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里山の風景と一体になる部屋。家の中と外がつながり、季節に合わせて変化する住まいとは?(鹿児島市)|みんなの部屋

2022/03/05 14:00 投稿

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鹿児島県は、新幹線で福岡や関西へのアクセスも便利な鹿児島市。中心街から車で30分ほどの小盆地に現れたのは、雄大な里山の自然に囲まれた一軒家。こちらが今回ご紹介する加賀江さん一家の住まいです。

お名前(職業):加賀江広宣さん(株式会社シンケン 社内広報・企画)、加賀江ひとみさん(主婦)、お子さん3人
場所:鹿児島県鹿児島市
広さ:1階14.5坪 2階14坪 LDK19.6帖
住宅の形態:築8年 戸建て
間取り図:編集部作成

建築事例に惹かれ、理念に共感した現在の会社へ入社するとともに、福岡から鹿児島へと移住した加賀江さん。鹿児島での生活に慣れてきた頃に、じっくりと時間をかけて土地選びから設計までを行い、この一軒家を建設しました。

加賀江さん一家のおうちで特に魅力的なのが、一目惚れしたという里山の景観を最大限に活かした設計。「ふだんを、いちばんの幸福に」という会社の理念と同様に、家族全員がいつもの暮らしを幸福に感じられる住まいづくりについて、お話を伺ってきました。

■目次
1. お気に入りの場所
四季折々の自然に心満たされる窓辺
挨拶代わりの玄関
家族に囲まれたあたたかなキッチン
家族それぞれが疲れを癒す寝室

2. この土地に決めた理由

3. 残念なところ

4. お気に入りのアイテム
いつも傍にある、自作のデイベッド
徐々に増えていった椅子たち
デンマークのペンダントライト「SEMI PENDANT」

5. 暮らしのアイデア
四季に合わせて住まいを変える
収納は家族の暮らしと合わせて足していく

5. これからの暮らし

お気に入りの場所

四季折々の自然に心満たされる窓辺

玄関からリビングに入り、思わず目を奪われたのが、大きな窓いっぱいに広がるお庭の景色。土地を選ぶ決め手にもなった景観を最大限活かそうとつくられた窓辺は、住まいを語る上でも欠かせない空間でした。

「家づくりのポイントにもなった自然溢れる景観を、日々楽しみながら過ごせたらと考えています。そのため景色を最も近くで楽しめる窓辺には、ゆったりとその眺めを感じることのできる工夫を施しました。

窓の位置を、住まいの北側は田んぼや山々の景色が眺められるように、南側は子どもたちが遊ぶ雑木林が目に入る場所に設計しています。また北側の窓は、一部腰壁をつくることで室内外の両方で居場所となるような空間ができるようにしました」

自然を近くに感じる窓辺から、今度は少し離れて見ると、外の景色はまるで一枚の絵のよう。窓上の天井と腰壁を白にしたことで、自然がより映えて見えるようになっていました。

暖かい季節は、室外の窓辺に置かれたチェアで里山の景色やお庭で遊ぶお子さんの様子を眺めるそう。絵画のような四季折々の景色が側にある生活は、自然と心も穏やかにしてくれそうですね。

挨拶代わりの玄関

室内だけでなく、絵になる景色はその入り口から。日中は自然の美しさが、暗くなると暖かな外灯が、家族をはじめ、住まいを訪れる人までをも優しく迎えてくれます。

「家を訪れる人が最初に見る空間のため、四季の色合いを感じられるような植物を植えたり、椅子なども使って梁と壁のバランスをとったりと、見え方はすごく意識しました」

家族に囲まれたあたたかなキッチン

住まいの南側に面したキッチンは、日当たりのいい明るい空間。お庭の様子からお部屋の隅々までを見渡すことができ、家族に囲まれて家事ができるようになっていました。

「階段もスケルトンにすることで、1階でも2階でも子どもの姿や気配が感じられるようにしました。作業場所というよりはコミュニケーションが取れ、気持ちよく過ごせる空間の1つとして設計しています」

奥さんにとって使いやすいキッチンを目指して、高さは一般的なシステムキッチンの規格から3cmほど低くした82cmのものを採用。

「ワークトップも季節や時間帯によって冷たく、作業しづらいものにならないように、ステンレスではなく、オーク材を使って作成しています」

設計段階から、実際に生活をする中で変わっていたのが収納スペース。

「キッチンはコンパクトに設計したこともあり、生活をする中で増えたコーヒーグッズや器類は、余白のあったスペースに収納棚を増設して収納しています」

より便利な暮らしへアップデートするとともに、大切な風景もまた1枚ずつ加わっていきそうですね。

家族それぞれが疲れを癒す寝室

2階は1階のオープンな空間とは対照的に、休息を取るために少しクローズな設計になっていました。

「1階からの吹き抜けを囲むように、子ども3人の部屋と夫婦の寝室、浴室を配置しています」

「夫婦の寝室以外はまだ区切っておらず、空間を広く取っています。設計当初は1人あたり2m×3mのスペースで、将来的には壁で仕切れるようにできたらと考えていました。家族それぞれが日々の疲れを癒せる、落ち着いた空間になればと考えています」

シンプルに設計された空間にも、少しずつお子さんの個性があらわれはじめていました。

1階と同様に景観のいい窓は各方面に設置。家族全員が自然の景色と音に包まれて、1日のはじまりと終わりを迎えられる場所です。

この土地に決めた理由

眺望のよさと雰囲気

鹿児島での暮らしにも慣れてきた頃、自邸を持とうとはじめた土地探し。老後までの暮らしのイメージと、理想の住まいに向けてかかる費用を整理し、探されていったそう。

「ネットを使って数件リストアップしてからは、ストリートビューで見たり、実際にその土地を訪れたりして絞り込んでいきました」

「現在の土地は、最初、その安さに驚きました。実際に足を運んでみると雑木林でクヌギの木がうっそうと茂っていたのですが、周辺の景観や雰囲気がとてもよかったんです。夫婦で直感的に気に入って即決しました」

