そもそも、みなさんは、自分の家を外側から見たことがあるでしょうか? 玄関の周囲は、さすがに毎日見るとは思いますが、他の場所、それも屋根の上なんてところは、自分の家でも、実物をほとんどの人が見たことがないんじゃないかと思います。
現在、大絶賛・人気沸騰で開催されている「特撮博物館」。この展覧会に人気が集まっている理由はいろいろとあるのですが、チケットを買った人たちが確実に楽しみにしているのは、会場地下1階に巨大なサイズで鎮座するミニチュアセットです。ありがたいことに、このコーナーは撮影可能です。
東京タワーを中心として、都市が壊滅的なダメージを受けている様子を表現しているこのミニチュアセット。
しかし、ここをつぶさに見ていくと、一番数多く作られているのは、われわれが、もしくは一昔前のわれわれが住んでいたような住宅です。
この、家を上空から俯瞰した絵。子供の頃、特撮ものを見る楽しみのひとつにこのミニチュアの風景がありました。
ところが、今われわれは、この俯瞰の絵を、日々見続けています。言わずとしれたGoogle EarthとGoogleマップによるイノベーションのおかげです(もうひとつのイノベーションであるストリートビューについては、いつかとりあげる予定です)。
Google本社・支社・イベント会場などで目の当たりにできる「Liquid Galaxy」。
Googleのおかげで、それまではまず見られなかったものを、今われわれは住所を検索するだけで見られます。私も、自分が住んでいるマンションの屋上に入ったことはありませんが、Googleマップでは何度も見たことがあります。だから、そんなこんなでこういう写真はすっかり見慣れてしまいました。それ以前にも、家を上空から見るなんてことは、テレビや映画の世界であったのに、です。
でも、ここでふと冷静になってみると、テレビや映画という作り物の世界。Googleマップで見る現実の世界。でも、われわれは、実際に自分の目では、どちらも見ていないのです。なんともおかしな感じです。そして、そんなおかしな感じになっているわれわれが、またそのおかしな感じを半ば根拠にして、家のことを考えなくてはいけないのです。なんという困ったことでしょう。
「別に、家で大事なのは内側で、外側のことなんてどうでもいいじゃん」との意見もあるかもしれません。それはそれで、とてもよくわかります。ところが、われわれはやっぱり自然や土地という環境から無縁で生活することは、やっぱりできないのです。
Googleマップのおかげで、われわれの手元に家を外側から考える材料は提供されています。困った現実を受け入れつつも、まずは自分が今住んでいるところ、過去に住んだことがあるところのGoogleマップを眺めることから、まずは始めてみませんか?
(いしたにまさき)
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