Photographed by tsubottlee 東京のなかでも、各主要な駅にもアクセスが良く、治安も良いことから住み良い街のランキングでも上位にあがることの多い文京区。
最寄り駅のメインストリートから脇道に入り、閑静な住宅街を歩くこと10分ほど。特徴的な外観のマンションの一室に今回ご紹介するカイチさんたちのお住まいはありました。
お名前(職業):カイチさん(会社員:医療系)、Tさん(一級建築士)場所:東京都文京区
面積:45㎡、1LDK
家賃:18万円
築年数:築1年、賃貸マンション
間取り図:
編集部作成
同棲をきっかけに、現在のお部屋へ。ただ、それぞれの性格や暮らしていたお部屋の雰囲気は全く違うものでした。
アメリカンヴィンテージやインダストリアルな雰囲気のお部屋で好きなものをどんどん取り入れるカイチさんに対し、モダンなお部屋で物数も最小限に抑えるTさん。
おふたりの共通点の1つだった「インテリア好き」がキーになって開かれた、お互いにとって新しいお部屋についてお話を伺いました。
1. この部屋に決めた理由
2. お気に入りの場所
3. お気に入りのアイテム
4. 残念なところ
5. 暮らしのアイデア
6. これからの暮らし
この場所に決めた理由
都心でありながら、落ち着いた佇まいの物件ふたりのお住まいは、外観から美術館のように洗練された佇まいが印象的。約3ヶ月間、納得のいく物件探しをしたなかでご縁のあった理想のお部屋とのこと。
「僕が職住近接にメリットを感じることと、Tの通勤経路を考慮し、はじめにエリアを決めていました。内件も数件行ったのですが、Tが建築士で部屋探しにはこだわりがあり、なかなか良い物件に出会えませんでした。
そんなとき、以前住んでいた家からの通勤圏内にこのマンションが作られていたんです。できあがっていく過程を見ていると、建物の佇まいが気になって、Tにも共有したところ『すぐ見に行こう!』となりました。
開口部がたくさんあり、日当たりの良さと二面のバルコニーで室内が開放的に見えること、窓からお向かいさんの広葉樹が覗く光景にも魅了されました。都心ですが住宅地なので静かな雰囲気で過ごせそうな点もよかったですね」
二面採光で窓の面積も大きく、撮影中の室内は常に外からの光が注ぐ心地よい空間になっていました。
お気に入りの場所
リラックスできるソファスペース住まいで、寛ぐためのソファスペースはふたりでも、来客時でも余裕を持って過ごせる空間になっています。
Tさんがテレビのない暮らしをしていたことに影響され、プロジェクターでの生活にすることでレイアウトもより自由になっていました。
「基本飲食はダイニングスペースで取るため、ソファスペースはただリラックスするためのスペースになっています。生活感を出したくないので、あえてテレビは置いていないのですが、ここで過ごす時はプロジェクターを投影して、動画や映画を観て過ごすことが多いですね」
ブランケットはSlowdown Studioのもの。
ソファにかけるブランケットもお気に入りということで、季節問わずゆったり過ごせそうなのがいいなぁ。
物件のこだわりを感じるバルコニーお部屋にお邪魔する前から気になっていたのが、窓と同じく二面に渡るバルコニー。
天井高の低さを感じさせないよう居室には照明が設けられてなかったのに対して、夜はこのバルコニーのフットライトが室内を照らしてくれるというまさに“美術館のような照明設計”となっています。
「バルコニーは、この物件へのこだわりを随所に感じています。
室内の床とデッキの高さを合わせていることや、フローリングと似たデッキ材を使用していることで空間に広がりを出しています。夜にはフットライトがレースのカーテン越しに室内を柔らかく照らしてくれる点もお気に入りです」
意匠へのこだわりは他にもありました。
室内にあるコンセントの多くは全て床下に設置。室内を間接照明で照らす場合にもコード類が表に出ないようになっていました。
生活にメリハリを付けるコンパクトな寝室リビングスペースに隣接している寝室は、スライドドアを開けることで現れる設計になっています。コンパクトな空間が逆に、空間の使い方を明確にしてくれていいのだそう。
「寝室は4畳程度しかないので、本当に眠るためだけの部屋といった感じでメリハリがつけられます」
「この部屋にも備え付けの照明はないこともあり、ベッドボードにLEDテープを活用した間接照明を付けて照度を上げすぎない空間をつくりました」
ベッド奥のオープンな収納スペースにはリネンの布で目隠しをして、衣類収納の一つとして利用しているカイチさん。
無印良品の収納アイテムも使いながら、こちらのスペースもリビングと同様にしっかり整理整頓されていました。
お気に入りのアイテム
住まいの顔になっているソファソファスペースのなかで、一際存在感を出していたのが、ファブリックソファ「MARENCO」。
おふたりが「住まいの顔になっている」と話すお気に入りのインテリアです。
「座り心地はもちろんなんですが、なんといってもこのフォルムと佇まいが愛らしいです。
もともとTの持ち物で、一級建築士に合格した際の自分へのご褒美に購入したということで、ストーリーが感じられる点も気に入っています」
