
これは言い換えれば「話し合い至上主義」であり、
これこそが日本の根底にあるもの。
――これが全編にわたって重低音のように響き渡ります。
オオクニヌシ、卑弥呼。
日本古代史に興味を持つ者であれば必然的に惹かれる人物たち。
それを取り巻く古代世界の表と裏が書き綴られます。
そして日本と朝鮮の関係についても深掘りしていきます。
朝鮮の歴史や朝鮮人(韓国人)の特性に斬り込み、
彼らは自らの手で伝統を壊してしまった、可哀そうな民族である。
ただそこから生まれる劣等感をこじらせて
日本や日本人に理不尽に当たり散らすのは勘弁してくれ。
と、ニュートラルな視点、シンプルな言葉で、滔々と語られます。
歴史を面白いと感じたことがない、という方は
この本を読んでみると世界が変わるかもしれません。
ただし状況証拠や推論を駆使して想像で語っている部分も少なくなく、
こうした著者の姿勢を、いわゆる「歴史学」志向の人たちは
ものすごく鬱陶しく、またそれこそ滑稽で、取るに足らないもの、と考えるようです。
私は今のところ、
宗教的側面を軽視することや史料至上主義に異を唱える
井沢さんの考えにはかなりの度合いで共感しています。
また愛好家が歴史を楽しむ姿勢として、想像を膨らませて何が悪いのか、とも思います。
ただ、国史に関して広く勉強することを怠って
このシリーズだけをどんどん読み進めてしまうと、
ファクト(あるいはファクトとされていること)が何なのか、
それ自体が曖昧になってしまう危険性があるように感じます。
なので、第2巻「古代怨霊編」をすでにこっそり購入していますが、
あえてまだ読まないようにしています(笑)。
そのくらい、強い「刺激物」の臭いがする本です。
ちなみにこのシリーズ、
■コミック版も4冊ほど出版されており、
ちょうど今年「古代黎明編」のコミック版が出ていました。
せっかくなのでセットで購入して読んでみました。
内容を絞って簡略化した単なるダイジェスト版にあらず、
「ここが歴史の分岐点!」の決めゼリフなどマンガならではの演出があり、
さらに30年近く前の著作のマンガ化ということで
古い内容が最新のものにアップデートされている(と思われる)箇所が見受けられます。
決して著述(小説)の劣化版などではありませんでした。
繰り返しになりますが、
歴史を面白いと感じたことがない、という方は
この本を読んでみると世界が変わるかもしれません。
ただし、くれぐれも用法用量を守って云々、という感じです。
■ドントテルミー荒井『教養として学んでおきたい太平洋戦争』マイナビ出版(2022)
私もよく動画を視聴しているドントテルミー荒井さんによる初の書籍です。
大人の教養TV(ドントテルミー荒井) トップページ
https://www.youtube.com/channel/UCwZ5GUBnp82m6mpUwk-3ZGw
読了した時、
これはまた1つ入門者用の名著が生まれたな! と思いました。
荒井さんは私が勝手にライバル視している方で、
ついに世に出た荒井さんのデビュー作、
その完成度の高さを目の当たりにして勝手に嬉しくなっています。
この本は趣旨・構成・文章ともに素晴らしいので、
後日別記事で詳しく書きたいと思います。
→『教養として学んでおきたい太平洋戦争』について
**********(未投稿)
タイトルに「教養として」とありますが、
小学5~6年生くらいの子にもお薦めしたい本です。
理解している大人の手引きが少しあれば、いけます。
■世界ミステリーch『サイコな世界史』サンマーク出版(2022)
私もよく動画を視聴している世界ミステリーchさんによる初の書籍です。
世界ミステリーch トップページ
https://www.youtube.com/c/sekaimystery
はしがきにて、
世界はサイコパスによって作られてきたのではないか?
という大胆な仮説が語られます。
古今東西の人間の文化と残虐行為、
それに伴っていろいろな地域の歴史概略に
広く触れられるようになっている点はよかったと思います。
しかし、全体を通じて
「サイコパス」にあまり焦点が当たっていないように感じました。
パッと読んでサイコパスに関連ありと感じたのは1~2割ほどでした。
「残虐行為=サイコパス」ではないので、
サイコパスにもっと焦点が当たっているとよかったです。
また、日本語の表現が「?」となるものが少なからず見受けられます。
P43
日本は元々河川が運んだ土砂が谷や湖などを埋めた堆積平野であるため
※日本は…堆積平野である、という主述関係は違和感がある
P55
まだイギリスの地位が強くなることはありませんでした
※地位は「高い」「低い」で表されるもの
P175
アルプスより以北のヨーロッパでは
※「以」が「より」という意味なので重複表現
P178
国民の4割が消失……ドイツの人口は4割ほどに減ってしまいました
※減ったのは4割? それとも6割?
P61
ローマ帝国の各地に都市が繁栄し、異民族の侵入もなく、治安も安定し、ローマ帝国各地で都市が繁栄した。
※進次郎構文!?
こうしたものは著者というよりむしろ編集者・校正担当者の範疇なのでしょうか…?
