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Bianchiを選んだのは、フランス映画の名作がきっかけ⁉︎ 若手美容師が乗りこなす、シンプルなミニベロ|みんなの自転車

2021/03/19 10:30 投稿

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洋服をこよなく愛す、美容師の福島さん。おりおりに影響を受けた映画や音楽にちなんで選び取ってきた洋服が、いまのスタイルを形づくったようです。それは洋服に限ったハナシではなく、自転車においても、またしかり。実は、愛車のBianchiを選んだのも、フランス映画の名作がきっかけだったとか。

個性が光る着こなしの一方で、自転車がいたってシンプルである理由。古着のように擦り切れても乗り続ける理由。福島さんと洋服と、そして自転車との、分かち難い関係について訊きました。

名前(職業):福島志音さん(美容師)
年齢:22歳
愛車:Bianchi 「Lepre」
価格:およそ12万円
自転車歴:5年

自転車は、“都会の象徴”

5年前に美容専門学校に入るために東京へやってきて、小学生の頃からの夢を叶え、美容師になったのが3年前。いまの愛車を手に入れたのも、ちょうど上京したのと時を同じくして。

「地元にいた頃から、東京にはたまに遊びにきていました。当時から、都会の道路を自転車で駆け抜けてる大人たちに憧れを抱いていて。『東京の美容師=かっこいい自転車』みたいなイメージも持っていました」

福島さんにとって、自転車は、いわば“都会の象徴”。じっさいに上京して、晴れて美容師に。およそ1年前にはスタイリストに昇格したそうです。当時の憧れやイメージを、着々と具現化している真っ最中というわけ。

一方、上京するやいなや自転車を購入したのには、もうひとつ理由があったとか。

「極力、電車に乗りたくなかったんです。まず、独特の匂いと、ひとが密集している空間がダメで……。とくに朝の通勤時間帯。だれもが時間に追われている雰囲気を見ると、気分が落ち込んでしまいます」

そこは、自転車を交通手段にする多くのひとが共感できるポイントかも。とりわけ自然溢れる長野出身の福島さんには、なおのこと受け入れがたいものだったのかもしれません。

好きなときに、好きなペースで。自由気ままに移動できる自転車は、そうした悩みを抱える都市生活者の強い味方なのだ!

愛車をカスタムしなかった、服好きゆえの理由

選んだのは、言わずと知れた世界最古の自転車ブランドであるBianchi。なかでも、ピストバイクやロードバイクが全盛のいま、「Lepre」というミニベロタイプをチョイス。

とくに福島さんくらいの世代にはあまり馴染みないのでは? どうして選んだの?

「よく通っているお店のスタッフさんが、ミニベロに乗っていたんです。それがかっこよくて。この色を選んだのは、なんとなく、ゴダールの『気狂いピエロ』の世界観を連想するカラーリングだったから。当時はヨーロッパ映画にハマっていて、自分のなかでの旬がその色だったんです」

そのおりおりにのめり込んでいる、映画や音楽にちなんで。そんな風にモノを選び取るのが、福島さん流のようです。それは自転車に限ったハナシではなく、大好きな洋服についても同じこと。

「洋服も、2、3年前までは映画や音楽に影響を受けて、いろいろなスタイルをしていました。いまは、NYのストリートの雰囲気に、自分の好みがいったん固まってきています」

洋服は、福島さんの一番の趣味でもあります。自転車も、もっぱら行きつけの古着屋をまわるために使っているとか。

でも、それだけ洋服が好きなら、アパレル業界を目指すことも考えたりしたのでは? と訊けば、「洋服だけは仕事にしたくなかった」と、きっぱり。

「服飾の勉強をしてしまうと、『この生地を使っているのに値段が高いな』とか、『このブランドとこのブランドを合わせるのはナシでしょ』とか、余計なことを考えて、洋服を純粋に楽しめなくなるような気がして……。そういう感覚なしに、洋服は直感的に楽しみたいんです!」

仕事にしたくないほど、特別な存在。ひとえに、洋服を心から愛するがゆえ。愛車をカスタムせず、なるたけシンプルなままにしているのも、個性的な着こなしの邪魔にならないように。洋服を楽しむための引き算の作法なのでした。

壊れても、盗まれても

とはいえ、自転車って、けっこう着る洋服を制限する乗り物だと思うんです。長いコートもワイドパンツも不向き。カバンも靴も、それなりのものを選ばないといけないし。福島さんにとって、そのあたりはかなり大きなストレスになっているんじゃない?

「たまにスカートを穿いたりすることもあるのですが、そんなときも、気にせず自転車に乗ってしまいます。ワイドパンツなら、裾を靴下に入れて穿きますし」

自転車に乗るからといって、身にまとうものにとくだん気を遣わず、いつも通り。なにかを我慢しないのが、長く普段使いするコツなのかも!

そんなこんなで、およそ5年間にわたって親密に付き合ってきた愛車。大きな修理が必要な破損を3度、盗まれること2度。それでも無事に戻ってきて、いまでは福島さんが身にまとう古着のように、年季が入ったいい表情に。

「なんとなく、縁があるのかなと思って大事にしています」

憧れていた仕事と暮らしを手に入れつつも、都会に飲まれずほどよく距離を取りながら。自転車に乗るように、ゆったり自分のペースで生活している福島さん。

かねてから、美容師として海外で働きたいと考えていて、1年前にニューヨークにひとり旅をしたことで、なおいっそう士気も高まっているところ。その一方で、まだまだ日本で研鑽を積みたいとも考えているのだとか。

「いま付いてくれている服好きのお客さんに、似合う髪型をもっともっと提案したいんです」

未来の可能性に心は揺れながらも、眼差しは、しっかり前だけを見て。

Photographed by Masahiro Kosaka

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