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住まいのプロが3LDKからワンルームにリノベ。機能性とデザイン性が両立した暮らし(横浜)

2023/11/04 15:30 投稿

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Photographed by Megumi Uchiyama 玄関を開けた瞬間、「ここに住みたい!」と思うような理想的な物件と出会うことは、とても幸せなことかもしれません。

「都会にいながら海を感じることができて大好きなんです」

そう横浜の魅力を話すSさんとharuさんは、横浜駅から電車で10分ほどのエリアにある築23年のマンションをほぼ即決で購入されました。

名前:Sさん(設計士)、haruさん(インテリアコーディネーター)、お子様(2歳)
場所:神奈川県横浜市
広さ:70㎡、1R
リノベーション費用:非公開
築年数:23年
間取り図:

Sさん、haruさん作成

もともと3LDKだった間取りをワンルームにフルリノベーションしたお部屋は、設計士のSさんが設計。

そこにインテリアコーディネーターであるharuさんがセレクトした北欧とミッドセンチュリーをミックスした家具や、作家が手がけた照明などがセンス良く並んでいて、惚れ惚れする空間になっています。

住まいを形づくり、彩りを添えるプロフェッショナルなおふたりは、どのような思いでご自身の家を作り上げたのでしょう?

■目次
1. この部屋に決めた理由
2. お気に入りの場所
3. お気に入りのアイテム
4. 残念なところ
5. これからの暮らし

この部屋に決めた理由

以前も横浜エリアの賃貸物件で暮らしていたおふたり。出産を機に家を買おうと、2年ほど前に物件を探し始めたそうです。

条件は、光が入る気持ちのいい部屋、そして横浜エリアであることでした。

「僕は沖縄、妻は静岡出身。ふたりとも海の近くで育ったこともあって、海が近くてアーバンな雰囲気もある横浜に住み続けたいと思っていました。

不動産屋さんを介して横浜周辺の物件を5〜6軒くらい内見したもののどれもピンと来なくて、半分諦めかけていたときに出会ったのがこの家です。角部屋なので、2面の窓から差し込む光がとても気持ち良くて即決しました。

周りに高い建物がないので見晴らしもいいですし、近くにスーパーや公園、学校もあって子育てする環境としても申し分ないです」(Sさん)

Sさんの設計により、3LDKから部屋と部屋の仕切りを設けないワンルームへと生まれ変わり、それが“今の自分たちが理想とする家”だったといいます。

印象的だったのは、バスルームなどの扉や玄関框(げんかんかまち)、リビングへとつながる段差などがアールのついたデザインになっていたこと。

そして、遊びを感じさせる落ち着いたピンク色の壁のトイレ。

おふたりの好きが随所に散りばめられつつ、全体のお部屋トーンがまとまっているのは、住まいのプロであるおふたりだからこそなせる技ですね。

お気に入りの場所

ソファとローテーブルのあるリビング

おふたりのお気に入りの場所は、Sさんが設計したソファ一と1枚板のローテーブルがあるリビングです。奥行きが60cmあるソファは広々としています。

「子どもとくつろげる空間をテーマに、妻と相談しながら設計しました。

ソファに座って部屋全体を見渡すことができますし、子どもと昼寝したり、遊んだりもできる良いスペースになっています」(Sさん)

「座面の生地はウルトラスエードのグレーを選びました。

撥水性があるので、水をこぼしても簡単に拭き取ることができるんです」(haruさん)

座面を開けると、中は収納に。煩雑に見えるテレビやWi-Fiなどのケーブル類は全てこの中にしまう想定で設計したそう。どうりでスッキリしているわけですね!

「コンセントも、スマホの充電やテーブルランプなどを置く時に使いやすい位置になるように考えながら配置しました。テレビも絵のように飾りたかったので横から見るとすごく薄いものを選んで、極力すっきりさせています」(Sさん)

Sさんが設計したソファの前には、超がつくほどのローテーブルがありました。

ソファに合わせるなら、もう少し高さのあるテーブルを置きたくなりそうですが、これには理由が。

「夫の故郷である宮古島では、ローテーブルを囲んで人が集まるシチュエーションが多いので、この家でもそうできるようにしたんです。この一枚板は知り合いの木材屋さんで買ったもので、木の上に乗せているだけなんですよ」(haruさん)

色や細さにこだわってオーダーしたというナラ材のフローリングともマッチしていて、とても素敵でした。

さらに目を引いたのが、リビングの一角にあったインナーバルコニーです。

「タイルでインナーバルコニーを作るケースが多いのですが、それをフローリングでやってみようと思いました。

ヘキサゴンのフローリングを木材屋さんで見つけたので、それを使ってインナーバルコニー風に演出しています」(Sさん)

ピスタチオカラーが主役のキッチン

haruさんのお気に入りの場所は、インテリアの一部にもなっているピスタチオグリーンが印象的なキッチン。

「料理をしながら、ふと振り返るとソファで夫と子どもが遊んでいるのが見える瞬間が好きなんです。

扉や引き出しの面材は、もともと病院の床などに使われているリノリウム素材。人に優しく抗菌にも優れていると言われる天然素材で、北欧家具にもよく使われているんです。

いつか使いたいなぁと思っていたその素材をキッチンの面材に使ってもらいました」(haruさん)

