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実は1つのフォームを覚えるだけ。砥石でキレッキレの包丁を復活させる方法をプロ砥ぎ師に聞いてみた

2023/11/07 21:00 投稿

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※こちらは「かいサポ(お買いものサポーターチーム)」が編集・執筆した記事です。

Photographed by Haruki Matsumoto

おいしい料理を作るには、食材はもちろん手入れされた道具も重要。例えば、切れ味の鈍い包丁は見栄えや作業効率にも影響するため、定期的にしっかり研ぐ必要があります。

とはいえ、プロのような砥石でのメンテナンスはなかなか手が出せませんよね。難しい&面倒な印象が先行し、結果として手軽なシャープナーを済ます方が大半かと。

そこで今回は、クラウドファンディングサイトmachi-yaでキャンペーン中の初心者でも扱いやすい砥石「【削 SAKU】・【整 SYOU】」を開発された、プロ研ぎ師の原田 雅幸さんに使い方や包丁を整えるコツを伝授していただきました!

料理が趣味の方や本格的な研ぎに興味のある方はぜひ、最後までご覧ください!

名古屋の刃物研ぎ専門店【 HATOGI屋 】オーナー|原田 雅幸

元レストランバーやビュッフェの料理長。元料理人という経験を活かして、実用的な研ぎ方、切れ味はもちろんの事、長持ちする研ぎ方や、お客様一人一人に合わせた研ぎ方を提案することが強み。

2種類の砥石で段階的に研磨

左:荒砥石【削 SAKU】(♯400)|右:中砥石【整 SYOU】(♯1000)

____それではまず今回使用する砥石について教えていただけますか?

原田さん:今回私が製造した砥石は、粒度の高い荒砥石と中程度の粒度をもつ中砥石にあたる2種類。

簡単に説明すると、荒砥石は研磨力の強い石で文字通り刃物を削り研ぐ役割。続いて中砥石は刃の表面を整える役割があります。

これらの性質から、2つを【削 SAKU】・【整 SYOU】と名付けました。


____2種類を分けて使うのにはどんな意味が?

原田さん:包丁の消耗具合に合わせて段階的に研ぐことが適切な処理になるんです。木材や金属を削る時と理屈は同じですね。

ただ一般家庭で必要十分な切れ味を目指すのであれば、荒砥石だけでも大丈夫です。


中砥石は削った状態を整えるのが目的なので、単体で使うことはあまりありません。

目では見えにくいですが、刃を綺麗に維持したい方は2段階で使用するのがオススメですよ。


____使用する前に気を付けておくことはありますか?

原田さん:準備として、作業前は5分〜10分ほど砥石を水に浸しておきましょう。これだけ行えば、いつでも作業OKです!

安定する構えが大事


____それでは早速、包丁の研ぎ方のご指導をお願いします!

原田さん:まず、私が推奨する基本の持ち方がこちらです。

手首と包丁が垂直になるように持ち、そして正面から見て大体75°くらいの角度で構えます。様々な持ち方や角度を試しましたが、初心者でも安定した包丁研ぎにはこのフォームが良いと思います。


