世界各国の才能を発掘するテレビ番組「〜’s Got Talent」シリーズ。スーザン・ボイルを生み出したBrain’s Got Talentや蛯名健一さんが優勝したAmerica’s Got Talentは皆さんもご存知だと思います。
こちらの女性はとある国の出演者。舞台が暗くなり、下から照らされたテーブル状のプロジェクターに砂が敷き詰められています。その砂を指で削ることで絵を描いていきます。
星が輝く夜空に道や建物が浮かび上がってきます。そこに現れるのは去り行く汽車に涙を流しながら別れを告げる女性たち。
細部がどんどんと描き込まれるのかと思いきや、勢いよく砂をキャンバスに投げつけ絵を壊す出演者。まるで爆撃を再現しているような動きに目を奪われます。
絵が浮かび上がったと同時に次の絵へと変化していくこちらのパフォーマンス、実は政治情勢で世界の注目を浴びるウクライナでの収録。パフォーマーのKseniya Simonovaさんはクリミア在住の砂アーティスト。戦争が生む悲劇を決意の表情で描く圧巻のパフォーマンス、どうぞご覧下さい。
戦地に去った家族を待つ人々は老いていきます。
追悼の碑でしょうか、人々が集まり祈りを捧げます。
涙を流す観客たち。
映像を観る私たちは今ウクライナ・ロシアを取り巻く情勢を連想せざるを得ません。最後に現れるのは赤ん坊を抱きながら窓の外を眺めるお母さん。窓の外には戦争で失ったと思われるお父さんが立っています。
そして最後に「1945」と書き込まれて私たちはハッとします。これはこれから起きる危機を描いたアートではありません。第二次世界大戦で既に起きた家族の悲劇を伝えているのです。
Kseniya Simonovaさんの曾お祖父さんは第二次世界大戦でナチスの侵攻と戦い命を落としました。番組の準決勝で彼女はその曾お祖父さんの物語を砂のアートを使って伝えたのです。
パフォーマンスの最後に彼女は書き込みます。「あなたはいつもそばにいます。」
Kseniya Simonova – Sand Animation (Україна має талант / Ukraine’s Got Talent) via [YouTube]