食洗器の中に放置していたグラスの底に何かあるな、と気がついて、光をかざしてよく観察してみると、チョークのような粉っぽい感じのレースのような模様ができている。これは、と思ったButtonさん、写真に収め始め、もう6年が経つそうです。
かれこれ撮った写真の数は75枚ほどあり、今も続いているプロジェクトです。
Buttonさんの作品たちの特徴は、日常のなんでもないものの中に芸術を見出すようなところ。まさしくこのシングルモルトの織り成す模様は日常の中で流され、消えて、埋もれてしまう現実。こんなに身近なところに神秘が広がっていたなんて。
興味が増したButtonさんは、実験的に、かざす光の色を変えてみたりしてみたところ、神秘的な感じはさらに増して、宇宙のようになったとか。
今では、終わるどころか、乾いていく間にグラスを少しづつ動かしてみたり、違うシングルモルトウィスキーを使ってみたり、と広がりをみせているプロジェクトです。
そして、なんとButtonさんのウィスキー写真は科学にも影響を与え、プリンストン大学のHoward Stone教授が研究を始めるまでに。違う種類のウィスキーが違う形で蒸発することについて、Stone教授と彼の元で働くポスドク(博士課程終了後研究をする人)研究者と一緒に研究しているそうです。
この5月には、スコットランドで行われるThe Islay Festival of Music and Maltにまで旅してしまった写真達。いくつかこちらのフェスティバルでも紹介・展示されています。
今後もっと面白い作品がどんどん生まれ、科学の進歩にも貢献して、新しい話を提供してくれそうですね。
The Wonderful World of Whisky Art [npr][Earnie Button]