冬という季節の入り口が持つ一瞬の張り詰めた空気感。
マデイソン空港の出口が開くといきなり冷たい風が「おかえり!」と迫ってきた。前に訪れたのはいつだったろう? 確か冬のど真ん中だった。雪に覆われた街全体がカマクラのようでひっそりと息を潜めていた。秋から冬へと続く橋のど真ん中で一瞬吊り橋が揺れたような気がして「ただいま!」と唱えてみる。
日本から戻り、NYでぴ(ぴーす・ダックスフント♀)をピックアップし、ブルックリンの我が家で一泊したのもつかの間。慌ただしく販売用のCD、ジャケットとシャツとタイなどの衣装、下着などの着替え、ぴのご飯やおしっこシートなどをざっくり詰め込み、ミニキーボードとぴを抱え、ウーバで車を呼んで一路ラガーデイア空港へ。
アメリカはこの日、大統領選挙が終わり、ヒラリーでなかったことへの虚脱感に包まれていた。少なくとも僕の目の中に「トランプ万歳!」を唱える人などはいなかった。頭
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