35歳、同棲4年目、心地良くてそれなりに幸せ。でも、本当にこれでいいの?
『君とボクの虹色の世界』のミランダ・ジュライ最新作『ザ・フューチャー』は、ケガをした猫“パウパウ”との出会いをきっかけに、<いままで>の自分に疑問を感じ、<これから(Future)>の自分を探そうとする女性の姿を描いた作品。ソフィーと恋人のジェイソンはパウパウを迎えるまでの30日間、先延ばしにしてきた行動を起こすべく、仕事を辞めてインターネットを解約し、新しい人生を歩み出そうとします。
<30日間、毎日新しいダンスを創る>ことを決めたソフィー。でも思うようにできず、気持ちは焦るばかり。そんな中、子持ちの年上男性に出会ったソフィーは、自分を襲う焦燥感に背を向けるかのように、部屋を出て彼のもとへ…。
大人になればなるほど、時間が経つのが速くなる。子どもの頃とは違って、未来には不安がいっぱい。今作はそんなリアルな感情を、不思議な世界観で描いたユニークな映画。周りのみんなに取り残されたような気がして、何かを成し遂げようと焦ったり、新しい彼に逃げてしまったりするソフィーに、共感してしまう人は少なくないかもしれません。
監督・脚本・主演を務めるミランダは、昨年公開された『人生はビギナーズ』でおなじみのマイク・ミルズのパートナー。コンテンポラリー・アーティストや小説家としても活躍していて、今作にも彼女の独特な視点やアイデアがあふれています。ストーリーのナレーターでもある猫のパウパウの声も、彼女が演じているそうですよ。
作品全体を暖かく包む、ジョン・オブライオンによる音楽も秀逸。挿入歌「Master of None」は、ボルチモアのドリームポップバンド、ビーチ・ハウスが歌っています。
『ザ・フューチャー』
監督/脚本:ミランダ・ジュライ
キャスト:ミランダ・ジュライ、ハミッシュ・リンクレイター、デヴィッド・ウォーショフスキー、ほか
音楽:ジョン・オブライオン
1月19日より、シアター・イメージフォーラムにてロードショー。
(C)TODD COLE 2011 (C)THE FUTURE 2011
『ザ・フューチャー』[パンドラ]