お互いへのプレゼントとして購入した照明お部屋にシーリングライトなど、天井付けのものがないことから、照明は気に入ったものを選んで置いていると話すカイチさん。
「『照明にはお金を惜しまないでおこう』とふたりで決めています。そのため大きいイベントに合わせて購入することが多いのです。
たとえば、ダイニング横で使っている「FLOS Glo-Ball T1」は、昨年のクリスマスにお互いへのプレゼントという体で、ふたりで購入しました。室内でも少し暗さが気になっていた部分にスポットで灯りを加えられたのでよかったですね」
インテリアへの関心がふたりを結びつけたポイントでもあったことから、取り入れるアイテムについても話がスムーズに進んでいそうな様子が想像できます。
いまも“照明貯金”をしながら、次に迎え入れる照明を考えられているのだそう。
印象と気分を変える香りアイテムカイチさんがひとり暮らしの時から大切にしていたというのが、住まいの香り。今回のお部屋を象徴するものを探しながら、いろいろと試されているそう。
「匂いには結構こだわりをもっている方だと思います。お香を焚いたり、加湿器でアロマの香りを楽しんだり、フレグランスキャンドルを灯したり……。はたまたルームスプレーをひと吹きして、部屋全体の印象を変えたりと、気分によって変えています。
特におすすめなのは、『ASTIER de VILLATTE』と『東京香堂』のお香です」
お部屋には至るところに香りを変えられるアイテムを集めたスポットが設けられており、さまざまな香りを気分に合わせて使い分けられていました。
「これまでの住まいでは、そのお部屋を象徴するような香りを見つけて使い続けてきたのですが、今回の住まいではまだそこが定まり切れていないんです。
今後もいろいろと試しながら、このお部屋の香りといえるものを決めて行けたらと思っています」
残念なところ
浴室の扉の隙間洗練された空間ですが、生活するうえでどうしても気になってしまうと話すのが、浴室扉の隙間。実際に見せてもらうとたしかに注意が必要そうです。
「浴室の扉がガラス製で、デザイン性はすごくいいのですが、隙間が空いていて、気をつけていないと脱衣所を濡らしてしまいます。
いまではふたりとも上手く水漏れを避ける使い方もできるようになったのですが、それでも気を抜くと濡らしてしまうため、この隙間が無かったらと思ってしまいますね」
暮らしのアイデア
衝動買いはしない。物が増えすぎない意識をするお部屋全体を見渡しても、スッキリとした印象を受けるおふたりのお部屋。インテリアにはこだわりつつ、物が増えすぎないよう常に意識をされているそう。
「僕が文系脳で浪費家なのに対して、Tは理系脳で倹約家のため、何か住まいで取り入れる時は僕から提案して、Tの了承が得られれば住まいに取り入れる流れになっています。
吟味してかつ、議論する分、何かを取り入れるには時間がかかるほうだと思いますが、衝動買いではなく、本当に必要かを問う時間が設けられるのは大切だと感じています。
住まいに取り入れるとなった場合でも、新しいものを購入した場合はなにかを捨てるといったルールを決めて、物が増えないように意識していますね」
もともと、洋服の量がすごく多かったというカイチさん。今回の住まいに合わせてかなりの数手放されたそうで、人の影響の凄さを改めて感じられていました。
レイアウトは物の住所と視線を意識するインテリアのレイアウトを考える際、引っ越した当初からTさんが図面で物の場所を整理して考えていたそうで、計画通りのお部屋が完成しています。
大切にされているのは日々の暮らしの視線と空間を維持することにありました。
「部屋全体の物の高さを低い位置で合わせることで、視線が通り抜ける部屋を意識しています。
男のふたり暮らしですが、常に清潔感を大事にしたいので、物の住所をきちんと決めています」
お部屋にベストなレイアウトが分かっていると、毎日の生活で散らかってしまった際にもすぐに心地よい空間へ戻すことができますね。
暮らしはもちろん、心を整えるという点でも大切な事だと感じました。
これからの暮らし
住まいのバランスを考えつつ、キッチンを充実させたいスッキリとしたリビングを中心にお部屋を考えられているカイチさんたちのお部屋。
今後は趣味を充実させるための時間とスッキリとしたお部屋を維持することのバランスを大切にしていきたいとカイチさんは話します。
「僕の趣味がお菓子作りで、休みの日にいろんなお菓子が作れるようキッチンの設備やアイテムを充実させたいという思いがあります。
ただ玄関とリビングの間にあるキッチンが物で溢れてしまうと、開放感のあるリビングとのバランスが取れなくなってしまうため、そのバランスは考えていきたいと思っています。
東京で生活するうえでは、ずっとここに住み続けるんじゃないかなと思っているので、照明は好きなものを取り入れつつ、部屋全体が明るく、常に外を見通せる空間で過ごしていきたいと考えています」
さらに、おふたりの夢が詰まった、カイチさんの地元・沖縄での住まいづくりに向けて動き出している、とも。
理想の住まいが着実に進んでいっている、そんな手応えとワクワク感を強く感じたお部屋でした。