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モデル・柴田紗希さんが10年後も手放さないモノ

2022/04/29 11:30 投稿

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10年という月日が経つと、いま住んでいる部屋も、立場や環境も大きく変わってきます。ただ、たとえ環境が変わっても「これだけはずっと持っていたい」というモノが、ひとつはある……。
そこで、さまざまなジャンルで活躍する方々に「10年後も手放さない」思い入れのあるモノを、31×34.5cmという限りのある『ROOMIE BOX』の中に詰め込んでもらいました。

なぜ、「10年後も持っている」と考えるのか―――。大切に持ち続けるモノについて語る姿から、その人の暮らしが徐々に見えてきます。

柴田紗希さん

“しばさき”の愛称で幅広い年齢層の女性から親しまれる愛知県出身のモデル。ファッションモデルとして人気女性ファッション誌「mer」で12ヶ月連続表紙を飾る。多数の商品プロデュースも行い雑誌以外にもTVCMなども出演し幅広く活動中。

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10年後も手放さないモノ

古着屋で出会ったファーコート

このアルパカのファーコートに出会ったのは、2年ほど前。

行きつけの好きな古着屋さんに置いてあって、一目みて「かわいいな」「着てみたいな」と思ったんです。

いつもなら気に入ったらすぐに買うんですが、そのときは違って。

仲良しの店員さんから“本革”だと教えてもらったからなのか、このモコモコの見た目のせいなのか、「なんか生きてる動物みたいじゃん」って思って。だから買わずにいたとかじゃなくて……う~ん、難しい。でも、なんとな~く買えずにいたんですよね。

そしたら翌年、また同じ時期にこのコートが売場にあって。

手にとってみたら、おばあちゃんになったときにパリコレに着ていってもいいな~! とか妄想が広がってワクワクしたんです。このコートを着ることで、これからわたしはどのように楽しく、どんなやさしいことができるかな、とか考えたりもして。

そのときに「このアウターは自分が永く、ずっと大切にする」と決めて買いました。将来、もし自分に子どもが生まれたら大切に渡したいですね。

それまで預かるような気持ちで、大切に、大切にしたい。

ファッションが、お洋服が大好きだと話す柴田さん

いつも、お買い物は「かわいい」とか「ほしい」とか、とにかく感覚的に楽しんでいるんですが、これは考えて、考えて買った一枚なので、とびきり思い入れが強いですね。

ただ、それからしばらくは着なくって。

買ったあとも、まだちょっと何か考えていたのかな。なんとなく着れずにいたんです。

畑作業中(写真提供:柴田さん)


収穫した野菜(写真提供:柴田さん)

でも、去年から今年にかけての1年が、自分にとってはとても特別な1年で。毎週畑を耕したり、畑を通じて趣味の合う新しい友達がたくさんできたり、いろんな新しい経験をさせてもらうことで、心持ちがどんどん変わっていく自分がいて。

第二の誕生を経験したみたいな、そんな感覚を持てた年でした。

そしたら今年は、肌寒くなってきたときに、自然と「よし、着よ~!」と思えたんですよね。

多分、この1年の間に「わたしは、このコートを大切にできる!」って自信が持てたんだと思います。

気に入っているところは、着るだけでワクワクした気持ちになれて、自分にもっと自信も持てるようになるところ。

ギャルに憧れているそうで、「こんな感じかな?」と柴田さん。

あと、着たらギャルみたいになれるところも!

小1から持っているノート

長年使用しているのに、驚くほどキレイな状態のノート

これは、小1から書いています。

ノートは、お父さんが韓国出張のお土産に買ってきてくれたものです。

柴田さんのノートより
(小2)「わたしは3学っきに、がっきゅういいんになりました。やだったけどやりました。かなしかったー。(泣き顔のイラスト付き)
(小5)「五年生がんばるぞ~お!」
(中3)「はじめて恋をしました。こんなに人を好きになったのははじめてだ!」

