Photographed by tsubottlee 台湾の首都・台北市の中心駅から車で10分ほどの場所。創建約280年を超える龍山寺(ロンシャンスー)などを横目に見ながら歴史を感じる街並みを歩いた先に、今回お邪魔したRosyさん、Peterさんの住まいはありました。
お名前(職業):Rosyさん(デザイナー)、Peterさん(デザイナー)、お子さん場所:台北市
面積:82.3㎡、3LDK
築年数:築40年
住宅形態:マンション
間取り図:
画像提供:Rosyさん
結婚を機に、それぞれ実家暮らしから物件探しをスタートさせたRosyさんとPeterさん。
治安や予算面でいい物件にはなかなか巡り会えず、約1年間じっくり時間をかけて現在のお部屋に決めたそう。
歴史ある物件に自ら手を加えて、より自分たち好みにつくり上げたお部屋についてお話を伺いました。
1. この部屋に決めた理由
2. お気に入りの場所
3. お気に入りのアイテム
4. 残念なところ
5. これからの暮らし
この部屋に決めた理由
大好きな古民家で見かける「磨石子(テラゾー)」の床台湾の物件サイト「591房屋交易」を頻繁にチェックし、見つかったのがこの物件。実際に物件に訪れてみて、そのポテンシャルの高さに惹かれたそう。
「最初は木目調のプラスチックタイルの床にだったのですが、その下を確認すると、自分が大好きな『磨石子(日本ではテラゾー)』になっていて一気に心が惹かれました。
大家さんに全部剥がしてもいいか確認したらOKがもらえたので、全て剥がしています。お部屋の印象が変わって、より好みのお部屋になりました」(Peterさん)
磨石子(テラゾー)は、大理石や花こう岩の粋石をセメントや樹脂と練り混ぜて、表面をなめらかに仕上げた人造大理石で、多くは床や壁に使われているのだそう。
台湾では公共施設や学校、お寺などにも多く使用されているほか、生活や家屋の設計にも用いられていることもあり、台湾の方にとっては馴染み深いデザインになっているようです。
お気に入りの場所
日当たりのいい2つのベランダRosyさんが内見したときに惹かれた日当たりのいいベランダはキッチンとリビングの両サイドに設けられていて、住まいを明るく、使い勝手のいいものにしてくれています。
「日本に住んでいた頃は、賃貸だとベランダはあっても1つだったので両サイドにあるのはすごくいいです。今年の夏はかなり暑かったこともあり、植物の数は少し減ってしまいましたが、また徐々に増やしていけたらと思います」(Rosyさん)
玄関ドアを開けてすぐ、リビング側のベランダは植物と靴収納のために使用。
台湾の古い物件に多い鉄格子は、台風や盗難の対策でつけられているそうですが、Rosyさんのように多くの植物を楽しむスペースとして活用する方法もあるようです。
キッチン側のベランダは、洗濯物を干すスペースに。空間を明るくしてくれるうえに、風通しもよく、居心地がよさそうです。
タイルの見た目と収納の使い勝手が良いキッチン床と同様、手を加えられていたのがキッチン。シンクの位置を変え、青のタイルを貼ることでキッチンでの時間が楽しくなるよう工夫されていました。
「最初はキッチンと対面になっている壁と同じ色合い、素材でシンプルな空間になっていました。それ自体は悪くはなかったのですが手が加えられるようであれば変えていこうと、使い勝手も意識してセルフリノべしていきました」(Peterさん)
収納も元々あった棚は取り外して、場所ごと変更していたPeterさん。収納づくりなど試行錯誤したエピソードは次回公開する「暮らしのアイデア編」で伺っていきます。
お気に入りのアイテム
仕事も制作活動も捗るデスクリビングの隣にあるお部屋は、寝室兼ワークスペースになっています。
Rosyさんが関わった書籍や思い出の写真なども並ぶなか、特にお気に入りだと話すのがデスクそのもの。
実家で暮らしていたときから10年以上使っている愛着がたっぷり詰まった家具です。
「台湾でも一家に一つはあるスタンダードなデザインの勉強机です。檜を使っていて手触りがよく、長く使える安心感がありますね」(Rosyさん)
机についたたくさんの引き出しには、本業である衣装関連のグラフィックデザインとともに、アート制作の道具を収納。
「彼は引き出しの少ないシンプルなデザインの机が好みだというのですが、私はデザインも機能面でも引き出しの多いこのデスクがお気に入りなんです」(Rosyさん)
チェアはオダギリジョーさんがドラマ「重版出来!」で座っていたことから人気になった井上金庫販売のものを愛用。台湾では「オダギリチェア」と呼ばれて人気なのだそう。
撮影中には、お子さんも並んでお絵描き、両親の姿を見て将来はビッグなアーティストに、なんてこともありそうですね。これからが楽しみです。
懐かしいリュウガンのベンチ玄関やキッチンなど各所に置かれたベンチはPeterさんのお気に入り。台湾や東南アジアなどで広く栽培されており、古くから馴染みのあるリュウガンの樹を使ったものなのだとか。
「どれも手に入れた場所は異なりますが、リュウガンのベンチの佇まいが好きで複数置いています。特に玄関に置いているものは表面に虎杢目(とらもくめ)がありお気に入りです」(Peterさん)
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残念なところ
浴室が狭く、浴槽がないところ広く、部屋数も多い物件である一方で、気になるのが浴室。トイレとシャワールームがコンパクトにまとまっており、寛ぐための空間としては十分ではないと話します。
「浴室が狭く、使いづらいと感じることがあります。一日の疲れを癒すためにも、浴槽は欲しいですね」(Rosyさん)
これからの暮らし
好きな暮らしが楽しめるお部屋を目指したいすでに好きがたくさん詰め込まれたお部屋になっていますが、さらに部屋作りを楽しんでいきたいと二人は話します。
「床を剥がしたときのように、壁に色を塗ったり、収納を付けたりできたらと考えています。
知り合いが木材と組み合わせて天井と床を突っ張って固定できるパーツを使って収納を作っているのを知って、パーツは購入しているのですがまだ着手できていません。本を収納できるスペースを作りたいと思っています」(Peterさん)
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「いまのお部屋も楽しみつつ、いつかは自分たちの住まいも持ちたいですね。台北の中心地はもちろん、ここも地価が上がってきて家賃も上がりました。
新しいマンションも多く建ってきていますが、自分達が心地よいと感じる住まいをゆっくり探して行けたらと思います」(Rosyさん)
お部屋も暮らしも型にはめず、自分たちが好きなものとそれを楽しめる過ごし方を大切にしている二人。
お子さんの成長とともに、住まいもご家族の色合いをより濃く映していきそうで、ぜひまた伺ってみたいお部屋でした。