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【おとな絵本】リズミカルな文章と味のある挿絵が印象的なベストセラー『かばくん』

2013/11/08 16:30 投稿

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子どもにワクワクや楽しさ、悲しさ、教訓などを教えてくれる絵本。大人になって読んでみると、また違った印象を受けることもあります。夜眠る前に、雨降りの日に、もちろん晴れの日だって、絵本を読む時間はきっと貴重な時間となることでしょう。

というわけで、大人も子どもも楽しめる絵本の紹介をしていきたいと思います。

第27回は、作:岸田 衿子、絵:中谷千代子『かばくん』。1966年初版の絵本です。

ストーリーはこんな風。

動物園の朝、カメを連れた少年がかばくんのところにやってきて、話しかけます。
「おきてくれ かばくん どうぶつえんは もう11じ ねむいなら ねむいと いってくれ つまらないから おきてくれ」
そうして、動物園の時間が過ぎてきます。
「きた きた きた きた きたきた きた きた くつしたはいてる すかーとはいてる はんずぼんはいてる げたのこもいる。どらちょっとみてこよう。」と、動物園にやってくる子どもたちを下からのぞくかばくん。

こんな風に動物園のかばくんの1日が色々な目線で描かれています。とくに大きな事件が起きるわけでもない、1日。かばくんと動物園にいる動物たちは、私たち人間を観察しながら、毎日を過ごしているのかなぁ、と思ってしまいます。

繰り返されるリズム感のよい言葉。挿絵の構図のよさとダイナミックさ。そして、かばくんの質感。独特の雰囲気を醸し出すナンセンスさ。

この絵本が、ただのかばくんの1日を紹介したものにとどまらず、推薦図書に選ばれたり、欧米でも翻訳出版されている所以かもしれません。ちなみに、著者の岸田 衿子さんの妹さんは女優として活躍していらした岸田今日子さんです。

なんというか、さらっと読めてしまうけれど、読めば読むほど、文や絵に味が出てくるんです。

1966年初版の絵本なので、出てくる少年がなぜかカメを連れていたり、動物園に来る子の中に下駄を履いている子がいたりと、ところどころに時代を感じます。ですが、大人になって読むと、ほのぼのするだけでなく、かばくんの過ごす世界に、なんとも言えない不思議な感覚が残ります。

動物園の夜まで描かれており、「おやすみ」で幕を閉じるので、眠る前に読んだり、子どもたちに読み聞かせするのにもいいのです。

『かばくん』 作:岸田 衿子、絵:中谷千代子絵

(福音館書店)

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