園芸という誰でも行う事ができる作業を通じて、様々な問題を抱えている方々への身体的、精神的、社会的なリハビリテーションをはかる活動です。
言葉を聞いたことがある方も、実際の活動の様子を目にすることはほとんど無いかと思います。というのも、主に行われている現場の多くが、高齢者施設や障がい者施設、病院など、一般の方々があまり訪れることがない施設がほとんどだからかもしれません。そのせいか、現場での評価は高いのですが、一般社会への認知度も低く、日本では馴染みの薄い活動になっているのが現状です。
今回ご紹介します『園芸療法のこころ』という本は、園芸療法のHow to本というのではなく、実際の現場での様子を、実践者(援助者)である著者の声と、対象者ひとりひとりの物語が書かれている、とても貴重な本です。
著者のグロッセ世津子さんは、日本の園芸療法のパイオニアの1人でもあります。日本で園芸療法という言葉がほとんど知られていない時期に海外の文献を取り寄せて独自で学ばれ、また園芸療法先進国といわれるアメリカでの実践を重ね、その後、日本各地で園芸療法の実践、講演、ワークショップなどの活動を行われてきました。
現在では園芸療法の枠にとらわれず、植物とともに生活することで植物から教えらる多くの気づき、植物のもつ癒しの効果などを、講義やワークショップを通じて学び、体験する「エコール・グロッセ」という学校を開校されています。笑いあり、涙ありのこちらの学校、気になる方は是非参加されてみてください。グロッセさんの魅力に引き込まれること間違いありません。
園芸療法のこころ ひとりひとりの物語から グロッセ世津子著 ぶどう社