はじまりは、10月12日のTFMホールのグッズ売り場のことでした。
「ツアーパンフはないんですか?」
ない。そうか、ツアーパンフ。久しく作っていません。
セトリ通信が好評だったこともあり、もっとライブのことも知りたいのではないか? そう確信してツアーパンフプロジェクト (大げさ!?) はスタートしたのです。
大事なことは、
・渡米後の活動がわかる
・今の大江千里がわかる
・壁に飾ることができる
でした。
『9番目の音を探して 47歳からのニューヨークジャズ留学』では、ニュースクールでの4年半が書かれていますし、『ブルックリンでジャズを耕す 52歳から始めるひとりビジネス』でもその心模様を追うことができます。インタビューもたくさん掲載されました。もっとシンプルに、もっとダイレクトに伝えるとしたら、何がある?
折しも、朝日新聞Globeの掲載が直後でした。
タブロイド版はどうかな? 広げると大きくなって「壁に貼れる」んじゃないか? もう一つ参考にしたものがありました。『世界を変えた書物展』で売られていたパンフレット。大江千里さんのイラストや手書きのセトリ全面に印刷したら、かっこよくないか?
アートディレクションは、今までの2冊の本を担当してくれたロボットの冨永さん、通称・トミーにお願いすることに。
11月19日、プライベートで帰国した千里さんとトミーと編集担当の3人で打ち合わせを行いました。最初のメモはこんな感じ。
空港からスーツケースをガラガラ引いてきた千里さんは、スーツケースのチャックを開けると、スコアや手書きのスケジュール表を取り出しました。
「大江千里さんのアートブックですね。わかりました」とトミー。
「僕はスコアやセトリのスキャンを送ればいいんですね。イラストは何枚必要ですか? 文章はどのくらい?」と前のめりな千里さん。
実際の作業は千里さんが帰国しないと、スキャンが送れないので、その間に「タブロイド判」を引き受けてくれる印刷会社を当たることに。
タブロイドとはサイズのことを指していて、「朝日新聞Globe」はこのサイズに当たります。今回、満場一致(といっても3人)で決まったのは、一回り大きい新聞サイズの「ブランケット版」でした。これだと見開き(タテ54mm × ヨコ813mm)になります。さらに、4面がつなげるたままの、つまりヨコが1626mmになるものにしようということになりました。
壁に貼るにも度がすぎるのでは? いや「大きいことはいいことだ」と学んできた世代だったので、度がすぎるのもまたよきかな。
そのサイズの印刷を引き受けてくれる会社を見つけて、制作に入ったのは12月になってから。入稿まで約2週間。千里さんは帰国後、バリバリとイラストを仕上げ、文章を書き、スキャンを送ってきました。
もっとも大変だったのが、「Senri Oe Live List」。スケジュール表を探すところから追加に追加を重ね、最後まで予断を許さなかったページです。さらに、制作チーム3人の老眼も拍車をかけ、画像を大きくすると全体が把握できず、全体を見ようとすると字が読めず。校正の牧野さんに最終確認をしてもらいました。
タイトルも難航しました。
最初に送られてきたのは「SENRI TABLOID」。しかし、厳密にいうとサイズはブラッケット版でタブロイド版ではありません。
次に送られてきたのが、書き足したもの。この中から「SENRI JAZZ TIMES」を抜いてタイトルにしました。商標登録を調べてみましたが、類似するものもありません。そして、発売元はPND Recordsに決まりました。自ら書き制作し出版もする「ひとりビジネス」の一環です。
タイトル、サイズ、素材も揃ったところで、トミーの仕事が本格的にスタートします。パート2につづく。
(レポート・編集担当M)