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42.4㎡の賃貸をふたりの“得意”で彩る。CADとDIYを駆使した部屋づくりとは?(神奈川県川崎市)|みんなの部屋

2021/07/14 14:00 投稿

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神奈川県は工業の発展している川崎市。住宅も多く人気の高い武蔵小杉と、商店街もあり活気のある新丸子の間に、今回ご紹介するのぶさんとさきさんの住まいはありました。

お名前(職業):さきさん(グラフィックデザイナー)、のぶさん(デザイナー)instagram
場所:神奈川県川崎市
広さ:1LDK/42.4m²
家賃:非公開
築年数:33年
住宅の形態:マンション
間取り図:

編集部作成

 

ここ川崎のマンションは、ふたりがはじめて一緒に暮らす場所。長期戦覚悟でじっくり時間をかけて探し抜いた物件です。

そこにはのぶさんのCADを駆使して緻密に計算したレイアウトとDIY、さきさんのシンプルな空間を彩るアイテム選びが光っていました。

ふたりだからこそ実現した、互いを尊重した理想の部屋づくりについて話を伺いました。




お気に入りの場所

自分たちらしさの出ているテレビ壁面

リビングに入ってすぐ視界に入るのが、テレビ台と本棚の並ぶテレビ壁面。ラブリコを使ってDIYしたというディスプレイは、ふたりの“好き”が集まった空間です。

「彼がDIYで作った棚に、好きな本や雑誌、小物を置いていて、ふたりらしさが出ているスペースなってきました」(さきさん)

のぶさんが元々実家で使っていた自作のテレビ台は、ガス管を利用して作られたもの。今回の住まいではさらにテレビサイズが大きくなったこともあり、拡張されたそう。

「住まいの間取りを見たときに、いい感じに棚壁面収納ができればと思いました。増えてきた本も収納したかったので、テレビ台の天板のサイズを変えて本棚と高さも合わせることで、ディスプレイと一体化した空間にすることができましたね」(のぶさん)

住まいに合わせ、こうして使いやすいサイズに変更できるのがDIYのメリットですね。

ふたりとも映画館でアルバイトをしていたということもあり、映画好き。テレビ面には映画をゆっくり楽しめる仕掛けもありました。

「テレビ上に設置しているスクリーンで、週末に映画を見るのも楽しみのひとつです。プロジェクターにFire TV Stickをさして、映画館さながらの環境で観られるようにしています」(さきさん)

おうち時間を楽しめるように、自ら手を動かして居心地のいい空間をつくろうとする心意気が、このスペースだけでも十分に感じられますね。

DIYで叶える理想のキッチン

備え付けのキッチンの対面は、高さを揃えてDIYしたキッチンカウンター。

「ひとり暮らしのときから悩みだった、賃貸キッチンの作業スペースの確保しにくさを解決してくれました。 食器棚と兼用になっており、収納力も抜群です」(さきさん)

さきさんがSNSで見ていた理想のキッチンカウンターと、のぶさんがつくりあげたDIYのカウンターが偶然にもほぼ同じものになっていたのだとか。

「調理スペースとしてはもちろんですが、買い物してきたものを一時的に置きたいときや、コーヒーを淹れるときなどにも幅広く活躍しています」(さきさん)

キッチンには他にも、実際に使われる中で新たにDIYしたポイントがありました。

備え付けだったステンレスの食器棚は、洗った食器を収納してもガタついてぶつかってしまうことから、ベニヤ板の天板をDIYで取り付け。

その結果、グラスが倒れて割れる心配がなくなったそう。暮らしの中で気になる部分をメンテナンスしていけるのもDIYのいいところですね。

植物がすくすく育つ日当たりのいい窓際

内見時から惹かれたと話す日当たりのよさを感じられる窓際は、おふたりはもちろん、植物にとっても憩いの空間となっていました。

「植物コーナーを設けたので、緑を増やすことが楽しみになっています。コンテナボックスを使うことで、床に直接置く必要がなくなった分、移動もしやすく、園芸用品もボックスの中に収納できるので便利です」(のぶさん)

この部屋に決めた理由

立地と、お金では買えない太陽の存在

それぞれ実家からの同棲ということで、物件探しにはゆっくり時間をかけたというふたり。

職場へのアクセスも便利なエリアを中心に10件の内見を経て、出会ったのが今の部屋。はじめて部屋に入った際に驚いたのは、その日当たりのよさだったそう。

「訪れたときは秋だったのですが、二面採光で日当たりがとてもいいのが印象的でした。お母さんからも『太陽は買えないものだから』と名言を言われて背中を押されましたね。実際に冬場は、一度も暖房を使わずに過ごすことができました」(さきさん)

家具の配置がしやすかった間取り

広さの面では別の住まいと悩まれたと話すふたり。ただ、住まいの多くをDIYでつくろうと考えていたからこそ、配置のしやすい間取りが決め手になったそう。

「学生時代からプロダクトデザインを学ぶ中で設計用のツールは使えるようになっていたので、部屋を決める前に間取り図から必要な家具を配置してみて、一番快適に過ごせそうなこの部屋に決定しました」(のぶさん)

のぶさんがCADを使って作られたお部屋の3Dレイアウト図

さきさんのご家族も、はじめて見る3Dでの部屋の構想に驚かれていたそう。のぶさんが最初に出した案がほぼそのまま今の住まいになっていることを考えると、さきさんのこともしっかり考えられてつくられたアイデアだったことが窺えますね。

