2022年07月15日公開
以前から注目されていた、無駄のないミニマルな暮らし。コロナ禍以降、そんな生活様式が当たり前になり、物を大量に消費する暮らしから、物を大切にする暮らしへと、ライフスタイルに変化が起きています。
それはファッションにおいても言えることで、流行の物を安価で大量に消費するのではなく、長く愛用できる物を選びたいという人が増えています。スーツはその代表例で、近年では、オーダーメイドで自分にぴったり合うスーツを作ることができるお店が増加中。以前より敷居も低くなっており、なかには10,000円台でオーダーできるお店もあります。
本記事では、雑誌や広告、アーティストや俳優のスタイリングを手掛けるスタイリストの笠井時夢さんが、手頃な価格で作れる、自分に合うスーツをオーダーメイド。安くても、質のいいオーダースーツを作るために、チェックしておきたいポイントを徹底解説していただきます。
笠井時夢さん
1983年2月3日生まれ、山梨県出身。スタイリストを志し、16歳で上京。23歳の時に独立し、以後、雑誌、アーティスト、広告などさまざまなフィールドで活躍中の人気スタイリスト。twitter:@sty__tom
4 低価格オーダースーツを作るためのチェックポイント
お店の雰囲気やおしゃれ感をチェック
コスパのよさ・高見えするかどうか
価格帯をチェック
仕上がり日数をチェック
生地の質をチェック
1 オーダースーツとは?
笠井さんも数年前から専門店で作り始めたというオーダースーツ。既製品のスーツと異なり、サイズやデザイン、シルエットなどを個別にオーダーできるので、フィット感や着心地のいいスーツを作ることができます。「スーツは、ラインがきれいであればあるほど高見えする」と言う笠井さん。既製品よりもオーダースーツの方が断然きれいなラインに仕上がります。値段はピンキリですが、手頃な価格で作れるお店も増えているので、オーダースーツ初心者や、限られた予算で作りたいという人にもおすすめです。
オーダースーツを作るメリット
長年愛用できる
「ビジネスシーンはもちろん、かっちり見せたい時や結婚式といったフォーマルシーンなど、季節やシーンを問わず愛用できるオーダースーツ。かつて老舗のテーラーで作ったものは5年以上愛用しています。自分の体型にぴったり合うスーツで、愛着も湧くので、長年愛用できるというのがメリットのひとつです。」
スタイリッシュで褒められる
「既製品と異なり、細部までこだわって作ることができるのがオーダースーツの魅力。体にフィットしていて「着られている感」がなく、スタイリッシュに見えます。着ていると「そのスーツかっこいいね」と言われたり、「どこで買ったの?」と聞かれることも多いです。オーダースーツだからこそ感じることのできる、ステイタスのようなものもあります。」
体型維持もできる
「自分の体型に合ったジャストサイズで作っているからこそ、スーツに合う体型を維持しようと思える部分もあります。サイズが変わったからとすぐに既製品のサイズチェンジをするのではく、せっかく作ったオーダースーツに合わせて、体型維持をすることも大切なのではないかと思います。」
オーダースーツを安く作れる理由はいくつかありますが、一番の理由は「仕立ての違い」。オーダースーツの仕立てには、「フルオーダー」「イージーオーダー」「パターンオーダー」の3種類があり、安いオーダースーツの場合は「パターンオーダー」を採用していることがほとんどです。
フルオーダー イージーオーダー パターンオーダー オリジナルの型紙を元に一から仕立てる方法。 既成の型紙に体型のクセなどを反映させて作る方法。フルオーダーのように型紙から作るのではなく、体型に近いものをベースに仕立てる。 既成のスーツを元に、袖丈やウエスト、パンツ丈などを調整してくれる方法。 <特徴> <特徴> <特徴> 細部にまでこだわることができ、体にジャストフィットしたスーツが作れる。
一方、価格が一般的に20万円~と高く、納期も時間がかかる。 フルオーダーよりも値段を抑え、パターンオーダーよりも自分に合ったスーツを作ることが可能。価格は40,000~10万円程。納期は約3~4週間程度。 価格は20,000~50,000円程度。工程が少ないため、納期も2~3週間程度で仕上が
る。
2 スーツの種類
まずはスーツの種類を解説。基本的なスーツの種類を知り、自分の好みや体型に合うスーツを作りましょう。
Screenshot: https://fabric-tokyo.com/answer/suit/dressup-fashionably
<シングルとダブル>
スーツのジャケットのボタンの数によって、「シングル」「ダブル」と分類が異なります。