シンクの下は食洗機や収納になっていて、食器類やお子さまのおむつなどをしまっているのだとか。

足場板を使った飾り棚には、コーヒーや鉄瓶、ガラスのコップなどが並んでいます。

「上司から『使っているものをディスプレイすると、その人の色が出る』と教わったので、よく使うものをここに置いているんです。

私は新しいものと古いもの、その両方がある空間が好きなので、新しいキッチンにエイジングを感じさせる足場板を付けました。そうすることで空間に暖かさや馴染みやすさが出てくるんです」(haruさん)

お気に入りのアイテム

チャーナーチェア

お気に入りのアイテムとしてharuさんが真っ先に紹介してくださったのが、ダイニングの一角にあった「チャーナーチェア」です。

「映画『トイ・ストーリー2』にも出てくるヴィンテージの椅子なんです。本当はもっと脚が長いんですが、前に持っていた方が切ったみたいでもともとの長さより短くなっているんですよ。

インテリアコーディネーターになりたてのときに頑張って買った大切な宝物です」(haruさん)

カール・ハンセンのダイニングセットとバブルランプ

ラウンドテーブルがお部屋によく馴染んでいる、カール・ハンセンのダイニングセットもharuさんのお気に入りです。

「部屋全体を丸みのあるやわらかい感じに旦那さんが設計したので、ラウンドテーブルとバブルランプを置きました。

もっと木が白かったのですが、年々少しずつ色が変わってきたんですよ。そういう経年美化とともに暮らすのが楽しいんです。

家具は北欧、ミッドセンチュリーを入れて、時代を統一しています」(haruさん)

コーヒー、お茶を淹れる道具たち

キッチンの飾り棚にディスプレイしているコーヒーやお茶を淹れる道具たちもharuさんのお気に入りアイテムです。

「夫とコーヒーやお茶を飲みながら、お菓子を食べる時間が好きなんです。

その時に使うORIGAMIのドリッパーや鉄瓶、マトリョーシカのようにスタッキングできるガラスのコップ、リトグラスなどは特に気に入っています」(haruさん)

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リビングとベッドルームを仕切るカーテンレール

部屋同士の仕切りを設けていないため、夜になると、リビングとベッドルームの間にあるカーテンを閉めて眠りにつくそう。美しいドレープを描くカーテンレールは海外から取り寄せた、こだわりのアイテムです。

「天井に埋め込むタイプのこのカーテンレールは、国内では手に入らないのでスウェーデンから取り寄せました。このレールにするとアコーディオンのように等間隔の美しいひだが出て上品な感じになるんです。

ホテルライク、ラグジュアリーをコンセプトに設計しているので、その雰囲気を演出するにはこのカーテンレールが必要でした。

しなやかな手触りのカーテンはALASKAのベルベット素材を選びました」(Sさん)

ピーター・アイビーの照明

玄関をほのかに照らすガラスの照明は、富山に工房を構えるガラス作家、ピーター・アイビーさんが手掛けたもの。

「山奥の工房で一つ一つ作っているんですよ。この照明が大好きすぎて玄関に取り入れました」(haruさん)

残念なところ

間接照明をつける予定で作った天井の溝

「リビングの天井に間接照明を入れる予定で溝を作ったのですが、結局つけていないんです。今後つけるかもしれませんが、つけなくてもいいかなぁという気持ちにもなっています」(Sさん)

窓際につけたカーテンレール

「窓際に二重のカーテンレールをつけたのですが、結局カーテンレースしかつけないんです」(haruさん)

これからの暮らし

「作り手さんが手作りしているストーリーのある家具や照明などを、捨てずに大切に使いたいと思っています。

この家は、今の僕たちが『明るく気持ちよく暮らせるようなワンルーム』というコンセプトで作ったので、極力部屋を作らないようにしたいんです。そのため今後、家族が増えたり、子供が成長したりして子供部屋が必要になったらリセールするかもしれません。

そのときは、この家を長く大切に使って下さるような方にお譲りしたいですね」(Sさん)

「植物をもっと増やして、ゆくゆくはジャングルみたいにしたいです。さらにもっと将来的には、平屋の戸建てでゆっくり暮らしたいと思っています。

もともと大工だった夫には家具を作りたいという夢があるので、そこを住居兼工房にしたいねと話しています」(haruさん)

経年劣化で新しく作り替えなくてはいけないもの。経年美化を楽しみながら、次世代に受け継いでいきたいもの。その両方存在するのが私たちの暮らしです。

新旧それぞれの良さを楽しみ、愛でながら、その家に暮らす人の温度感を添えていくと生活がより豊かになるのかもしれないなぁと、Sさんとharuさんから教えていただきました。

築50年の賃貸一軒家をフルDIYで作り上げる。アトリエ兼住居のふたり暮らし(滋賀県大津市)

ルームスタイリストが暮らすのは、変わった間取りの賃貸1LDK(福井県福井市)

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