渡辺文重の有料メルマガ批評

GREEによる有料メールマガジン配信サービスが終了します

2014/01/15 22:45 投稿

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ごきげんよう。有料メルマガ評論家の渡辺文重です。1月15日(水)17時5分、Magalry(マガリー)から、「Magalryサービス終了のお知らせ」という件名のメールが届きました。その内容は、Magalryのトップページ(http://magalry.com/)でも確認できます。
このたび、Magalryは2014年3月31日23時59分をもちましてサービスを終了させていただくこととなりました。
Magalryとは、GREEによる有料メルマガ配信サービスで、2013年2月19日にスタートしたのですが、約13カ月で終了となります。

Magalryの読者にしてみれば急な話ですが、昨年10月あたりからサービス終了の準備が進められていたように思われます。それは、休刊・廃刊になる有料メルマガが急に増えたことからも分かります。

《10月いっぱいで休刊》
メインパーソナリティ・置鮎龍太郎『リコーダーとランドセル マ(仮)』
http://magalry.com/magazine/rikoran.ryotaro.okiayu
小野恵令奈『ひとりでリア充できるもん!』
http://magalry.com/magazine/erena.ono
ケンドーコバヤシ『ケンコバの迷惑メールマガジン』
http://magalry.com/magazine/kendo.kobayashi
サバンナ高橋の『味噌汁のような存在に僕はなりたい』
http://magalry.com/magazine/shigeo.takahashi
篠崎愛『Date With Ai』
http://magalry.com/magazine/ai.shinozaki
鈴木寛『すずきかん~熟議の殿堂』
http://magalry.com/magazine/suzukikan
『堤下敦の締切は金曜日』
http://magalry.com/magazine/atsushi.tsutsumishita
『中田敦彦の高圧的で長い話』
http://magalry.com/magazine/atsuhiko.nakata
『博多華丸の上京しきれません!』
http://magalry.com/magazine/hakata.hanamaru
Milky Bunny(益若つばさ)『JELLYFISHは溺れない』
http://magalry.com/magazine/milkybunny

《11月いっぱいで休刊》
『藤森慎吾の収益は甥のために使わせていただきます!』
http://magalry.com/magazine/shingo.fujimori
ハッピーマイスター クリスティーン デリコ『デリコ推命術で1週間運気先取り』
http://magalry.com/magazine/shingo.fujimori
五十棲剛史『売上2億円の会社を10億円にする方法』
http://magalry.com/magazine/takeshi.isozumi
安田佳生『境目研究メルマガ - すべての答えは境目に埋まっている -』
http://magalry.com/magazine/yoshio.yasuda

《12月いっぱいで休刊》
肉子『婚活バナシ ~100回お見合いしたヲタ女子の回顧録~』
http://magalry.com/magazine/nikuko
『北別府学の野球派宣言』
http://magalry.com/magazine/manabu.kitabeppu
『ムッシュ!』通信~KEIJI編集長の裏レシピ~
http://magalry.com/magazine/monsieur.keiji.exile
米澤よう子『日々パリ・シック&プチ・アートYOKO流』
http://magalry.com/magazine/yoko.yonezawa
木戸衣吹の『がんばる』~女子高生声優のマガジンだけど愛さえあれば読んでくれるよねっ~
http://magalry.com/magazine/ibuki.kido

「Magalryからのおしらせ」のバックナンバーを読み返す限りでは、9月に終了した有料メルマガはゼロ。8月に終了した有料メルマガは1誌(森崎友紀『モリサキ食堂』)。7月に終了した有料メルマガは2誌(AMIAYA『MIAYA’S WEB MAGAZINE“GIRLKNIFE,DOLL,SOMETIMES LOVE.”』/渡部陽一『渡部陽一の世界の国を歩いてみたら。』)。6月に終了した有料メルマガは1誌(東浩紀『ゲンロンサマリーズ』)となっています。

なお、8月に15誌(白鳥JAY子/佐久間一行/濱口善幸/前田知洋/元祖爆笑王/芹澤信雄/安田佳生/米澤よう子/郡達藏/小林一行/パーティ内山/フジタ/堀龍市/松本敏弘/ぐっどうぃる博士)、9月に4誌(肉子/五十棲剛史/チーモンチョーチュウ/牧田幸裕)、10月に4誌(井上和幸/大貫憲章/シマヅ/まめこ)を追加するも、好転しなかったことが、有料メルマガからの撤退を判断した理由ではないかと思われます。

◆検証1:ファンクラブを目指すという方針

2013年2月21日、『CNET Japan』に掲載された記事(http://japan.cnet.com/news/service/35028492/)には、次のように記されています。
Magalryで目指すのは、メルマガではなくファンクラブサービス。「メルマガ市場は10億円。一方でファンクラブはリアルな市場で200億円。ライブやイベントとなると1200億円の市場がある」
現時点では一般ユーザーにプラットフォームを開放するのではなく、芸能人や著名人の執筆者拡大に努める。
この市場分析は間違っていなかったと思います。しかし、なぜ、芸能人や著名人のファンが「ファンクラブ」に加入するかを理解していなかったように思われます。

この考察は、すでに、2013年3月29日に掲載した記事「『伝書鳩』はファン向けメルマガの理想形(田村ゆかり「Mellow Pretty」ほか)」(http://ch.nicovideo.jp/sammy-sammy/blomaga/ar176885)で行っています。要するに、Magalryが行っている有料メルマガは、「ファンクラブサービス」のうち、「ファンクラブ会報誌」を補完しているにすぎないのです。

