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悪魔的なおやつができてしまった…。チョコとマシュマロでつくる「スモア」にアレを塗るんだよ…
山梨県は、県内でも最北端に位置する北杜市。3分の1が八ヶ岳南麓の冷涼な山岳高原地からなっており、夏でも涼しい土地であることや南アルプスの湧水によるウイスキー白州が有名です。最寄駅から車で山間地を走ること少々、静かな森の中に、今回ご紹介する宇佐美さん一家の住まいはありました。
お名前(職業):宇佐美 達也さん、見和さん(農家)、お子さん5人場所:山梨県北杜市
広さ:150㎡ 3LDK
住宅の形態:築50年 戸建て
農業をするために、日本中のさまざまな土地を探した末にたどり着いたのは、それまで縁もゆかりもなかった土地。
北杜市での暮らしのご縁で出会った戸建てをリノベーションした住まいには、ご夫妻のイメージと、設計士さん・大工さんのアイデアが込められていました。
■目次1. この住まいに決めた理由
2. お気に入りの場所
3. お気に入りのアイテム
4. 残念なところ
5. 暮らしのアイデア
6. これからの暮らし
この住まいに決めた理由
ご縁で繋がった念願の住まい農業を志したご夫妻が実際に土地を見て、ここならば自分たちらしく暮らすことができるかもしれないと思えた北杜市。当初は県営住宅に住みながら住まいへの思いを膨らませていたそう。
「自分の家があったらいいなと思っていたので、いい物件がないか漠然と探していました」(達也さん)
「そんな中、畑への道中にあって気になっていた今の住まいが空くことになり、もしよければ住んでみないかと声をかけられました。長く住み続けたいと相談をして購入させてもらうことになりました」(達也さん)
前職が解体業だったという達也さんは、畑の作業をしながら住まいの構造部分以外を解体されたのだそう。
「住まいの設計は、県営住宅に設計士さんがいらっしゃったこともあり、お願いすることにしました」(見和さん)
「住まいをつくる上で、相談できる環境があることがとても大きかったです。自分たちだけでは考えられることに限界がある中で、引き出しを多く持っている大工さんと話しながら進められたのは、納得のいく住まいづくりの重要なポイントだったと思います」(達也さん)
設計図をもとにイメージやアイデアをかたちにしていった工程が、今の住まいの居心地のよさにも繋がっているようでした。
お気に入りの場所
住まいの中心にある植物に囲まれたキッチンキッチンスペースは元の間取りでは建物の北側に配置されていたそう。
「キッチンをお部屋の中心に設けるというお話は、設計士さんからいただきました。自分たちでは思いつかなかったアイデアに感激しました」(達也さん)
「農業という食に関わる仕事をしていることもあり、暮らしの中心にキッチンがあることは素晴らしいことだと思っています。子どもがまだ小さいので、いつでも様子を確認できることもよかったです」(見和さん)
冷蔵庫は玄関側から見えないように設計。
キッチンのワークスペースは、見和さんが描いた絵をベースにつくり進められたそう。
「使いやすさなどを意識して、素材などは指定せずに大工さんへお願いしたのですが、でき上がったものが想像以上で感動しました」(見和さん)
細かな設計や素材などは基本的にお任せしながら、唯一、見和さんが使いたいとこだわったのが電源スイッチ。
「昔から黒とスチールのコンビネーションがかっこいいアメリカンスイッチに憧れていました」(見和さん)
システムキッチンも当初はさまざまな会社で理想のかたちを探していましたが、気に入ったものに出会えず大工さんと一緒につくることに。
「大工さんがすごく気さくで楽しい方たちで、ゆるい雰囲気で進められたのがよかったです。既製品でなく作った方がいいのでは?などと提案してもらい、その都度話し合いながら進めていきました」(達也さん)
好みのものが見つからなかったという取っ手は、大工さんが鉄筋を曲げて作製。
「元の住まいで使われていた木枠やガラスなども取り入れてくれたことで、味のある住まいにできたと思います」(見和さん)
使い勝手のいいパントリー設計の段階ではウォークインクローゼットだったスペースを、施工を進める中で、大工さんの提案を受け2つに分けて取り入れられたのがパントリー。つくってよかったと思えるスペースの1つだそう。
「大工さんから、生活する上でここにパントリーがあったほうがよいと提案をいただいてお願いしました」(見和さん)
食材などのストックを保存する場所としてはもちろん。見和さんの書斎としても使われています。
「素材選びは大工さんにお任せして、デザインは私が考えました。使い勝手のいい空間になったと思います」(見和さん)
古材を使った階段まわり階段は、当初の設計では周り階段だったところを、達也さんの提案で直階段に変更。木材も特徴的なものが使われていました。
「古材を使った直階段が理想のイメージにあったので、大工さんに相談して採用してもらいました。
踏み板が古材なのはもちろん、手すりになっている部分は、大工さんが家の下の川で拾ってきてくれた流木を削って磨いてつくったものなんです」(達也さん)
「夫はこの階段スペースが気に入っていて、よく本を読んでいる姿を目にしますね」(見和さん)
