Photographed by tsubottlee 日本海側でも比較的穏やかな気候の福井県敦賀市。
最寄りの駅から車で15分ほどの住宅街に、今回取材した田辺さんの住まいがあります。
お名前(職業):田辺さん(雑貨店「mikke」経営)、夫・Tさん、お子さん場所:福井県敦賀市
面積:58㎡
間取り:3DK
築年数:築約30年
住宅形態:マンション
家賃:52,000円
間取り図(編集部作成):
家族と雑貨店をはじめるために、夫・Tさんの実家がある広島県から、田辺さんの地元・福井県へUターン。
馴染みがある土地で見つけた“団地みたいなマンション”に、家族が使いやすい工夫を詰め込んだ部屋づくりについてお話を聞きました。
1. この部屋に決めた理由
2. お気に入りの場所
3. お気に入りのアイテム
4. 残念なところ
5. これからの暮らし
この場所に決めた理由
内見なしだけど「ここならきっと大丈夫」地元・福井県での住まい探しは、家族みんなにとって便利で暮らし良い環境を大切に進めていました。
「部屋探しで優先したのは夫婦それぞれの職場に通勤しやすい立地でした。
時間の関係で早く決めないと……と妥協した物件で契約しかけていたときに、この部屋に空きが出たと聞いて。
地元ということもありマンションのことは昔から知ってたんです。
全ての部屋の窓を開けると家中に風が通ったり、各部屋のふすまを外すと解放感のある空間が作れたりする“団地のような間取り”で住みやすいだろうなと思っていました。
でも、前の方がまだ住んでいて内見ができなかったんです。少し悩みましたが、部屋の写真を見て、『ここならきっと大丈夫だろう』と思い決めました」
「前の住まいでは、インテリアなど部屋を彩るものは多く持っていなかった」と話す田辺さん。
今回の住まいから部屋の広さに合わせ、自身の雑貨店で取り扱っているものも複数取り入れながら部屋づくりをしています。
お気に入りの場所
物へのアクセスがいい。みんなが使いやすい台所夫婦それぞれ使う機会が多い台所は、使い勝手がよくなる工夫が随所になされていました。たとえば、元々ついていた扉も外して、どこに何があるかが一目でわかるように工夫。
「細かな収納は面倒だと感じる性格なので、パッと手に取れる、使いやすい収納を意識しています」
また、ごちゃごちゃしがちな小物はカゴや収納ケースを活用していました。
フライパンや鍋はS字フックを使って吊るす収納に。
「私以外の誰かが使う時でも、物のありかが分かりやすいように考えています」
さらに、日用品や食料品など生活感がでてしまうものは、目に入らないよう“あるバッグ”へ収納。
それは、田辺さんのお店でも人気だという、お米や穀物の袋をアップサイクルして作られたトートバッグ「OZZO PLUS バケッツ」。こちらに入れて、パッケージが表に出ないよう一工夫。
家族が集うダイニングスペース兼作業部屋台所隣の洋室は家族で食事をするダイニングスペースとしてはもちろん、お子さんや田辺さんの作業スペースにもなっています。
「この部屋の壁面に子どもの学校道具をまとめてもらっています。
ちょっと大きめの子ども部屋のようなイメージで、学校から帰宅後や休日の食事時間以外は占領されています(笑)」
ダイニングテーブルとしても使っている作業机には、お子さんの創作の跡がしっかり残されています。子どもの成長の証として、いい味が出ていますね。
プリントなど散らかりやすいものは、必要なものかを見極めつつ、判断できないものは棚の下に設置した一時的な保存ボックスへ。
学校からの配布物や教材はどうしても増えてしまいそうですが、しっかり整理されている様子がうかがえました。
暮らしに合わせて使い方を考えた寝室兼リビングの和室台所、ダイニングの両方からアクセスできる広めの和室は、寝室兼リビングとして有効活用。
押し入れの襖を外したり、その中に突っ張り棒を張って収納を増やしたり、こちらの空間も部屋の役割に合うよう手を加えていました。
「和室をそのまま使うのではなく、ベッドとしても小上がりとしても使えるようなスペースをつくり、押し入れは家族の衣類収納として使っています。
夫のアウターなどは一部、別室に片付けていますが、私や子どもの衣類はすべてこのスペースにまとめています」
スペースを有効活用した収納については、次回公開予定の「暮らしのアイデア編」でお話を伺っているのでお楽しみに!