____「安定」する秘訣とはなんでしょうか?

自然と脇・手首が固定されるところがポイントです。脇が開き、手首がゆるいと包丁の角度がブレ、研いでいる部分にムラができてしまいます。

一方でこの持ち方は、安定した角度キープと作業のしやすさを兼ね備えたフォームといえます。


あとはこの状態で包丁を前後に擦り続けていきます。

ポイントは左手を使って押さえる位置を少しずつズラしていくこと。カーブした刃を均一に当てることで、研いでいない箇所を無くしているわけです。


刃を当てる角度は十円玉を3枚を重ねた高さを目安にしてください。難易度も低めなので、初心者の方もトライしやすいと思います。


____ちなみに適さない持ち方などはありますか?

原田さん:意外かもしれませんが、包丁研ぎでイメージされやすい「横持ち」は推奨していません。

先ほどとは逆で、擦るたびに手首が動いて脇も開いてしまうので安定性に欠けるんですね。

続きを読み進める前に、一度“手の動かし方”だけでも比べてみてください。それぞれの動きを真似するだけでもかなり違いがわかると思いますよ。


大まかな説明にはなりますが、この動きを両面、さらに2つの砥石で施していく作業が包丁研ぎになります。

フォーム自体は簡単ですが研ぎの感覚は慣れによるところも大きいので、繰り返しチャレンジしてみてくださいね。

しっかり削れているかの見極めが大事


____1回の工程では何回、また何分ほど研ぐのがベストでしょうか?

原田さん:結論としては、回数や時間ではなく“カエリ”が出るまで研ぎ続けましょう! といつもお伝えしています。

*HATOGI屋さん監修のマニュアルより引用

____“カエリ”とはなんですか?

原田さん:簡単に言うと、包丁を研いだときに削れる鉄クズ(研ぎカス)のこと。

刃物研ぎ業界では“カエリ”ですが、金属研磨業界では“バリ”と呼ばれるのでそちらだと聞き馴染みある方も多いかもしれませんね。


なぜ回数や時間ではないかと言うと、単純にカエリが出ていない状態=削れていないからなんです。

仮に100回研いでもカエリがなければさらに研ぐ、30回研いだだけでもカエリが出ていればOKになります。

ご自身の力加減や角度によって変わるので、この辺りはいつも研ぎ教室で個別に教えていますよ。


____しっかりと研げているかの見極めがポイントなんですね。一方で削れているかの判断は熟練の方でないと見分けがつかなそうですが……?

原田さん:そんなことはありませんよ。一番簡単な方法として削った面の反対側を触ってザラザラとした感覚があればそれはカエリが出ている証拠です。


刃全体にカエリが出たら新聞紙などで拭き取ってあげましょう。これらの工程を荒砥石と中砥石で行なって研ぎ作業は完了となります!

蘇る切れ味


原田さん:それではいくつか試し切りしてみましょう。

研ぎたての包丁であればこういったコピー用紙なんかもスパッと切れます。ちなみに今回研いだ包丁は、市販の安価なタイプですよ。

____テレビなどでよく見ますが、抵抗感もなくとても滑らかな切り口ですね!


原田さん:もちろん食材のカットもしやすくなるので、ご覧のようなトマトの薄切りも簡単になります。

特に生の食材を使う料理は断面の美しさがそのまま料理の仕上がりに直結するので、やはり切れ味は重要ですね。


また単純に余分な力を使わずに食材のカットできるようになるので、疲れにくくなるというのもポイントです。


____ちなみに自宅で研ぐときはどのようなスタイルで行えばよいですか?

原田さん:作業中砥石が動かない状態がベストなので、布巾などを敷いて行うのがいいと思います。

また摩擦低減のため水をかけながら作業しますが、霧吹きなどを使って都度吹きかけると作業もしやすいと思います。

初めての砥石にいかが?


____それでは最後に、プロの研師として皆さんに一言お願いします!

原田さん:まずお伝えしたいことはどんな研ぎ方であろうと、“刃が鋭くなり”、“物が綺麗に切れ”、“ご自身が満足”していればそれで正解だと私は考えます。

私の研ぎ方は唯一無二の絶対的な正解ではなく、色んな研ぎ方(正解)がある中の一つとして捉えていただけると幸いです。

その中で少しでも良いと思っていただけたら、【削 SAKU】と【整 SYOU】を手に取っていただけると大変嬉しいですね!

プロの研ぎ師が開発した扱いやすい砥石「【削 SAKU】【整 SYOU】」は現在、クラウドファンディングサイトmachi-yaにて先行販売を実施中。

執筆時点では、2つの砥石と研ぎマニュアルがセットになったコースが一般販売予定価格から10%OFFの11,700円(税・送料込)からオーダー可能でした。

直接指導を受けられるコースもあったので、本格的な刃研ぎに挑戦してみたい方はぜひ、下のリンクから製品の詳細をチェックしてみてください!

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