フォトグラファーの小林キユウさんの作品です。
ぜひ本物の立体作品も見てみたいものですが、じつはこちら、このままで本物なのです。どういうことかというと、この作品はクリアケースと小川の風景を別々に撮影し、パソコンで組み合わせた写真作品なんです。
どう見ても本物のジオラマにしか見えません。
光のあたる角度や反射のしかたを細かく計算して撮影したという、小林さんの技術のたまものです。それにしても…
やっぱり本物にしか見えません!
とても現代的な手法でつくられたこちらの作品ですが、じつは小林さんは、日本古来の表現にインスパイアされてこの作品をつくりだしたそうです。
江戸時代の頃の日本には、浮世絵や歌舞伎絵を切り、舞台の「書き割り」のように立体的に組み立てる「立版古」(たてばんこ)という表現手法がありました。単純な方法ながら、パースのない錦絵に立体感を生み出す手法は当時の人々を楽しませ、江戸時代から明治時代にかけて流行したそうです。
小林さんは、その「立版古」にインスパイアされ、写真を現代の手法によって立体化できないかと試行錯誤を繰り返し、このような作品を生み出したそうです。
小林さんは現在も「地球上のあらゆるものを『標本化』する」、をコンセプトに新作を生み出しているそう。これからの作品も楽しみですね。
今回ご紹介した作品は、小林さんの写真集「SHOWCASE」の中からご紹介しました。本の方もぜひご覧になってみてください。
また、併せて9月19日より写真展も開催されるそうです。お時間のある方はぜひ写真展で本物をご覧になってみてはいかがでしょうか?
[SHOWCASE]
フォトグラファー 小林キユウ『SHOWCASE』9/19~[IMA ONLINE]
(宮越裕生)