「Don't touch me, jerk! You have a virus. (触らないで。間抜け。あなたはウイルスを持っているでしょう) 」
混んだバスの中。ずっとヘッドフォンで大声電話をしていた黒人の女性。
その彼女が停留所でバスを降りるとき、混み合った車内座席に手袋を置き忘れていたのに気づいたので、咄嗟に、教えてさしあげたのだ。
「Hey Miss! You drop your glove.(もしもし、手袋落としてますよ」
そのとき僕はつい「ポン!」と彼女の肩を軽くpatしてしまった。
なぜならば、あのバスの異常な混み具合の中、彼女が既に降り始めていたこと、ヘッドフォンで電話をし続けていたこと(これがいちばんの理由)を考えると、「Hey! Miss!(ポン!)」は致し方なかった。
「Don't touch me, jerk! You have a virus. (触らないで。間抜け。あなたはウイルスを持っているでしょう) 」
咄嗟に、
「What does it mean? What? (それどういう意味? 何それ?)」
と言い返し、クルッと振り返って、バスに乗り合わせた満員の客に向かって問うてみた。ゼスチャー大きく手を広げて、、、、
一人のラテン系の中年男が憤然遣る方無い表情の僕に「口汚く罵るこの手の人いますよね」 と言ってくれたのだが、他の客は皆おしなべて無表情だった。
我関せず、この件には関わりたくないと言った感じ。
それでも「間抜け」と言われた僕のその後を、じっと観察はしているのだ。