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生活感のなさは収納設計にアリ。美容師夫妻こだわりの築39年フルリノベ部屋(大阪府豊中市)|みんなの部屋

2021/06/07 10:30 投稿

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大阪府の中でも人口は4番目。中心地へのアクセスもしやすく、ほどよい自然もある豊中市。

電車でもバスでもアクセス可能な住宅街に、今回ご紹介するむつみさん夫婦の住まいはありました。

お名前(職業):むつみさん(美容師)、ご主人(美容師)
場所:大阪府豊中市
広さ:1LDK + WIC/79.84㎡
リノベーション費用:1,200万円
築年数:39年
住宅の形態:マンション

編集部作成

前の住まいではDIYをたっぷり楽しんだというご夫婦。その後、さらに理想の住空間を目指してリノベーションを決意。

一見お店かと見間違えるような住空間の完成に至るまでには、マンション選びから住まいの間取り提案まで、たくさんの情報収集と熱い思いがありました。

美容師夫婦が暮らす、見た目から機能性までとことんこだわってリノベしたお部屋について、お話を伺っていきます。





お気に入りの場所

土間スペースを広く取った玄関

玄関入ってすぐの空間は、広々としたウォークインクローゼットになっていました。ご夫婦の衣類はすべてここに収納しているとのことで、このスペースを抜けたリビング以降には一切、衣類はありません。

「マンションリノベの事例を見ていて、土間を広めに取られている空間に憧れていました。

実際につくってみたら、ここで着替えてそのまま出かけることができるので同線としてもスムーズなんです」

「ディスプレイスペースとしても楽しみたいと思っています。衣類は引越しのタイミングで、このスペースに収まるようかなり減らしたのですが、それでもたくさんあるのでさらに見直しを図っていきたいですね」

ディテールにとことんこだわった床とキッチン

広い土間スペースを抜けてまず印象的だったのが、広さはもちろん、見た目もスタイリッシュな床とキッチン。理想の雰囲気を実現するために、設計事務所の方と左官屋さんのショールームに赴いて交渉した、こだわりのスペースでした。

「リノベを始める前から、絶対に床の左官仕上げだけは妥協しないと決めてました。寒いかなとか落ちつかないかなとか心配な点もありましたが、傷もつかないし掃除もしやすくて気に入っています。素足で歩いても気持ちよく、後悔はまったくないです」

床よりさらにじっくり検討されたというのがキッチン。明暗のある色合いとクラフト感のある塗り跡に味を感じます。

「キッチンも質感にとにかくこだわりました。扉部分は当初、味のあるアイアンにしたかったのですが、しっくりいくものがなくて。

何の素材にしようか迷っていた中で、設計事務所の方と訪れた左官屋さんのショールームでミダスメタルを紹介いただき、金属左官のサンプルをみてこれだ!と即決しました」

「キッチンは4mほどと長くつくってもらったので、複数の作業を並行して行う際にも十分な作業スペースを確保できますし、飾り棚でディスプレイも楽しめるため、使い勝手がいいです」

もとのつくりが活きた小上がり

リビングからベランダに出る窓際は小上がりスペースに。こちらはもともとつくりたいと考えていた住まいの構想と、元の構造がマッチしたお気に入りの空間。

「海外のインテリアを見て、段差のある住まいに憧れていました。マンションの構造でもともと小上がりがあったので、ステップをつくって完成させました」

「最初は、この小上がりからベランダに出て植物を育てようと考えていたのですが、土地が高台にあるせいか風が強くて。結局、日当たりのいい窓際で植物を楽しんでいます」

この部屋に決めた理由

ヴィンテージマンションと憧れの建築家との出会い

はじめは賃貸や戸建ても考えていたと話すむつみさん。現在のマンションリノベに至るまでには入念な下調べと、そこで得られた情報がきっかけとしてありました。

「それまで住んでいた枚方で戸建てを検討するも、友人の話を聞く限り、自分たちのつくりたい空間を実現するのが難しいように感じて。

そのときに出会ったのが、ヴィンテージマンションという選択肢です。古着をはじめ、古くて味わいのあるものが夫婦揃って好きだったので、そこからは該当の物件を探し始めました」

「情報を集める中で出会ったのが、とある建築家さんが設計したマンションで、そこから同じ建築家さんの住まいを探すようになり、今のお部屋に辿り着いたんです。

理想の空間のために情報もたくさん集めていたので、つくりたい空間のイメージがはっきりしていて、設計事務所の最初の打ち合わせ時に自分で間取り図を描いて提案しました」

現在の住まいのほとんどは、そのときの構想通りとのこと。もちろんむつみさん自身は設計の経験はゼロ。下調べの上でつくりあげたイメージを、実際の住まいに落とし込む構成力に脱帽です。

窓が全方位にあり、採光のいい空間

「特徴的なマンションの構造もあり、窓が東西南北すべてに設置されています。

日中いつでも外からの光が取り込まれる採光のよさも、購入を決める後押しになりましたね」

リビングの1番大きな窓は南向き。いつでも日の光を浴びながら食事や趣味の時間を過ごせるっていいですね。

残念なところ

こだわりきれなかったリビング壁面

手仕事感のある床に対して、綺麗すぎて逆に味気なくなってしまったと話すのが真っ白な壁面。

「私は床に、主人は壁にこだわりを持って進めたリノベーションでした。主人はリビング壁面もムラのある塗装がいいと言っていたのですが、予算の関係で難しくなってしまって。これからふたりでDIYで塗っていけたらと話をしています」