住まいは加賀江さん自身がプランニング、デザインして建てられたもの。自然豊かな景観を大切に、日々自然を近くに感じられる設計が魅力的でした。

残念なところ

暮らしの中で気づいたオール電化の必要性

実用面と費用面を考慮して、設計時に導入したオール電化。ところが実際に暮らす上では、そのメリットを感じづらくなってきたのだそう。

「設計時はコストを算出してメリットのあるオール電化にしたのですが、近所に住む近しい家族構成でガスを使われている方に確認した際、その差はほとんどなかったんです」

「電気の場合、時間帯によっても金額が変わるため、使用する時間を考えてしまうことも……。あとは実家に帰った際にガスをつける時の所作や手仕事感が心地よかったりして、ガスの方がよかったなと思うことは多いですね」

お気に入りのアイテム

いつも傍にある、自作のデイベッド

住まい建設のタイミングで加賀江さんがつくられたデイベッドは、季節毎にレイアウトを変えながら、いつも家族の傍にある大切なインテリア。

「木材は自分で切り、クッションはサイズに合わせてオーダーをしました。冬場は暖炉の近くに、夏場は北側の窓辺にと、季節毎に住まいで居心地のいい空間に移動して使っています」

徐々に増えていった椅子たち

住みはじめの頃は魅力が分からなかったそうですが、生活を通じて徐々にその魅力に惹かれていったという椅子。

これまで住まいに迎え入れた椅子は、全体で30脚ほど。家中どこでも、椅子とともにくつろげる空間ができ上がっていました。

「ニーチェアや長大作の『低座椅子』といった建築家の手がけた椅子から、妻がリサイクルショップで一目惚れした数千円台の椅子まで、多種多様にありますね」

「リサイクルショップで購入したものは、最初こそ住まいに合わないかと不安に思っていましたが、使っていくにつれ住まいに馴染み、今ではなくてはならないものに変わっていきました」

デンマークのペンダントライト「SEMI PENDANT」

シルエットも美しいデンマークのペンダントライト「SEMI PENDANT」は、住まいが建つ前から購入し、出番を待ちわびていた照明。

「家を建てるにあたりインテリアを見はじめて吟味した結果、行き着いたのがこの照明でした。北欧やヨーロッパでつくられた照明はデザインも美しく、家の中でもいくつか使用しています」

暮らしのアイデア

四季に合わせて住まいを変える

南北に大きな窓が設置され、その両方で異なる景色が楽しめる加賀江さんのお住まい。四季折々の景色を最大限楽しめるように、住まいの間取りにも変化がつけられていました。

「夏と冬でリビングとダイニングを入れ替えています。夏場は北側をリビングにし、縁側のような下がり屋根のある濡れ縁は、籐の椅子やハンモックを出しっぱなしにすることで使いやすくしています」

「逆に冬は南側のウッドデッキまでをダイニングの一部として、まさに自然と繋がった住まいになります。風の通り抜けもよく、とても心地よいですよ」

自然と一体になるような南北の景観を損なわず、住まいも広く、抜け感のある空間にするために、椅子やテーブルはできるだけ背が低いものを選んでいるといいます。

デザインのいいインテリアであっても高さを理由に諦めたこともあるそうで、住まいのコンセプトを変わらず大切にされている様子が伺えますね。

収納は家族の暮らしと合わせて足していく

5人家族でありながら、モノが散らかっていないスッキリとした印象を受ける加賀江さんの家。ここには加賀江さんならではの収納の考え方が背景にありました。

「自分の会社が建てる住まいの特徴の1つとして、構造を現しにした設計にするということがあり、この住まいもその特徴を引き継ぎ、最初はコンパクトでシンプルな箱としてつくりました」

「階段下や和室の畳下などに収納スペースはつくっていたものの、暮らしの中で増えてきたものについては窓や構造現しにしていた部分に日曜大工で収納スペースを付け加えていきました。そのため見せる収納というよりは必要に合わせて見えている、見える収納という感じです」

使う頻度とモノによっては、籠や布を使って隠す収納も有効活用されていました。

「“ちょうどいいところに、ちょうどいい量がちょうどいい感じに収まる”のが一番だと思います。

少ない収納でおさまるだけの持ち物で過ごせる方が豊かだとも思うので、収納は最初につくりすぎず、家族の暮らしと合わせて足していくのがいいかもしれませんね」

これからの暮らし

里山の暮らしをより楽しめる仕掛けをつくっていく

これからは、より自然溢れる環境での暮らしを楽しむべく、お部屋の外での構想が膨らんでいました。

「​​今は住まいの外に少しずつ意識が向いています。田んぼを新たに2反借りるので、農作業を充実させるためのハナレや小屋、五右衛門風呂なんかもつくりたいですね。ヤギを飼って畑に放牧させながら、週末は家の周りの草を食べてもらったりするのもいいなぁと考えています」

「子どももこれからどんどん大きくなっていくので、部屋へのオーダーも増えてくるのではと思っています。最近は南の庭にジップラインを付け直し、部屋にはロフトベッドが欲しいという要望もあり、これからもまだまだ変わっていきそうですね」

家族の生活を大切に、暮らしをより幸せなものにと磨き上げられている姿が印象的だった加賀江さん一家。雄大な自然に見守られながら、家族の成長とともに、住まいもまたその成長に無数の可能性を秘めながら、この土地に強く、生き生きと根を張っていました。

Photographed by tsubottlee

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