実際に触れてみると、木目やちょっとした浮きといった個性を感じることができ、愛着の湧く仕上がりになっていました。
階段下のスペースは、お子さんたちのお気に入り。
勉強したり、絵を描いたり、YouTubeを見たり。その時々でそれぞれの時間を過ごしているのだそう。
お気に入りのアイテム
家族から譲り受けたボビーワゴンリビングスペースで活躍するボビーワゴンは、見和さんがご家族から受け継いだ思い入れのあるインテリア。
「私が子どもの頃から、祖父母の家で使われていたものでした。歳を取る中で使われなくなっていたのを見て、譲ってもらいました」(見和さん)
「中には文房具など事務的なものとともに、子どものお絵描きセットなども入っています。部屋中、好きな場所に移動できるのが使いやすくていいですね」(見和さん)
ビーライン B-LINE ボビーワゴン 3段2トレイ Boby Wagon 収納ラック モダン ミッドセンチュリー キャスター付き Joe Colombo(ジョエ コロンボ) 正規代理店 SMAU賞 パーマネントコレクション サイドテーブル キッチン収納 袖机 55,000 楽天市場で見てみる!function(t,e){if(!t.getElementById(e)){var n=t.createElement("script");n.id=e,n.src="https://araklet.mediagene.co.jp/resource/araklet.js",t.body.appendChild(n)}}(document,"loadAraklet") ついつい集めてしまう椅子たち
とにかく椅子が好きだと話す見和さんの言葉通り、お部屋の中には至る所に椅子が置かれていました。
「祖父母や実家から譲り受けたものから古道具屋さんで見つけたものなど、いろいろです」(見和さん)
「仕切りのない自由な住まいだからこそ、椅子を使って自分の空間をつくっています。子どもも自分も好きな場所に椅子を運んで、くつろいでいることが多いですね」(達也さん)
キッチン横のチェアは、お子さんが料理を手伝うときの踏み台として、そしてまたあるときは料理をする見和さんと達也さんがその日あったことを話す場所として使われていました。
椅子一つでいろんな家族の時間がつくり出せるんですね。
ウイスキー樽の蓋階段下に飾られていたウイスキー樽の蓋は、今の住まいに引っ越す際に見和さんのご家族が贈ってくれたもの。
「白州に住むのだから……と渡されたものです。ウイスキーを樽買いしないと手に入らないものなので珍しく、白を中心としたデザインも好きです」(見和さん)
残念なところ
暮らして気づいたコンセントの数住まいのつくり自体は、文句の付け所のない納得いくものだったと話す宇佐美さん夫妻ですが、実際に生活する中で、唯一、気になるのがコンセントの数。
「階段下に置いているオーディオに加えてサーキュレーターを回したり、子どもが使ったりするとコンセントが足りず、よく相談をして決めたのですが、あと1つあればよかったなと思います」(見和さん)
暮らしのアイデア
片付けの習慣づけで毎日住まいをリセットするお部屋にはたくさんの植物があるものの、それ以外の小物や表に出た紙ものはなく、全体的にスッキリとした印象を受けます。
ここには達也さんがいつも感心するという見和さんの収納の工夫がありました。
「自分がメインで使う場所は、とにかくものの場所を分けて収納を考えています。基本ですが、使ったら必ず元あった場所に戻す。最初にルールを決めていればそれだけで十分、綺麗な空間を保つことができます」(見和さん)
キッチン収納も、引き出し毎に、綺麗にものが分けられていました。
「一方で、片付けが苦手な子どもには、ルールを決め過ぎないようにしています」(見和さん)
「おもちゃなら何でも入れていい箱などをつくって、ものを散らかしたままにせず、簡単にでも片付けられるようにしていますね」(見和さん)
毎日、大人数の家族の食卓を支えているにも関わらず、まるで使い始めのように綺麗だったシンクは日々の掃除の賜物。
「シンクはなるべく、1日の終わりに綺麗にして、翌朝そのまま使えるようにしてから寝るようにしています。私が疲れて寝てしまったときは夫が掃除してくれているので、とても助かっていますね」(見和さん)
これからの暮らし
庭を整えていきたい理想の住まいでの生活が落ち着いてくる中で、次に取り組みたいというのが庭づくり。
達也さんが外で学んでいることも活かして、これから整えていかれたいのだそう。
「この住まいを引き継いだときから、お庭もいつか自分たち好みに整えていきたいと思っていました。
最近では農家以外に造園の仕事をする中で、庭造りについても勉強をさせてもらっています。
1年単位でサイクルが回る野菜に限らず、中長期で手のかけられるお庭を通じて、植物全般に関わっていけたら面白いなと考えています」(達也さん)
「室内の植物や椅子は気に入ったものがあれば都度迎え入れつつ、子どもも大きくなってきたので家族みんなが暮らしやすい住まいづくりについても、改めて考えていきたいですね」(見和さん)
こだわりとアイデアの溢れる住まいで、暮らしを楽しまれている宇佐美さん夫妻。
家族の成長に合わせて、住まいの使い方や室内外の緑が今後、どのように広がっていくのか。またぜひ伺ってみたいお部屋でした。
観音開きのシステムキッチンも素敵!