残念なところ

寝室の風通しの悪さ

LDKは二面採光で日当たりのいい空間なのに対して、寝室は窓のまったくない、風通しの悪い空間になっていました。

「窓からの風がどうしてもリビングスペースで止まってしまいます。浴室からの湿気も溜まってしまうので、玄関ドアを開けてこまめに換気をする必要がありますね」(のぶさん)

もう少し欲しかった部屋面積

もともと今より広めの住まいを条件に物件探しをしていたこともあり、どうしても気になってしまうのは部屋の面積なのだそう。

「ダイニングテーブルをDIYで少し大きめにつくってもらったこともあり、友人や家族を招いてテーブルを囲んだ際にはキッチンとの動線が窮屈になってしまいます」(さきさん)

お気に入りのアイテム

音質もデザインもクールなスピーカー

のぶさんが誕生日プレゼントとしてリクエストしたというスピーカーがHarman Kardonの「SOUNDSTICKS」。音質もデザインもお気に入りの、こだわりのアイテムです。

「透明で内部構造の見える真空管がカッコよくて気に入っています。Bluetooth接続ができて、日常使いはもちろん、低音がいいスピーカーのため映画鑑賞やライブ鑑賞のときにも活躍しています」(のぶさん)

ご実家で使われていたときは、木造の住まいに低音が響き渡っていたそう。今回の住まいは構造上の影響は少ないですが、それでも響きすぎないように、スピーカーの脚にはマットを敷いて使用されていました。

作り手の思いを聞いて愛着の湧いたポスター

玄関とリビングに飾られていたNAIJEL GRAPHさんのポスターは、さきさんが職場近くの書店で見た展示で関心を持ち、実際に作家さんのお店へ足を運んで購入された、思い入れのあるポスターです。

「大きなサイズのポスターが欲しいと思っていたタイミングで作品が購入できる機会をInstagramで知り、すぐに買いに行きました」(さきさん)

当初は玄関に置かれている作品のみを購入する予定が、気づいたら2つになっていたそう。

「タイミングよくご本人とお会いする事ができて、作品についてお話を聞くことができました。作品に対する想いを伺うと、どちらかひとつに選べなくなってしまって(笑)。どちらも更に大切になったポスター達です」(さきさん)

DIYへの信頼が高まったソファーテーブル

いまでこそ、住まいのインテリアのほとんどをのぶさんのDIYに任せているさきさん。そのDIYへの信頼が高まるきっかになったのが、リビングスペースにあるヘリンボーンのソファテーブルだったそう。

「引越し前に彼が作成したものですが、DIYの完成度の高さを実感したインテリアです。正直はじめは、ダイニングテーブルは買ってもいいのではと思っていました。ただ完成したものを見て、ここまでのクオリティであれば全て任せようという気持ちになりましたね」(さきさん)

暮らしのアイデア

シンプルな家具配置と小物で変化をつける

住まいづくりのフレームはのぶさんのCADを使ったレイアウトなのに対し、脇を固め、変化をつけているのがさきさんのセレクトする小物たち。ふたりの得意と好きが重なって居心地のいい空間が生まれていました。

「最初に家具をぴったし配置すること。動線を確保し、ちょうどいい場所にちょうどいいサイズ感のものを収めるよう意識しました。DIYはコスパのよさも含めて最適だったと思います」(のぶさん)

「彼がシンプルな空間を好んでいるのに対して、私はおもちゃ箱のようなお部屋が好きで。動線を決めてもらった後は、空いたスペースに好きな小物をはめ込んでいく感覚でお部屋づくりを楽しんでいます」(さきさん)

大きなインテリアはレイアウトをかっちり決めた分、模様替えが難しいお部屋ですが、そこはさきさんの力の見せ所。雑誌の表紙やドライフラワーなど、時期によって見直しを図ることで住まいの風景を変えられていました。

これからの暮らし

住まいに色合いと音楽を加えていきたい

部屋の装飾を進めるさきさんは、まだまだ住まいの余白に対してアートを増やしていきたいと考えているそう。あわせて、最近では新たに集められているものもあるのだとか。

「最近、父からレコードを譲り受けたことをきっかけに、レコード集めしたいと思っています。いまはアイドルの曲をはじめ、日本の昔のポップスに寄っているので、ふたりの好きな曲や、今っぽいアーティストの楽曲を取り揃えられたらいいですね」(さきさん)

セカンドハウスでよりDIYを、暮らしを楽しみたい

DIYが好きなのぶさんは、ちょうど空間づくりに一区切りがついたタイミングなのだそう。

「住みはじめの頃から構想していた寝室横のワークスペースが、最近完成しました。作業に集中できる空間と、有孔ボードを使うことで収納の機能性も持たせたDIYができましたね」(のぶさん)

「いまの住まいでつくりたかったものは全てつくれたので、次は自然の豊かな場所にセカンドハウスを持つ計画を立てています。セカンドハウスの方では、好きなキャンプと、より自由度の高い広い空間でコツコツDIYを楽しみたいです。平日は今の住まいで仕事をしながら、休日は自然に囲まれた場所で自由な時間を謳歌したいと思っています」(のぶさん)

各々の考えを尊重しながら、よりよい空間づくりをしているおふたり。住みながら出てきた問題も、DIYやアイテムを駆使して解決している姿が印象的でした。

今回の住まいがふたりにとって居心地のいい空間になっているからこそ、これからの変化はもちろん、次にどんなお部屋がつくり上げられるのか。これからも住まいの様子を追っていきたいと思うお部屋でした。

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