2018年にリリースした「MATE X」は、デンマークのクラウドファンディング史上最高額となる約19億円の出資を集めたことで話題にもなりました。
日本に上陸をしたのは2021年3月。まだ日は浅いですが、初年度からファッション感度の高い方々を中心に人気を博しています。フラッグシップストア「MATE. BIKE TOKYO(東京・恵比寿)」のストアマネージャー・片田吉昭さんに、ブランド上陸の経緯から見据える未来までを伺いました。
上陸1年で想像を超える反響
── まずはブランドの設立背景とコンセプトについて教えて下さい。
クリスチャンとジュディという姉弟が2016年にデンマークのコペンハーゲンで立ち上げたブランドです。自転車を楽しみながら、健康や環境の問題を改善することを目指し、かっこよくて便利でエコな折りたたみe-BIKEを設計しています。
左と中央がブランドシグネチャーの「MATE X(33万円~)」、右が街乗りに特化した「MATE CITY(25万円~)」。Xはシーズン限定色も含めた全11色、CITYは日本限定色を含めた全5色の展開。それぞれ、ブレーキの種類(機械式or油圧式)、走行距離(バッテリー容量80km or 120km)を選ぶことができます。
── いままでになかった、スタイリッシュなデザインですよね。電動自転車なのに、バッテリーが見当たりませんね。
日本だと電動自転車=シティサイクルのイメージが強いですからね(笑)。MATE. BIKEはバッテリーユニットをフレーム内に搭載しています。
さらに折りたためて、ファットタイヤをはいて、ダブルサス(前後に付いたショックを吸収するクッションパーツ)まで付いています。機能が豊富で、デザイン性も高いe-BIKEはそれまでなかったので、本国でもクラドファウンディングで多額の資金調達に成功したんだと思います。
フレーム内にビルトインされたバッテリーは、簡単に取り外しも可能。
── それだけ、世の中が求めていたという証ですね。
ヨーロッパだと石畳の道路が残っていたりして、細いタイヤだと走りにくい路面も結構残っているんです。
東京でも、路側帯を走っていると側溝とか段差とかがありますけど、そういった路面でも快適に走れるのが「MATE X」というモデル。パンクしにくい素材を使ったタイヤで、濡れた路面でも滑りにくいのでオフロードでも快適に走ることができるんです。
折りたたみも3ステップで簡単。車のラゲッジスペースにも収納できるので、アウトドア・レジャーのお供にも。
── 恵比寿にショップをオープンして約1年ですが、売れ行きはどうですか?
初年度なので、ブランド認知には時間がかかると思っていたのですが、予想以上に多くの人に知っていただいて。ファーストイヤーとしては成功だったんじゃないかと思っています。
── 何台くらい売れてるんですか?
具体的な数字はちょっと言えませんが、初年度の1万台セールスという目標は、この調子で行くと達成できそうな感じですね(2022年1月現在)。
── すごい! 一台25万円として、25億じゃないですか!!
地球環境に対する意識、ファッション感度が高い方々をターゲットにしていたので、その狙いが奏功しました。俳優の窪塚洋介さんにブランドアンバサダーを務めてもいただいているのですが、その反響も大きかったですね。
── 現状、ファットタイヤの「MATE X」と、ナロータイヤの「MATE CITY」の2種類ありますが、日本だとどちらのほうが人気ですか?
売れ行きはほぼ同じくらいですね。「本当はXに乗りたいけど、駐輪場に置けないからCITYで」という人も結構います。スーツやオフィスかジュアルのコーデに合わせて通勤用に使いたいという方も、CITYを選ぶ傾向にありますね。
日本にe-BIKEの文化を根付かせたい
「MATE. BIKE TOKYO」の店内にはコーヒースタンドも用意。
── 現在だと、MATE. BIKEを購入できるのは直営店と一部の店舗に限られていますが、今後の展開はどう考えているのでしょうか。
いまは東京を中心に展開していますけど、山道でも走れるオール天候型のe-BIKEなので、いずれは全国的にも展開していきたいと考えています。
でも、MATE. BIKEとしては直営店を増やすよりは、ケアできる環境づくりを優先したいという思いがあります。売ったら終わりではなく、お客様が買った後も安心して乗り続ける環境づくりという意味で、卸先を無闇に増やすのではなく、直営店で丁寧にサポートしたいと意識しています。
ここに「MATE. BIKE SERVICE LABO Repair & Custom」の店舗写真(外観でも内観でも構いません)を入れたいのですが、お手元にご用意はありますでしょうか?
MATE. BIKE SERVICE LABO Repair & Customの店内。リペアやカスタムに特化したショップです。
── 21年9月に「MATE. BIKE SERVICE LABO Repair & Custom」をオープンされたのも、そういった意思の表れなんですね。
はい。名前の通り、リペアとカスタムに特化したサービスを提供しています。
自社メカニックによるオフィシャルリペアサービスの他、ブランド創業以来掲げてきたミッションのひとつ、オーナー自らの手で組み立てやメンテナンスを楽しんでいただける取り組みとして、動画配信サービスや電話でのサポートを実施しています。
── 一方で、直営店の「MATE. BIKE TOKYO」はショールーム的な役割なんでしょうか?
そうですね。試乗と購入検討の窓口的な役割を担っています。試乗の際はスタッフが同行して、e-BIKEを乗るときのマナーや手信号をお伝えするようにしています。
試乗の際は、片田さんをはじめショップスタッフが恵比寿界隈を案内してくれます。
── 日本だと、いまだに歩道をすごいスピードで走っている自転車が多いですからね。
そうなんです。手信号は日本だとあまり浸透していませんが、自転車大国デンマークだと当たり前の習慣で、小学校の教育課程にも導入されています。
e-BIKEにはウインカーやブレーキライトが付いていないモデルが多いので、曲がる時や停まる時に、後続車に手を使って合図する手信号は知っておくべき交通マナーです。
事故の原因にもなりかねないので、MATE. BIKEに興味を持ってくれたお客さんたちにはしっかりと伝えていこうと考えています。
── MATE. BIKEのようなパーソナルモビリティは、この先、さらなる需要が見込まれますので、そういった取り組みは素晴らしいですね。
日本上陸から1年経って、認知度は想像以上に広がりました。
ここから先は、さらなる使い方の提案であったり、ユーザー同士のコミュニティ作りだったりを仕掛けたいと考えています。あとは、ガソリンスタンドのようにMATE. BIKEの充電ができる、バッテリースポットを増やしたいですね。
── それは、本国ですでに動き出していることなんでしょうか?
いえ、日本からの提案で、まだ構想段階なんです。
MATE. BIKEの理念として「100%再生可能エネルギーを目指す」と掲げていますが、どうしても充電するための電気を作る段階で、原発や火力発電に依存してしまう部分はあります。
ですので、太陽光発電の充電スポットを増やすことで、少しでも地球環境に優しい社会が当たり前になればという思いが強いですね。
── 車や電車ではなく、100%電気エネルギーを使用した「MATE. BIKE」を生活に取り込めば、かっこよく、便利で、エコなライフスタイルが実現できそうですね!
Photographed by Kaoru Mochida
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