シングル ダブル 前ボタンが1列になったデザインのもの。ボタンの数は2つが主流。もっともスタンダードなタイプで、ビジネスからフォーマルなど幅広く使える。 前ボタンが2列になったデザインのもの。
ボタンの数は6つが一般的。ルーズなシルエットのものだけでなく、最近ではタイトでスマートなものも。
<ツーピースとスリーピース>
また、「シングル」「ダブル」の分類以外に、スーツの構成により、「ツーピース」「スリーピース」と分けられています。
ツーピース スリーピース ジャケットとパンツの2点セット。もっとも一般的なスーツ。 ジャケット、パンツ、ベストの3点セット。フォーマルシーンなどで着用されることの多いタイプ。3 手頃なオーダースーツが作れるお店8選
ここでは笠井さんがセレクトした、お手頃価格でスーツが作れるオーダースーツ人気店を紹介。自分の好みに合うお店を見つけて、オーダースーツを楽しんでみてください。
FABRIC TOKYO(ファブリック トウキョウ) Screenshot: FABRIC TOKYO手頃な価格で、高品質かつデザイン性の高いオーダースーツが作れる、デジタル世代のためのビジネスウェアブランド。20代からの支持も高いです。
採寸や採寸データの登録は店頭のほか自宅でも行え、いつでもどこでもネットで注文ができるという便利さもうれしいポイント。購入前に生地見本を自宅に届けてくれるサービスもあり。
有楽町(銀座)など都内8店舗を含め、全国の各地域13箇所に展開しています。
「手頃な価格でオーダースーツを作ることができるだけでなく、約300種類という生地の豊富さと質のよさも魅力。ストレッチ性の高い素材を使用したものなどもあり、機能性重視の人にもおすすめ。今回実際にスーツをオーダーしたのも「FABRIC TOKYO」です。僕の脚はO脚なんですが、センタープレスの位置をずらして、脚をきれいに見せてくれるサービスもあって、とても安心して作ることができました。」
SADA(サダ)▲こちらから購入できます▲
オーダースーツの着心地と楽しさを多くの方に知ってもらいたいと、初回お試し¥19,800円(税抜)でオーダースーツを作ることができる、スーツ初心者にもおすすめの人気店。メンズ・レディースのビジネススーツのほか、リクルートスーツや冠婚葬祭のフォーマルスーツなどもオーダー可能。有料オプションを利用すれば、さらなるカスタマイズを楽しむことができます。
「「ガンバ大阪」とオフィシャルスーツ契約を結んだり、千葉ロッテマリーンズのオフィシャルスーツやネクタイを手掛けるなど、さまざまなスポーツチームのスポンサーにもなっているオーダースーツの「SADA」。創業95年以上の歴史を誇り、安心感も抜群です。メンズのみならず、レディースも対応していて、全国に49店舗を展開しているので、地方に住んでいる方でも地域を問わずオーダーできるのはいいですね。」
SUIT SELECT(スーツセレクト) Screenshot: SUIT SELECT北海道から沖縄まで店舗展開し、自分だけの自分らしいスーツを作ることができる「SUIT SELECT」は、AI画像採寸アプリを使用すれば10分で採寸可能で、最速10日間で仕上げてくれるという、簡単・リーズナブル・スピーディが特徴のブランド。10日間仕上げ対応のスーツは、10種類の生地からセレクトでき、¥28,000(税抜)~オーダー可能です。
ポケットやボタンの変更から、ウォッシャブル・アジャスターなどの便利機能まで、幅広いオプション(一部無料)も充実。
「2007年から佐藤可士和さんがブランドコンセプトや店舗設計など、トータルプロデュースを行なっている「SUIT SELECT」。店舗のディスプレイなどもスタイリッシュでおしゃれです。お手頃価格でオーダースーツを作ることができ、スタイリングも参考になるので、20代の方におすすめです。」
ORIHICA(オリヒカ)▲こちらから購入できます▲
紳士服大手の「AOKI」が手掛け、”Key to the new lifestyle”をコンセプトに、本格的なオーダースーツから、フォーマルシーンで活躍するエレガントなスーツ、トレンドカジュアルまで、ビジネス用途に限らない幅広い展開で人気のブランド。30代・40代からの支持も高いです。
基本的なパターン(型紙)をベースに、細部を調整して仕上げる「パターンオーダー」、好きな生地を選び、縫製工場が用意した型紙の中から自分の体型に合うものを選び、細部補正を加える「イージーオーダー」、採寸後にテーラーが手作業で型紙を製図し、仮縫い、仕立てを行う「フルオーダー」という3パターンのオーダーが可能で、希望に沿ったオーダースーツを作ることができます。