もしも、芸能人や著名人のファンが「ファンクラブ」へと加入する最大の理由が、「ファンクラブ会報誌の入手」であれば、Magalryのもくろみは成功したのではないかと思います。しかし、芸能人や著名人のファンが「ファンクラブ」へと加入する理由は、別にあると思います。それはズバリ、「イベントへの参加権」です。具体的には、「ファンクラブイベントへの参加権」と「ライブのチケット優先販売」となります。それは、私が田村ゆかり姫のファンクラブに入って得た実感です。

もちろん、田村ゆかり姫から届く『伝書鳩』や「ファンクラブ会報誌」(最近、判型が大きくなって見やすくなりました)は素晴らしいコンテンツだと思いますし、「ファンクラブ会員証」は王国民としての誇りそのものではないかと思います。しかし、約1年間、田村ゆかり姫のファンクラブに入って思ったことは、「ライブのチケットが優先的に購入できて良かった」と、「2013年末に両国国技館で行われたファンクラブイベントに行けて良かった」なのです。これは、私に限ったことではないと思います。

おそらくですが、私以外の王国民も同じようなことを思っているでしょうし、田村ゆかり姫以外のファンクラブに入っている人たちも、やはり、「イベントへの参加権」が目当てだと思われます。そう考えると、Magalryには「イベントへの参加権」といった特典がなく、「ファンクラブサービス」としては不完全でした。このことも、GREEが有料メルマガからの撤退を決断した原因ではないかと思います。

◆検証2:配信のタイミング

私が最初に違和感を抱いたのは、『辛坊治郎メールマガジン』をBLOGOSメルマガ(http://magazine.livedoor.com/magazine/13)から、Magalry(http://magalry.com/magazine/jiro.sinbo)に切り替えた時でした。『辛坊治郎メールマガジン』は通常、9時に配信されるのですが、12時を過ぎても届かない。おかしいと思い、辛坊治郎メルマガスタッフ(研究員T)のTwitterアカウント(@sinbojiro)をチェックしてみると、朝に配信されたかのような投稿がされている。おかしいなと思いながら待っていると、18時15分過ぎにようやく受信。それは、翌週も、翌々週も同じでした。

調べた結果、Magalryに登録されている有料メルマガは、配信者が配信のタイミングを選べないことが判明しました。最も分かりやすい例は、『佐々木俊尚の未来地図レポート』(http://magalry.com/magazine/toshinao.sasaki)ではないでしょうか。『佐々木俊尚の未来地図レポート』は、独自の配信システム(http://www.pressa.jp/mailmag.html)に加え、まぐまぐ(http://www.mag2.com/m/0001161550.html)、ブロマガ(http://ch.nicovideo.jp/sasakitoshinao/blomaga/)、BLOGOSメルマガ(http://magazine.livedoor.com/magazine/72)でも配信されていますが、いずれも月曜日配信。しかし、Magalryだけは水曜日配信となっているのです。

『佐々木俊尚の未来地図レポート』は2日間の遅れですが、これよりも、さらに、配信が遅れる有料メルマガも存在します。それは『津田大介の「メディアの現場」』(http://magalry.com/magazine/daisuke.tsuda)です。Magalryにおける津田メルマガの配信日は「金曜日または水曜日」ですが、金曜日の任意のタイミングまでに配信されなかった場合、他のサービスでは金曜日に届いたメルマガが、水曜日まで届かないという事態になるのです。

こう考えると、他の有料メルマガ配信サービスで配信されている有料メルマガを、わざわざMagalryで購読する読者は、「よほどの物好き」ではないかと思います。ぶっちゃけ、私も、Magalryでの『辛坊治郎メールマガジン』の購読は1カ月で終了することにしました。

◆どうなる? 2014年の有料メルマガ業界

短命に終わってしまったMagalryですが、Magalryのみで配信している有料メルマガは、ほとんど遅延もなく、クオリティーも担保されていたように思われます。その点においては、他の有料メルマガ配信サービスよりも優れていたのですが、その分、コストが割高だったのかもしれません。やはり、2014年の有料メルマガ業界は、それこそ、「雑誌」のようなクオリティーを追及するタイトルと、「同人誌」的なタイトルへの分類が進むのではないかと思います。

ブロマガでは「ブロマガ会員限定チケット先行販売」(http://ch.nicovideo.jp/blopro/blomaga/ar269706)のような施策もされているようですが、その前提として、有料メルマガ配信者には、イベント会場の大小はともかく、優先販売でないとチケットが入手できない集客力が求められることになります。また、そもそも、そのような集客力がある人が、わざわざ有料メルマガを配信するメリットがあるのかといった問題に直面するのではないでしょうか。

そう考えれば、どういった人が、どれぐらいの規模で、どのような有料メルマガを配信することがベストなのか。その答えは、明らかになりつつあるように思います。

Bunny(Blu-ray Disc付)

そういえば、2月2日(日)にパシフィコ横浜で行われる、ゆいかおりのライブにも行きたかったなぁ~。チケットの落選が続くと、「ファンクラブに入るしかないな」と思うようになるのですよ……。いや、これ以上は言うまい。

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