「全盲です」
ドクターリーは”I am so sorry”と悲しそうにぴの顔を手のひらで優しく包む。そんな風に言わないでください、思わず声をあげそうになる僕も、”She is fine”と自分に言い聞かせるように呟いてみせる。
いつだったか散歩から帰ってきてリーシュを外し、足元にぴを置いてドアのキーを開けている最中のことだった。散歩のお駄賃が欲しい、そう思って焦ったのかぴがドアと壁の間のコーナーに頭をなんどもぶつけ続けていた。変だなと思った。すると、くるっと向きを変え、階段からそのまま飛び降りていった。
2階からほぼ真っ逆さまに、時々ステップに体を打ち付けながら階下で強打するとグタッとなった。
「ぴーす!」
自分の声に驚くほど絶叫して階段を駆け降りると、5〜6秒してピクリとも動かなかったぴがゆっくり目を開けた。
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