「英国人のクリエイティブディレクターを迎え、ブリティッシュテイストあふれるブランド。ヨーロピアンスタイルのスーツを作りたい方や、スーツにこだわりのある人にもおすすめです。」
洋服の青山 Screenshot: Quality Order SHITATE日本全国に店舗を構える「洋服の青山」のオーダースーツサービス「Quality Order SHITATE」は、1着29,000円(税抜)~オーダー可能。オーダースーツのほか、オーダーシャツ、オーダーフォーマルなども作ることができ、メンズのみならずレディーススーツも作ることができます。
「最近スーツ関連のお仕事が続いていて、個人的に同業他社のいろいろなお店を見て回ったのですが、ちょうど新生活が始まるタイミングだったこともあり、「洋服の青山」のオーダースーツコーナーはいつも混雑していました。全国に店舗展開をしているので、安心感のあるブランドです。」
UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE’S(ユニバーサルランゲージ メジャーズ) Screenshot: UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE’S青山商事が手がける大人のためのストアブランド「ユニバーサルランゲージ」のオーダースーツサービス「ユニバーサルランゲージメジャーズ」は、100万通りのバリエーションから、自分だけの1着を作ることが可能。メンズのみならずレディースもあり、経験豊富な熟練のスタッフが指定の場所までに来てくれる出張採寸・オーダーサービスがあるのもうれしい。
「オーダースーツを初めて作る人や、まだあまり作ったことがないという人におすすめなのが「ユニバーサルランゲージ」のオーダースーツサービス。価格も手頃で、指定場所に来てくれる出張サービスというのもあるので、忙しい人にも便利ですね。ビジネススーツはもちろん、少しカジュアルなものを作りたい時にもおすすめです。」
azabu tailor(麻布テーラー) Screenshot: azabu tailorオーダースーツ専門店「麻生テーラー」は、¥44,000~パーソナルオーダーが可能。3つのモデルをベースにパーソナルオーダーを行い、体型に合わせたサイズ補正や、ボタン位置、襟幅、袖幅などを修正し、世界に1着だけのスーツを作ることができます。ジャケットやパンツなどは国内の直営工場で仕立てられるので、クオリティにもこだわりたいという人におすすめのブランドです。
「老舗のオーダースーツ専門店で、スタイリストやファッション業界関係者にもファンがたくさんいます。全国に26店舗あり、信頼できるブランドのひとつです。」
UNIQLO(ユニクロ) Screenshot: UNIQLOユニクロが手掛けるカスタムオーダースーツは、ジャケットが¥16,900~オーダー可能。レギュラーフィット・スリムフィットの2種類から型を選んだら、ボディサイズと袖丈・着丈を選ぶだけという簡単3ステップ。より手軽にオーダースーツを楽しみたい人におすすめです。
「カジュアルウェアの「ユニクロ」が作るカスタムオーダースーツ。これまでユニクロが培ってきた「クオリティ」の部分では安心感もありますし、気軽にオーダースーツを楽しむことができるので、「スーツもUNIQLOでいい!」という時代になっていますね。」
4 低価格オーダースーツを作るためのチェックポイント
手頃な価格でオーダースーツを作る場合、チェックすべきポイントを笠井さんに解説していただきます。
お店の雰囲気やおしゃれ感をチェック「店内のディスプレイやホームページなどをチェックし、どんなスーツが作れるのか、どんな着こなしを提案してくれるかなどをチェックしましょう。お店であれば、トルソーのコーディネイトや、サンプル品の展示、生地の種類などが確認できるようなお店は、完成品のイメージがついて安心感がありますよね。心配な場合は、スタッフの方に話を聞いたり、相談することも大切です。お店やブランドのテイスト、雰囲気が見えるというのは、安心してオーダーできるところかどうかの判断基準になると思います。」
コスパのよさ・高見えするかどうか「安価で作れるオーダースーツの場合、コスパのよさや高見えするかどうかは重要なポイントだと思います。ディスプレイされているスーツを見て、判断することもできますよね。また、スーツの場合は、サイズ感がダボっとしてしまうと安っぽく見えてしまいます。自分の体にフィットし、ラインがきれいであればあるほど高見えするので、オーダーする際にそれらを気にしながら作るといいと思います。」