歴史動画投稿者として勝手にライバル視している方なので、
2冊目があればもう少し高い完成度の作品を期待したいです。
■上原卓『北海道を守った占守島の戦い』祥伝社(2013)
今回の読書期間が日本で終戦の日とされている8月15日から始まったので、
それ以降に起こった戦いの話を知りたい、ということで読んでみました。
8月18日にソ連軍が日本領の千島列島の北端に上陸してきて、
日本軍が現場の判断で抗戦しました。
もしも彼らの奮闘がなかったら、北海道は2つに分断されていたか、
完全にロシア領になっていたかもしれないと言われています。
私が兵器や部隊の呼び名に不慣れなので、文章の読解に時間がかかりました。
しかし彼らの想いは痛いほどに伝わってきました。
池田連隊長の
「われらは大和民族の防波堤となり、歴史にその名を留める」
という言葉には、魂を揺さぶられました。
その通り、あなた方のおかげでいま北海道から南は日本として生きていますし、
あなた方の名前もこうしてしっかりと残っています。
■平井美帆『ソ連兵へ差し出された娘たち』集英社(2022)
今回の読書期間が日本で終戦の日とされている8月15日から始まったので、
それ以降に起こった戦いの話を知りたい、ということで読んでみました。
こちらは満洲の開拓団の女性に降りかかった悲劇を描いたものです。
8月8日~9日にソ連軍が中立条約を一方的に破棄し、
日本の勢力圏だった満洲国に大軍を以て攻め込んできました。
終戦後も現地の日本人開拓団の苦難は続きます。
その中で、ソ連軍に一団丸ごと滅ぼされることを防ぐ目的で、
開拓団の中で未婚の若い女性がソ連兵に性奉仕をすることを強いられたのです。
また日本へ帰還する過程では、中国人による性被害もあったといいます。
現地での度重なる性被害に加えて、
日本帰還後も「偏見」による差別が生まれ、
二重の苦しみを負うことになってしまった若い未婚女性たち。
その後、開拓団の責任者側の男たちはみな
沈黙するか、全くもって鈍感な態度をとるばかりであり、
被害に遭った女性たちをさらに苦しめました。
戦争で犠牲になるのは常に最も弱い者たちです。
男性によって書かれた歴史。
その裏には、男性が感じることができない女性の被害の歴史があります。
私が特に人間の醜さを感じたのは本書の後半です。
開拓団の責任者側の男たちは帰国後、
筆舌に尽くしがたいほどに酷い態度を見せます。
怒りを通り越して呆れた、とはこのことです。
しかし、もしも仮に自分がその責任者側の人間だったとしたら……
「同じことは絶対にしなかったはずだ!」とは決して言いきれません。
男の感覚と女の感覚、
そのすれ違いから生まれる苦しみ、という
現代にも通じる問題提起がなされているように感じました。
■石平『中国共産党 暗黒の百年史』飛鳥新社(2021)
中国四川省生まれで日本に帰化し、
日本人への啓蒙活動を続ける石平(せきへい)さんが
中国共産党結党100周年の年に上梓した渾身の力作です。
著者の最終章の言葉を借りれば、
中国共産党が結党、内戦、中華人民共和国建国から現代に至るまで
いかに横暴と蛮行を繰り返してきたかということが
これでもかというほどに書き綴られています。
震えます。
序中盤で中国共産党の暗黒部分を多々紹介し、
終盤で
「これだけ残虐な中国共産党が今まさに日本に刃を向けているぞ!
思想的にも軍事的にもターゲットにされているんだぞ!