読み上げて、思わず悲鳴をあげる柴田さん

恥ずかしくて絶叫しそうになる(笑)! でも、これを読んで、当時好きだった男の子に会いたくなっちゃいました。

それ以外にも、学校の先生のことや友だちのことについて書いていたり、友だちのプリクラを貼っていたり。読み返すと、「このとき楽しそうだな」「幸せそうだな」「あぁ、このとき頑張ってたよな」と振り返れるのが好きなんです。

一番直近で書いたのは……2022年2月16日ですね。えっと、「みんなを幸せにする人になります!」って書いてる! その前は2018年で「早寝早起きをします」「わたしは今、仕事に命をかけたいのです!」と。

直近の内容は「この人に感謝してるよ」とか「こういうふうになります!」とかが多いかな。

引き出しの奥にしまっているので、正直普段はノートの存在ごと忘れているんですが、掃除とかしていて数年に一度見つけると、「あ、書こう!」と思い立ったように書く感じですね。

今回も取材を受けるので、部屋で別のモノを探していたら出てきて「あ、そうだ。これこれ!」って(笑)。

なくなったら2冊目、3冊目とかってなるんじゃなくて、これ一冊だけをずっと持っていたい。なので、使い切らないようにしたいです。

再会できた“自分”

モノじゃないけど、10年後も自分を大切にしていたいなって。自分って、一番って言っていいくらい大事にすることが難しいものだと思うから。

わたしね、多分、5年前に上京してから、ずっと地に足がついていなかったんです。

「みんなに“ハッピー”を伝えたい」「みんなを元気にしたいな~」という気持ちがあって、それは今も変わらないからめちゃくちゃアツくやっているんですけど、なんかその気持ちだけでやってきて。

とにかく仕事を優先した生活を送ってきたんですね。

そしたらあるとき、心にぽかんと穴が開いたみたいに動けなくなってしまって。一瞬のことだったんですけど。

それまで自分はハッピーだ! と信じて疑わずにいたけれど、自粛期間に身近な人にしか会わない状況になって、自分の根本にあるものとか自分そのものに向き合わざるをえない時間が増えて。

そうしたら、いつもハッピー!を発信している自分の奥底に、からっぽになってしまっている自分がいることに気づいたというか。

それまではファンのみなさんや友だち、身近な人を大切にしたい、ハッピーにしたい! という気持ちはあったけど、自分を大切にするってことは知らずにいたのかな。

そこで、ようやく自分自身がハッピーじゃないと意味ないよなぁと思って。

自分がやりたいことをして、楽しく暮らして、心からハッピー! だと思える日々を送ることで、自然と周囲にも「ハッピー!」や「楽しい!」が伝わっていくと思うし。

だから、肩の力が抜けたこれからは、みんなにもっと、もっとハッピー!を伝えていけるかなぁって……オホホ~!

「オホホ~!」と笑う柴田さん

わたしだけじゃなくて、誰でもみ~んなに、自分だけが持っている素敵なキラキラが絶対あるから。

そのことを、10年後も、ちゃんと自分が自分で分かっていたい。

5年ぶりに根拠のない自信にあふれた、自由で、パァ~ッと開放的な自分に再会できて、今やっと東京のことも好きになれたように感じています。

柴田さんの10年後

自分を信じて愛してあげられる、“生きる整え”をしていたいです。

畑をはじめたことをきっかけに、これまで自分が縛られていたモノもマインドも、仕事も、ある意味ぜ~んぶ手放せたというか。

なんかちょっとでも違うなと思ったことは思い切ってやめてみたり、溜め込んでいた不要なモノも断捨離してみたり……。思い切ってスッキリさせたら必要なモノだけ残って、いろんなことがシンプルに分かりやすくなったから。

だから10年後も、畑でいろんな野菜をつくりながら、自分の感覚とか直観をちゃんと信じられる自分を整えていたいなと思います。

あとは、やっぱりお洋服が大好きだから、これからもどんどん新しいファッションに挑戦していきたいな。いまはギャルになりたいし!

そのときそのときの好きな服を着ていたいし、それで新しい自分にも出会っていきたい。

そうやって、10年後も自由に羽ばたいていたい! 地に足はつけながら。

Photographed by Kayoko Yamamoto

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