価格帯をチェック「最近では、ビジネススーツの場合には30,000~60,000円程度で、ジャケット&パンツの2ピースを作ることができるお店も増えています。なかにはシングルスーツを2着作ることで割引になるお店も。予算に合わせてお店を決めるというのもおすすめです。」
仕上がり日数をチェック「安価のオーダースーツの場合、時間がかかってしまうことも。仕上がりまでにどれくらいの日数がかかるかを確認するといいでしょう。以前は1カ月半程度かかっていたところもありましたが、最近は平均で3週間~1カ月程度で仕上げてくれます。」
生地の質をチェック「安っぽく見える生地や粗悪な生地を使うというお店はあまり見かけず、手頃な価格なのに、上質な生地や高見えする生地を使っているお店が増えている印象です。オーダーする際には、実際に生地を触り、質感やストレッチ具合などを確認するといいでしょう。」
5 実際にオーダースーツを作ってみた
今回は「FABRIC TOKYO(ファブリック トウキョウ)」にて、笠井さんが手頃な価格のオーダースーツ作りに挑戦。オーダースーツ作りの流れや抑えておきたいポイントを紹介します。
今回ご協力いただいたのは「FABRIC TOKYO 渋谷MODI」店。スタイリッシュで都会的な店内には、たくさんのサンプル品や生地見本が展示されていて、男女問わずオーダースーツを作ることが可能。
顧客情報の登録オーダースーツサービスの説明後、個人情報を登録。その際、洋服の好みや、普段着ているスーツ、ワークスタイルなども伝えていきます。今回笠井さんがオーダーするのは、ジャケットとパンツがセットになった、ベーシックなツーピーススーツ(¥39,800~)。
採寸個人情報の登録後には、フィッティングルームに移動し、首周り、肩幅、腕の長さ、手首周り、胸囲、ウエストなどスーツ作りのための採寸をしていきます。FABRIC TOKYOでは、プロのコーディネーターによる採寸を無料で行ってくれるそう。
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オーダーする際はおしゃれ着で行こう
「採寸の際には、アンダーウェアやTシャツなどの上から測ってくれるので、楽ちんな格好で行っても問題はありません。しかしスタッフの方は、お客さんの私服から好みのファッションやスタイルなどを見て、生地選びやシルエットなどのアドバイスをする部分もあると思うので、おしゃれ着で行くのがベストだと思います。ヘアスタイルも同様で、しっかりとセットして行くといいでしょう。」
試着採寸が終わると、自分の体型に近いサイズのパンツを試着し、太ももや丈の長さ、座った時のフィット感など、細かい部分を確認していきます。
スラックス同様、ジャケットも試着し、袖の長さや手首周り、着丈などを細かく確認していきます。
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体型の悩みを補正するサービスがある場合も
「僕はO脚なのですが、脚がキレイに見えるようにセンタープレスの位置を変えてくれるサービスがあったのは良かったです。お店によっては、体のクセを確認し、体型に合わせてジャケットの形を補正してくれるサービスなどもあるので、体型の悩みがある場合は、スタッフの方に相談をしてみましょう。」
生地・デザインを選ぶ採寸後は、生地やデザインを決めていきます。予算内で選べる生地の中から、気に入った物をチョイス。その後、タブレットを使いながら襟(ラペル)のデザインや、ポケットの追加、スラックスのタックの有無などの細かいデザインを決めれば、オーダー完了です。
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細部にこだわることもできる
「FABRIC TOKYOさんでは、表地だけでなく、裏地の色や刺繍の有無、ステッチの色を変えることもできました。プラス料金を払うことでデザインや生地の選択肢も増えるので、どうしてもこだわりたいところがある場合には、金額を確認してみましょう。」
最近は、低価格ながら品質がよく、おしゃれなスーツを作れるお店が増え、以前は敷居が高かったオーダースーツを気軽に楽しめるようになりました。
同じような価格でスーツを買うのであれば、自分のサイズにぴったり合う、着心地のよいオーダースーツを購入しない手はありません。まだオーダースーツを作ったことがないという人も、ぜひこの機会に始めてみてはいかがですか?
FABRIC TOKYOの詳細を見る
(文・かいサポ)
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