奴らに本気で攻められたら絶対にタダじゃ済まないぞ!」
と警鐘を鳴らしていく構成は見事で、
なるほど確かにここに書かれていることがすべて事実であるならば、
現在の国際情勢に危機感を抱かずにはいられません。
本書の帯には
ファクト(事実)だけを完全書き下ろし
と書かれています。
しかし、オピニオン(主張)が1つだけ最後の最後に書かれています。
内容は想像がつくかと思いますが、
文字で改めて見ると凄まじく強烈な主張です。
そして何より、
それを元中国人が日本語で書いているというのが大きなポイントです。
■百田尚樹『禁断の中国史』飛鳥新社(2022)
これも最近本屋に行くと本当によく見かけます。
『永遠の0』『日本国紀』などで知られる百田尚樹さんの最新書籍です。
石平さんの『中国共産党 暗黒の百年史』と比べてより広い時代を対象に、
中国人が数千年にわたって持ち続けているエートス(行動特性・思考特性)について
刑罰、食人、宦官、纏足、謀略など様々な視点から語られます。
震えます。
またおそらく『中国共産党…』と比べてこちらのほうが
いわゆる読みやすく、入りやすい本ということになるのだと思います。
大阪弁のくだけた会話調の文章がところどころ入るのも
肩肘張らずに読み進められる良いスパイスになっています。
百田さんが本書の中で『中国共産党…』をベタ褒めしており、
こちらの本でさっくりと雑学を知り、あちらの本で詳しく歴史を知る、
という2冊1セットで考えてもよいかもしれません。
■榎本秋『執権義時に消された13人』ウェッジ(2021)
鎌倉時代前期の政治史、闘争の模様が人物ベースの紀伝体で書かれた
コンパクトな歴史読み物です。
本屋の歴史棚に行くと「歴史読み物」というカテゴリーがありますが、
この本はまさに典型的な「歴史読み物」だと思いました。
あまり人を選ばず、日本の中世史に興味がある人に広く薦められる本です。
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が後半に突入した今この本を読むと、
様々な人物が俳優の顔で浮かぶのが面白いです。
北条時政、義時、源頼家というメジャーどころはもちろん、
阿野全成や三浦義村といった一般的には多少マイナーな人物まで
当然のように新納慎也さんや山本耕史さんの顔が浮かんできます。
ある意味、今が一番読み得な時期の本かもしれません。
ただし、少し知っているという方がおさらいするには最適な本ですが、
入口にするには要求される前提知識が多すぎるし、
詳しい方には物足りないと感じられると思います。
またビジネス・教訓の色合いも強めに押し出していますが、
それほど強烈なメッセージが込められているわけではありません。
そこの部分は期待しすぎないほうがよいかもしれません。
■石井貴士『1分間世界史1200』水王舎(2010)
4色で色分けされた画期的な用語集です。
大学受験生時代に用語集というものに全く縁がなかったので
ちょっとした興味で買ってみました。
著者の言う本書の一番のウリは、
左脳と右脳を駆使することにより
1問1秒、1200問を20分で復習できる
という点です。
歴史「流れ」ではなく「点」で覚えよ
というなかなかにアジテーショナルなことを訴えています。
端的に申し上げれば、
受験、しかも限られた形式の受験対策のみと割り切って
ササッと使うのがよいと思います。
■西川清史『にゃんこ四字熟語辞典』飛鳥新社(2022)
表紙のねこがかわいいです。
ページをめくるとけっこう凄い顔してるねこもいます。
でもやっぱりかわいいです。
私のお気に入りは77ページの堅忍不抜です。
「なんな~んこの変な冠は~」ってちょっと不満そうな、
でも暴れるとせっかく上手く収まっている冠が落ちちゃってそれも嫌だな、
と思っていそうな絶妙な表情をしています。
100ページの同工異曲もかなり好きです。
人間の赤ちゃんと、同じくらいのサイズのねこが
ほとんど全く同じ姿勢で並んでねむねむしてます。
かわいい。
■綾辻行人『水車館の殺人』講談社(1988)
綾辻さんのデビュー作『十角館の殺人』に続いてこの第2作を読みました。
たぶんこの本に関しても後日別記事で詳しく書きます。
中盤以降はずっとドキドキしながら、
寝るのを忘れてしまうくらいにとても熱中して読みました。
終盤で様々な要素が収束して一気に畳みかけてくるような展開が素晴らしいです。
私は『十角館』よりも『水車館』のほうが好きです。
『十角館』は同時刻別場所という空間の視点移動を軸に、
『水車館』は別時刻同場所という時間の視点移動を軸にしているという
2冊1組の対称性が素敵です。
■あおきてつお『邪馬台国は隠された』三冬社(2022)
講義チャンネルの動画『邪馬台国論争』の参考図書とさせていただいた本です。
【邪馬台国】はどこにあるのか? 死のリズムを奏でる不思議な神宮、その驚愕の舞台裏とは?
https://youtu.be/wpFXXpMNyMY
前半の第1章では
これまでの歴史学会の成果、最新の発見、独自調査などを織り交ぜ、
画期的な邪馬台国論争「九州説」が唱えられています。
後半の第2章では
邪馬台国が北九州にあったことを前提に、
古代天皇家やヤマト政権との関係を読み解く文章が綴られています。
古代日本史はとても奥が深いのに、
多くの日本人にとってそもそも知らないことが多いという
実に不思議な空洞領域です。
実はほんの3~4か月くらい前まで、
「世界の歴史を知ってしまうと、日本の歴史はスケールが小っちゃくてちょっとなあ…」
と思っていました。だから
「日本史よりも世界史のほうが絶対面白い」
「日本史にしか興味ないなんて、そんな態度はおかしいぞ」
と心の中で呟きまくっていました。
しかしあれからだいぶ、気持ちが変わってきました。
確かに、現代の<学校のお勉強>ということであれば
世界史のほうが面白いのは間違いありません。
ただ、<学校のお勉強>で教わらないことを含めて
「日本史」ではなくて日本国の「国史」として覗いてみると
途端に興味深いものとして映ってくるから不思議です。
私にそのきっかけをくださった何冊かのうち1冊が
この『邪馬台国は隠された』です。
大感謝です。
おまけです。ほんのおまけです。
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色々なジャンルの本を沢山読まれたようで…私も友人から頂いた本を読んでました。
「和らぎの国=小説 推古天皇」天津佳之
日本史が大好きな私に送ってくれました。まだ読み終えてませんが 中々の面白さです。秋の読書は最高ですね。これからもご活躍応援してます。