高校生のころ「アクワイヤ」というボードゲームにハマっていたFP山崎(@yam_syun)です。ホテルチェーンの拡大を目指すボードゲームですが、高校の図書館で夢中になって遊んでいたら古文の先生にみつかり一部のカードを没収されてしまいました。かなりインテリジェントな駆け引きを必要とするゲームなのですが、遊んでいるとしか見えなかったのでしょう。
さて、今回のいえよみで選んだ一冊は、ボードゲームの面白さを通じて友人関係が深まっていく(かつボードゲームの面白さもたっぷり伝えてくれる)、「放課後さいころ倶楽部」というコミックです。
■ゲームは人と人を仲良くするツールでもある
いまどきのテレビゲームは、ネットワークに接続されソーシャル機能が付加されたことで、「プログラムと個人」が競い合うだけでなく、人と人がつながるゲームに進化しました。FPSで戦争をしても、ポケモンで交換をしても人と人がつながっています。ゲームの面白さのひとつとして「人とつながる」機能はとても大きいものがあります。
もともと、電子化される前のゲーム、つまりアナログゲームは、その場に参加者全員がいることが前提ですから、「人とつながる」機能はもっと濃いものでした。勝ち負けを通じた喜怒哀楽を共有したり、ゲームのプロセスの中で駆け引きを行う緊張感を楽しむことで、プレイヤー同士の距離感はぐっと縮まっていきます。
「放課後さいころ倶楽部」では、京都の同じ高校に通う女の子3人が、偶然のきっかけで、ボードゲームを楽しむ仲になります。いろいろなボードゲームが紹介されていきますが、マンガとして楽しいのは、やはりゲームを通じて友人関係が深まったり、人間性が描かれていくプロセスです。
3人それぞれの性格や背景が少しずつ描かれていくうちに、読者の私たちはボードゲームのことも知っていくことになる、楽しい一冊となっています。
■マンガで伝わる、知らないゲームのおもしろさ
書籍のレビュー、コミックのレビュー、映画のレビューにゲームのレビューなど、いろいろなレビューがありますが、コミックを通じてゲームのレビューがされていくのも本作の楽しみのひとつです。
ボードゲームのおもしろさはルールだけではなく、その場の雰囲気もあります。またカードやボードの絵柄のおもしろさ(実際に配置された状態も含めて)も分からなければ、ボードゲームのおもしろさは伝えつくせません。
このコミックではゲームをしている場面が描かれているので、実際のゲームをした雰囲気を伝えつつ、そこで行われる駆け引き、負けてしまった人物の落胆、勝者のうれしそうな顔も伝わってきます。
読んでいて、いくつかのゲームは「うちの子どもが理解できるようになったら、買って遊ぼう!」と思わせるものでした。たぶん、悔しがったり、喜んだ顔が見られそうで、今から楽しみです。
ボードゲームは実際のメンツがそろわなければいけない、という点で現代には向いていないかもしれません。しかし、モノポリーとジェンガくらいしかパーティーゲームが用意されていないなんて残念なことです。「放課後さいころ倶楽部」を読んで、とっておきのボードゲームをひとつ買い、いつかみんなで遊べるように、家に置いておいてはいかがでしょうか?
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