お気に入りのアイテム
形と質感に惹かれた「すのこベッド」引っ越し前から使っているお気に入りのアイテムは、広島県の老舗家具屋『家具の里』で購入した「国産すのこベッド」。
「ベッドが欲しくてネットで調べていたときに、偶然見つけてお店に見に行ったんです。無駄のないシンプルな形と、無塗装で素朴な桐の質感に惹かれましたね。
置いたときの圧迫感もなく、和室にも洋室にも違和感なく置けるところが気に入っています。
6畳の和室にシングルサイズを2つ繋げて置き、その上にラグを敷いています。
ラグを敷くことで、日中は小上がりスペースのようにのんびり過ごす場所として、就寝時はすのこの上に布団を敷いて、ベッドとして使用しています」
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洗いやすく、拭きやすい、丈夫で部屋に馴染む「白磁食器」
自身のお店で取り扱うものを住まいにも取り入れている田辺さん。
なかでも台所で愛用している白磁の器は好きすぎて、食器棚を占める割合がじわじわ増えているのだそう。
「日常で使用する食器は『洗いやすく拭きやすい、丈夫なもの』と決めているんです。
私の店で取り扱っている白磁のシリーズがとても使いやすく、気付けば食器はほぼ自分の店で販売しているものばかりになっていました。
使用時にすぐ取り出せるよう、また片づけやすいようにとオープン収納にしているため、部屋に馴染みやすいシンプルで主張のないデザインも気に入っているポイントの1つです」
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台所の使い勝手を良くしてくれたステンレスの作業台
このおうちで気になっていたのは、台所の作業スペースの狭さ。
そんな台所で重宝しているというのが、自由自在に移動させられるKIPROSTARのキャスター付きの作業台だといいます。
「調理台がコンパクトな台所なので、もう少しスペースがあったら……と思い、辿り着いたのがこの作業台でした。
一か所に置いておくよりは、いろんな場所に移動させて使えた方がいいだろうと思いキャスター付きにしました。
狭い台所でも圧迫感なく使用できるうえに、業務用調理機器メーカーのものなので水にも強く丈夫で安心感があります。
作った料理を仮置きしたり、洗いもののカゴを置いたりとこれ一つでずいぶん台所が使いやすくなったんです。
普段は部屋の端に寄せて空間を広く、料理中はシンクやコンロへアクセスしやすい場所に置いて作業スペースに、と、シーンに合わせて活躍してくれています」
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残念なところ
玄関の狭さと暗さ暮らしやすそうな間取りになっている田辺さんの住まいですが、窓が多いメインスペースに対して、玄関から廊下は暗く、気になるポイントなのだそう。
「玄関から廊下、トイレには、窓がない分、暗さや換気の面で気になるところがあります。
また、廊下が狭く、帰宅時にアウターなどの衣類がかけられるところがなかったので、突っ張り棒を張ってかけられるようにしました」
これからの暮らし
部屋は今のかたちに囚われず、暮らしに合わせた活用にこのおうちは模様替えをしながら楽しみつつ、部屋の使い方もアップデートしていきたいと話します。
「これからは子どもの成長に合わせて、家族ひとりひとりが好きなことや作業に集中できる場所を作れたらいいなと思っています。
間取りも使い勝手が良いので、子ども部屋を設けたり、和室の使い方を考えたりと部屋の活用方法も今のかたちに囚われず、そのときの暮らしに合わせて変えていきたいですね。
次の住まいを考えるのはまだまだ先だと思いますが、いつか縁側があるようなゆったりとした一軒家に住んでみたいです」
田辺さんが暮らしに合わせて変化させたおうちは、きっと家族みんなが使いやすい空間になることでしょう。
ダイニングスペース兼作業部屋として、寝室兼リビングとして、など限られた空間にいくつか役割を持たせるテクニックはぜひ真似したいポイントです。兼用で使っている部屋が今後どのように変化していくのかも気になりますね。
田辺さんの自宅で多く見られた「見せる収納」のコツは次回公開する「暮らしのアイデア編」で詳しくご紹介。こちらもあわせて、ぜひチェックしてみてください。