マンションの構造による制限

元からあるマンションを利用しての空間だからこそ、変えることの難しい部分も多々あるそう。

「マンションの配管が小さく、エアコンのサイズに制限が出てしまいました。30畳用の予定に対して、つけられたのは18畳用で……。

立地の関係か風が強いこともあり、はじめての冬場は難所でしたね。最初から分かっていたら間取りをもう少し区切ることを考えてもよかったかなと思います」

また、キッチン裏に書斎スペースを設けたものの、温風が届かず冬場はデットスペースになってしまったそう。これからの暖かい季節の活躍が期待されます。

「同じく配管周りの話で、洗面は壁付水栓にしたかったのですが、こちらも元の構造上叶いませんでした」

こうした不自由さはありつつも、自分たちがつくりたかった空間をつくれる喜びが上回ったと話されるむつみさん。良し悪しあるマンション構造の中で、住み手の思いをどうやってかたちにするかを考えるのもまた、中古マンションリノベの面白いところなのかもしれません。

お気に入りのアイテム

「使いたい」が先行して購入した照明

住まいの情報を数多く集められる中で、建てる前から気に入って購入してしまったというのが、Peter Ivyの「Light Capsule」

「もともとインテリアに関してすごく詳しかったわけではなく、リノベーションをすると決めて1年間でとにかく調べ周りました。そんな中で見つけたこの照明は、引っ越し前から絶対に使いたいと住まいの中での場所も決めずに購入したアイテムです。シンプルなのにいい意味で強い存在感があり、とても気に入っています」

部屋の印象を左右するカーテン

窓の多い住まいだからこそ、その窓をカバーするカーテンは住まいの印象にも大きな影響を与えます。間取りもこだわってきたからこそ、細部にも妥協なく調べられていました。

「Instagramでリネンカーテンのタグで探し、トレジュールさんに辿り着きました。事例がすべて魅力的で、すぐに連絡を取りましたね。コロナ禍でお店にも足を運べず不安な部分もありましたが、担当の方が自信を持って提案してくださったので安心できました」

「人気なのでオーダーしてからかなり待ちましたが、実際に使ってみると柔らかな印象に大満足です。リビングはコットンシフォンという素材で、玄関と洗面はシアーリネンという素材です」

長く使っていけそうだと感じたダイニングテーブル

リビングの中心に置かれたCARAVAN FURNITUREのダイニングテーブルは、味のある雰囲気と長く使えるようケアの行き届いた納得のインテリア。

「最初はアンティークテーブルを探してたのですが、これから長く使っていくとなると塗装の関係で生まれるシミなどが気になってしまったんです」

「そんなときにInstagramでCARAVAN FURNITUREさんのアカウントを発見し、このデザインに一目惚れ。

色味や大きさなどのオーダーにもすごく丁寧に対応して下さり、とても満足のいくテーブルになりました。アンティークのものとも相性がよさそうです」

暮らしのアイデア

店舗デザインから住まいのイメージを膨らませる

住まいの構想を膨らませる上で参考にしたというのが、雑誌の住まい特集はもちろん、SNSで見た店舗デザイン。アイテム単体ではなく、空間の中でどう佇むのかまでをイメージしながらつくり上げられていました。

「部屋でのレイアウトもお店を意識して、余白を持たせるようにしています。床にこだわったのも、こうした店舗デザインを見て全体の空間を意識したことからでした。

住まいづくりをスタートしてからは特に、東京のThis___さんやTSUBAKIさんを参考に。同じく店舗のような住居ということで、以前紹介されていたルーさんの住まいにもかなり影響を受けましたね」

生活感を出さない収納設計

オープンな収納が中心で、キャビネットなどの収納スペースらしいアイテムはほとんど見つかりません。細々としたモノはどこに収納されているのでしょうか。

「引越しの際に手放したものは多いのですが、それでも保管するしかない書類などは、パントリーに保管しています」

さらにパントリーとキッチンの間には家電スペースも。これもまたお客さんが来たときに視界に入らないことを意識して設計。リビングに入ったときには、まったく気づきませんでした。

「最初はパントリースペースにすべてまとめる案もあったのですが、料理の際の利便性も意識してキッチンにより近い配置へ変更しました」

そのほか来客時に生活感を出さない収納アイデアとして、洗濯機や掃除道具は唯一の備え付けである壁面収納へ。お手洗いなどを使うときにも洗濯物は一切目に入りません。

「オープン収納を中心にした分、収納箇所が少なく不安に思うこともありますね。パントリースペースや籠などを使って生活感は見せないようにしつつ、収納は考えていきたいと思います」

これからの暮らし

住まいの時間が増える中で、よりよい空間を考え続けたい

理想の住まいの下地は整って半年。まだまだ完成に向けて着手されたいところはたくさんあるそう。

「この家に引っ越してきてから、家にいることが多くなりました。以前はよく散歩してましたが、それすらおうち時間に充てるようになって、住まいのことを考える時間も増えた分、これからもさらに心地よい空間へアップデートしていきたいと思っています」

理想像をたっぷり膨らました分、まだ叶えきれていない部分も多いそう。

「寝室のカーテンにお部屋の壁面、洗面台のフロアタイルなど、設計の段階では十分につくりたい空間にできなかった部分もあります。そうした後悔ポイントは自分たちでDIYしながら変えていきたいですね」

「家具も好きなのですが、まだまだ最低限のものしか揃ってないので、今後はお部屋の中の充実を目指したいですね」

住まいづくりに合わせてたくさんの情報を集めてきたむつみさんだからこそ膨らむ、住居への期待感。壁のディテールもこだわりのアイテムも納得の空間に揃った際には、またその空間を堪能してみたい。今後がまだまだ楽しみなお部屋でした。

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